ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

番外編<真冬のノリクラサミット>
(2019/12/21〜22) D

 

 

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(Update:2019/12/26)

 

【12月22日(日)、パウダー求めて屋根板・富士見沢へ】

東の空 − 雲の隙間に朝焼けが 昨晩の降雪はないものの、柔らかな新雪に覆われる

一夜明けて、翌朝7時の位ヶ原山荘は曇り空の朝を迎え、東の空には稜線と雲の隙間に朝焼けが輝き始めます。気温はマイナス7℃、若干風があるものの、さほどの寒さはありません。昨晩からの降雪はなく、数日前に降った新雪が柔らかな感触を足裏に感じさせます。

 

ブッシュだらけで雪がない(左:屋根板、右富士見沢)

こちらは山荘前から望む屋根板方面(左画像)・富士見沢方面(右画像)。屋根板方面はまだかなりの密林で滑走どころか登るのもかなり難航する予測。また、富士見沢方面は中間部を車道が横切っていますが、車道付近まで登れば何とか滑走できそうな状態。

ただ、富士見沢に行くにしても、屋根板下部から登って行く必要があり、また、富士見沢から帰ってくるにも屋根板下部を通らなければならず、密林の下山滑走はかなり難易度が高いシチュエーションが予測されます。

 

全員出発 − 1本でもパウダー滑りたい!

そんな状況にも関わらず、1本はパウダーを滑りたいという想いを消すことはできず、密林の屋根板での下山滑走を覚悟のうえで位ヶ原山荘を出発します。

 

薄日が差す中、寒さはない

出発した9時の気温はマイナス6℃。雲間からぼんやり薄日が差す天候で、少しでも太陽が差し込めば寒さはなくなり、厚着だと汗ばむ状態となります。

 

藪だらけの屋根板 底のない新雪 − 転倒したら起き上がれない〜

左の画像は屋根板を少し入ったところで、夏の登山道の入口付近。足元の新雪は10〜15センチほどあってまずまずの雪質。ただ、降ってから数日経過しているため、表面の結晶がやや崩れ、シールが若干滑りやすい状態。

 

屋根板入口 屋根板中間部

12月上旬から根雪になってくると、降雪のたびに積雪量が徐々に増えてきます。そして、年末寒波で一気に積雪が増えてくると、本格的なパウダーシーズンが始まります。下地の雪も柔らかく、それが底着き感のない極上のパウダーであるわけですが、一旦転ぶと体重でどんどん沈み込んでしまいます。

そして、1月下旬ごろになると、暖かい日が現れるようになり、雪ではなく雨が降ることがしばしばあります。そうなると下地が硬くなって来るため、ディープな降雪がないと、底着き感を感じられるようになってしまいます。そのため、本当に極上のパウダーを求めるなら1月上旬〜下旬までが旬と言えるでしょう。

 

屋根板から富士見沢へ − 滑走できそうな感じに

屋根板から富士見沢に移動すると森林限界を迎え、ブッシュの密度が低くなり、開けた風景になってきます。「ここも滑られそうだなぁ〜。隣もよさそう〜」と、登りながら滑られそうなバーンを探します。

 

富士見沢中間付近 − ここからパウダーランを

富士見沢中間付近で滑走できそうなバーンを見つけ、ここで1本パウダーラン。シールをはがして滑走の準備をしますが、シーズン初めは、前シーズンから保管したままの道具に不具合が見つかりやすいもの。特にシールは他の道具と比べると、経年劣化が激しいため要注意です。

 

思ったよりも状態の良いパウダー

今回の乗鞍サミットでのパウダーは、ツアーコースも登ることができないほどのひどい雪不足のため、半ば諦めていました。しかし、ここでは思ったよりも良い状態のパウダーに巡り合え、皆さん「スイッチ」が入ってしまった模様〜(笑)

 

富士見沢道路付近 − パック・クラスト

富士見沢上部の道路付近まで登った先行メンバーより、「雪着きは良いが表面がパック・クラスト状態であまり滑りやすくない」との情報。厳冬期ならコンディションの良い状態が続く富士見沢も、雪が降りづかないこの時期は、森林限界を超えた上部では風の影響を強く受けている模様です。

 

富士見沢は結構下部まで滑れる

中間部より下の沢筋はまずまずのパウダー感があり、結構下部まで滑走でき、思いがけない収穫となりました。

 

今年もノリクラサミットが無事終了

今回で10回目を迎えた乗鞍サミットも無事に終了。また来年のサミットでお会いできることを楽しみしております。

 

<編集後記>

近年、シーズン初めの雪不足が慢性化し、乗鞍サミットも位ヶ原山荘へのアクセス方法に苦慮する状態が続いています。それでも、バックカントリーのシーズン初めの体慣らしという意味では、乗鞍サミットは良い機会かもしれません。もちろん、皆さんの親睦を図るための機会を設けることが最大の目的であります。

今回で10回目を迎え、継続し続けることの大切さがここにあると思います。成果を求めず続けることが難しい現代社会で、何も求めないスタイルが大事なことではないかと思います。


 

 


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)


 

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