ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.5(2019/06/08) B
【大雪渓から稜線へ】
稜線付近の注意箇所 |
岩の頭付近(剣ヶ峰〜蚕玉岳滑走エリア) | クレパス(蚕玉岳〜朝日岳滑走エリア) |
今回、稜線からの滑走ルートで注意が必要なのは現時点では2箇所あり、@ 蚕玉岳〜朝日岳稜線からの滑走ルートでは、朝日岳中腹から大雪渓に滑り降りる箇所のクレパス。A 剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線からの滑走ルートでは、滑走幅が狭くなった箇所(岩の頭)です。
クレパスは横幅全域にわたる |
朝日岳中腹から大雪渓に滑り降りる箇所のクレパスは、横幅全域にわたって走るようになって来ました。
視界の悪い日の滑走には注意 |
現時点では割れ目はそれほど広くないため、乗り越えることはできますが、今日のような視界の悪い日は滑走には十分注意してください。特に肩の小屋から夏道で稜線まで登って稜線から大雪渓に向けて滑走する場合は、クレパス箇所を確認せずに滑り降りることになりますので特に注意が必要です。
蚕玉岳〜朝日岳滑走エリアの狭小箇所 | 蚕玉岳〜朝日岳滑走エリアの稜線付近 |
クレパス箇所を少し登ったところにバーンが狭くなったところがあります(画像左)。現在の横幅は20メートルほどで、現時点では滑走に問題はありませんが、あと1〜2週間ほどで積雪が途切れると思われます。そうなると稜線からの今シーズンの滑走は終了となります。
また、稜線直下の雪解けも進み始め(画像右)、画像に見える岩場の後方の積雪は、おそらく来週にはかなり狭くなり、稜線からの滑走は困難となる可能性があります。
【蚕玉岳〜朝日岳の稜線】
⇔ | ||
2018年の蚕玉岳〜朝日岳稜線 2018ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2018/06/09) B |
今回の蚕玉岳〜朝日岳稜線 昨年とほぼ同じ |
こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の中央の峰が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)で、画像には写っていませんが、後方に朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています(画像奥のピークが主峰剣ヶ峰です)。先週は昨年よりも一週間ほど遅い雪解けでしたが、今週は昨年とほぼ同じ状況の模様です。
⇔ | ||
2018年の朝日岳 2018ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2018/06/09) B |
今回の朝日岳 昨年よりも雪解けが進んでいる |
朝日岳は先週の段階では昨年より1週間以上遅い雪解けでしたが、こちらは昨年よりも雪解けが進んでいる様子です。おそらく、降雨の影響で雪解けが進んだものと思われます。
【剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線】
⇔ | ||
2018年の蚕玉岳山頂 2018ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2018/06/09) C |
今回の蚕玉岳山頂 昨年より1週間程遅い雪解け |
こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。画像は蚕玉岳山頂で、昨年より1週間程雪解けが遅く、以上雪解けが遅く、一昨年より2週間程度早い雪解けです。
稜線直下の雪解け箇所 |
稜線直下から雪解け部分が下に伸びています。来週はまだそれほどでもないかもしれませんが、稜線直下の積雪が今後なくなると滑走は困難になります。
⇔ | ||
2018年の剣ケ峰直下の岩 2018ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2018/06/09) C |
今回の剣ケ峰直下の岩 昨年よりやや遅い雪解け |
剣ヶ峰直下の岩場付近の雪解けは昨年よりやや遅い状況。
岩の頭 − 全体の3分の1付近にある |
全体の3分の1付近まで滑り降りた付近では、雪解けとともに岩が出始めてバーンを分断します(画像の「岩の頭」の箇所)。
⇔ | ||
2018年の岩の頭(同時期の1週間前) 2018ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2018/06/16) C |
今回の岩の頭 滑走幅は20メートル |
岩の頭は先週から出始め、今週は周辺の雪解けが進んで、滑走幅は20メートル程度になっています(画像右)。左の画像は昨年同時期の1週間前のもので、今回とほぼ同じ状況ですので、昨年より1週間遅い雪解けであることがわかります。
2018年の岩の頭 − 今年も来週以降は滑走困難に 2018ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2018/06/09) C |
そして、こちらはその一週間後の昨年の様子。ご覧のように歩いて降りなければならない状況です。そのため、来週以降は滑走困難となる可能性が高いと考えられます。
視界は100メートル前後 | このような日は雷鳥が |
視界は100メートル前後。こんな日は雷鳥が活動していると思いましたが、案の定、確認することができました。そろそろ抱卵期に入ってくると思われます。
高さ2.5メートル − 昨年より0.5メートル高い |
そして、稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。
積雪は2.5メートル。2018年は2メートル、2017年は3メートル、2016年は20センチ、2015年は80センチ、2014年は2.5メートル。2013年は1.8メートル、2012年は3.4メートル、2011年は1.7メートル、2010年は2.3メートルでした。
<編集後記>
「6月の雨..」
何か情緒のあるタイトルですが(笑)、実際のところ天気がぐずついていても、それほど降らないのが6月の雨。ただ、気温が夏ほど高くないため、山頂付近は時にはみぞれ交じりとなることがあります。この時期は残雪期に入ってくるため、本格的な冬山を経験されない登山者も入山するケースが増え、降雪に対する装備が手薄な方が見られます。
雪は手で払えばさらっと落ちますが、みぞれはウエアに張り付くため、雪や雨以上に冷たさを感じます。ですから、みぞれ交じりの場合は、厳冬期と同様の寒さと、雨への対策の両方が必要になります。
気温の低い雨・みぞれは体温を奪いやすく、また、雪になった場合は、シャトルバス・春山バスが運休となることも想定しなければなりません。夏山でもなく春山でもない6月は、このような点に留意してお越しください。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
Copyright (C) 乗鞍大雪渓WebSite |
|