ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.20(2019/09/21) B
【雪渓下部】
雪渓下部−5週間前に積雪はなくなる |
ここからはいつものように大雪渓の様子をお伝えします。雪渓下部の積雪は5週間前の段階でなくなりました。例年、雪渓下部の積雪がなくなるのは9月第1〜3週あたりで、近年では8月中に消滅するケースはほとんどなく、今年は異常に早い雪解けでした。
大雪渓入口のウラジロナナカマド − ようやく色付きが始まる |
大雪渓入口のウラジロナナカマド。ようやく全体的な色づきは始まりました。昨年より1週間遅い状況です。
石碑の岩 |
チングルマ |
こちらは石碑の岩のチングルマ。紅葉が始まっていますが気温が高く、先週から大きな変化はありません。
⇔ | ||
昨年の大雪渓入口付近 2018ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.20(2018/09/22) A |
今回の大雪渓入口付近 全く色づいていない |
例年であれば、昨年の画像のように紅葉が進んできますが(左画像)、今年は全く色づきが始まっていない場所が大半です(右画像)。
ミヤマクロスゲ | モミジカラマツ |
そんな状況でも、高山植物の紅葉は着実に始まっていて、いわゆる草紅葉と呼ばれています。高山植物の紅葉はミヤマキンバイやチングルマなどミクロな紅葉はかなり派手ですが、ミヤマクロスゲやモミジカラマツの紅葉もなかなか見ごたえのあるものです。
モミジカラマツはその名の通り、葉がもみじ(カエデ)の形をしています。ちょうど今が見頃となっていますのでぜひご覧下さい。
【雪渓上部】
雪渓上部全景 |
それでは雪渓上部の様子をお伝えします。雪解けが進むと中央から尾根が縦に伸びて、雪渓上部を左右に分断します。右側での滑走は8月下旬〜9月上旬まで。左側は9月下旬から10月上旬まで滑走可能ですが、左側はかなりの急斜面で、下が岩場になっていますので、雪渓での滑走に慣れた上級者のみとなります。
ただ、今年は雪解けが早いため、右側では例年より3週間以上早く雪解けして先週で消滅し、左側はまだ雪渓が残っていますが、例年より1ヶ月以上早い雪解けとなっています。
⇔ | ||
2018年の雪渓上部左側 2018ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.20(2018/09/22) B |
今回の雪渓上部左側 昨年の半分以下の大きさ |
こちらは雪渓上部左側。大雪渓の中でも急斜面のバーンが広がり、シーズン終盤まで積雪の残るエリアです。昨年と比べて半分以下まで小さくなっています。
大雪渓エリアの中でも最も遠方に位置することから、他のエリアが滑走可能なこの時期は訪れる方は少ない状況です。しかし、今後、他のエリアが滑走できなくなって、雪渓上部左側しか滑走できなくなる8月下旬頃になると、冷え込みの影響からバーンは硬くなってきて、スプーンカットのほか、大きな氷の柱が一面に現れ、初心者の滑走は困難な状況になって行きます。さらに、雪渓上部左側は他のエリアよりも急斜面であることに加え、バーン下部は全面岩場であるため、滑落すれば大怪我となる可能性もあります。
雪渓下部や雪渓上部右側で、ある程度雪渓でのスキーに慣れたうえで、お越しいただくことを強く求めます。天候の加減でバーンが少しでも硬くなると、事故に直結します。今年はバーンが例年よりも急斜面になっていますので、初めての方はご遠慮くださいますようお願い致します。
落書きの岩−雪渓下端まで123メートル すでに昨年の10月末よりも長くなっている |
下端部分は落書きの岩の上方123メートルのところにあり、すでに昨年の10月末よりも長くなっています。積雪の少なかった2016年に近い積雪状況です。2016年も雪渓上部左側の万年雪(※)はかろうじて残りましたので、おそらく、今年も積雪が完全になくなることはないと考えられます。(※ 実際には1999年にすべて融けていますので厳密には万年雪ではありません)
⇒ |
||
先週の右寄り部分 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.19(2019/09/14) B |
今回の右寄り部分 まだかろうじて残っている |
こちらは右寄り部分。先週の状況では今週は完全に雪解けが終わってしまうと思いまいたが、何とか残っているようで、この1週間はあまり雪解けが進まなかった模様です。
長さ4.7メートル×横幅5.4メートル |
大きさは長さ4.7メートル×横幅5.4メートル。次週末には完全になくなっていると思われます。
左寄り部分 |
そして、こちらは左寄り部分。
⇒ | ||
先週の左寄り部分 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.19(2019/09/14) B |
今回の左寄り部分 |
先週より高さで30センチほどの雪解けが見られ、この時期としては結構とけたのではないかと思います。左寄り部分の長さ31メートル×横幅52メートルです。
下端部分 − 斜度38度の急勾配 |
下端部分は斜度がきつく、この辺りで38度ほどの急勾配。
先週のコブ・ハイクアップの跡が残っている − 整備すれば滑走可能 |
高さで30センチほどの雪解けが見られるものの、先週のコブやハイクアップの跡が残っていて、整備すれば滑走は可能かと思われます。
⇒ | ||
先週の上端部分 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.19(2019/09/14) B |
今回の上端部分 |
上端の位置は先週とほとんど変わっていません。今後、雪解けは遅くなって行くと思われますが、例年滑走しているのは画像で写っている土砂部分で、今年の滑走部分はそれよりも斜度の強い中央寄りの部分で、例年なら滑走としては使用しない場所です。
今後、バーンが硬くなると、この急斜面ではハイクアップが難しくなり、滑落の危険性が高くなりますので、より慎重な滑走が必要でしょう。
Copyright (C) 乗鞍大雪渓WebSite |
|