ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.3(2018/04/14) C

 

 

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(Update:2018/04/19)

 

 【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】

位ヶ原急斜面 −この先オープンバーン

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。

ここ位ヶ原山荘に向かう看板があり、「この先は今までのような道はありません。悪天候時はルートを見失いやすいです。最近、単独行の道迷い遭難が多いです。経験・自身のない方は無理せずここで引き返してください。」と、記されています。

この先は森林限界を超えてオープンバーンになりますから、今日のような視界不良時は確実に方角を見失うことになります。方角を見失ってから(迷ってから)戻ろうとしても、もうその時点では戻れませんから、この看板の位置で、この先、進んでもよいのか・撤退すべきかを判断しなければなりません。なお、この看板の上に見える急斜面上端部分が確認できるかどうかが、判断材料の一つとなり、今日のようにかろうじて見える程度の状態なら、撤退したほうが良いと判断しましょう。

 

2017年の位ヶ原急斜面
2017ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.3(2017/04/15) C
先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2018/04/07) C
今回の位ヶ原急斜面
積雪量は先週より若干増加し、
昨年との差が小さくなる

位ヶ原急斜面の積雪は、先週よりも若干積雪量が増加しています。また、先週までは昨年より1メートル近く少ない状態でしたが、その差は若干小さくなっています。

 

黄砂で汚れる − 8日(日)の新雪がべたつきストップスノーに

ツアーコースは全体的に黄砂で汚れてきましたが、こちらの位ヶ原急斜面ではその様子がよくわかり、斑模様になっています。黄砂の汚れに加えて、8日(日)の新雪がべたついた状態に変化し、滑走性の悪いストップスノーと呼ばれる状態になっています。

 

午後から濃霧が垂れ込める

午前中は遠景の景色が見えていましたが、午後になると、雲の動きが早くなり、ご覧のように濃霧が立ち込めて、天候悪化が顕著になってきました。冬と違って、春は天候の変化が早く、あっという間に濃霧に飲み込まれ、行く先の方角を失うことになります。

【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】

【本物】左の谷−位ヶ原急斜面(正規下山ルート) 【偽物】右の谷−伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり)

さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...

この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)

 

位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい
ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版

ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面や伊奈川の谷の周辺の位置関係は、ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。

 

伊奈川の谷−大きな岩場があるのが特徴(中央)

伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。

 

【位ヶ原】

位ヶ原

位ヶ原急斜面を登り切った先の位ヶ原。これより森林限界となります。森林限界を超えると、天候・気候が急激に変化します。もし、急激に雲が流れ込んで視界が阻まれるようになったら、急いで引き返す必要があります。

ご覧のように、かなり怪しげな天候になってきましたが、何とか山頂方面まで見通せる状態。でも、できるだけ早めに下山できるように注意が必要でしょう。

 

先週の位ヶ原(積雪129センチ)
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2018/04/07) C
今回の位ヶ原(積雪139センチ)
先住より10センチ増加

今回の位ヶ原の積雪量は139センチ。先週より10センチ増加しました。昨年は悪天候のため現地に出向くことができませんでした。

 

すべり台方面は強風アイスバーンで途中で撤退

すべり台方面から下山してきた常連ボーダーの方。本当は富士見沢に向かう予定でしたが、すべり台の途中から風が強くなり、また、バーンはシールが効きにくい状態となったため、3号カーブの一段上の大岩で引き返してきたとのこと。

山頂方面は、天候によって、まだアイスバーンになることが多く、ゴールデンウィークぐらいまではアイゼンが必要な状態はよくあります。

 

天候は目まぐるしく変化(わずか5分で濃霧に)

2枚の画像の時間差は僅か5分。目まぐるしく天候が変化し、時間とともに右のような濃霧の時間が長くなってきました。いち早く下山しないといけない状態です。

 

【大雪渓下部】

大雪渓入口

それでは大雪渓下部の積雪状況をお伝えします。

 

2015年の大雪渓下部
2015ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.3(2015/04/04) C
2016年の大雪渓下部
2016ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版Vol.3(2016/04/02) D
今回の大雪渓下部
例年より積雪量は多い

大雪渓入口の積雪量は二週間前と比べて3センチ減少(先週は悪天候のため計測できず)。また、昨年も悪天候のため計測できませんでしたので、2015・2016年と比較しても、今年は多い状態となっています。

他のエリアでは昨年よりも積雪量が少ない状態を見せていますが、おそらく、昨年並みの状態かと思われます。

 

トイレ・避難小屋方面 トイレ小屋(冬季閉鎖中)−利用可能は5月下旬〜6月上旬以降

大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。避難小屋・トイレは冬季閉鎖中で、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬に利用可能になります。トイレ小屋・避難小屋周辺の積雪量は昨年並みです。

 

山頂方面

大雪渓入口付近は例年より積雪量が多い状態ですが、山頂方面は...

 

所々で岩の頭が − 積雪量は少ない
(剣ヶ峰〜蚕玉岳(左)、蚕玉岳〜朝日岳稜線付近(右))

稜線付近ではまだ岩の頭が点在している様子がわかります。特に右の蚕玉岳〜朝日岳の稜線付近は顕著で、積雪量が少ない状況です。

 

<編集後記>

「ゴールデンウィークの旅行動向...」

JTBが4月10日に発表した2018年ゴールデンウィークの旅行動向では、「日並びの良さもあり国内旅行人数、総旅行人数が過去最高に 総旅行消費額も1兆円を超える見込み」と発表しております。前半の28日(土)〜30日(月)の三連休と後半の3日(木)〜6日(日)四連休となり、さらに1日(火)と2日(水)を続けて休めば9連休となります。

この点は昨年と変わりはないものの、今年は「昨年より収入が増えた」という割合(+8.2%)が、「減った」という割合(−0.9%)よりも増え、「昨年より休みが長く取れそう」という割合(+0.1%)も、「長く取れそうにない」(−5.8%)を上回り、総良好者数が過去最高の水準に達する予想になっているようです。

また、JTB の国内パッケージツアー「エースJTB」の予約状況も合わせて発表され、出発のピークは4月28日(土)と5月3日(木)で、東北・九州・中国四国に人気があり、日本の名旅館に泊まるプラン、35周年を迎える東京ディズニーリゾートなどの東京・関東地区や、レゴランド関連の東海地区の予約も増えているとのことです。

乗鞍地域でも、28日(土)より乗鞍岳春山バスの運行が開始される予定があり、また、5月3日(木)には乗鞍スカイラインの一部オープン(平湯峠〜夫婦松、マイカー規制区間)が予定されています。乗鞍岳春山バスの終点、標高2350メートルの位ヶ原山荘や、部分開通する乗鞍スカイラインの標高2000メートルの夫婦松は、ゴールデンウィークなのに、一面銀世界が広がります。そんな乗鞍地域に足を運んでみてはいかがでしょうか?


 


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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