ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

Vol.2(2020/04/11) C

 

 

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(Update:2020/04/16)

 

 【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】

位ヶ原急斜面

こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。オープンバーンとは視界が開けているというですが、逆に目印になるものがないという意味でもあり、視界不良時(濃霧)は方向を見失って遭難することを示しています。位ヶ原山荘の看板の位置から急斜面の上端が見えないほどの濃霧の場合は、今日の山行を中止して引き返すことをオススメします。

 

2019年の位ヶ原急斜面
2019ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2019/04/13) C
先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.1(2020/04/04) C
今回の位ヶ原急斜面
昨年より1メートル近く少ない

 位ヶ原急斜面の積雪は昨年より1メートル近く少なく、積雪の少なかった2016年とほぼ同じ状況ですが、先週よりも若干増えている様子が見られます。

 

新雪10〜15センチ

この1週間の降雪はツアーコース下部では数センチ程度でしたが、この辺りでは10〜15センチほどの積雪です。

 

若干重めだが、新雪スキーが楽しめる

若干重めですが新雪スキーが楽しめます。また、水分が多いせいか、日が陰る午後にはハードパックされてやっかいなバーンになりますので、お昼過ぎには下山を開始することをオススメします。

 

【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】

【本物】左の谷−位ヶ原急斜面(正規下山ルート) 【偽物】右の谷−伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり)

さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...

この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)

 

位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい

ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。

 

伊奈川の谷−大きな岩場があるのが特徴(中央)

伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。

 

【位ヶ原】

位ヶ原

位ヶ原急斜面を登り切った先の位ヶ原。これより森林限界となります。森林限界を超えると、天候・気候が急激に変化します。もし、急激に雲が流れ込んで視界が阻まれるようになったら、急いで引き返す必要があります。

 

2019年の位ヶ原(積雪200センチ)
2019ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2019/04/13) C
先週の位ヶ原(積雪量165センチ)
先週の位ヶ原(積雪量165センチ)

位ヶ原(標高 約2500メートル)で積雪は165センチ。先週と同じで、昨年より35センチ少なく、こちらも2016年並みの少なさです。ただ森林限界以降は4月下旬ごろまで、まだ積雪が増加します。

 

山頂方面
今回は柔らかかったが安全に直登できるのはGW以降
肩の小屋・大雪渓方面
モーグルコースの岩が今年は雪に埋もれないかも

この時期森林限界はまだバーンが硬い状態でありますが、今週は降雪があり柔らかな雪に包まれています。そして、今日は山頂方面に向かった登山者・スキーヤーも多く、朝日岳周辺には綺麗なシュプールが刻まれています。なお、剣ヶ峰から朝日岳の厳冬期のバーンは非常に硬い状態であることが多く、常にアイゼンが必要で、滑走できるようになるのは4月下旬以降です。

また、大雪渓にはバーンに中央に大岩が見られます。当サイトでは「モーグルコースの岩」と呼んでいる岩ですが、例年、3月には積雪で見られなくなります。ご覧のように今年はまだはっきりと確認でき、もしかすると、今年は一度も隠れることなく、融雪期を迎えることになるかもしれません。

 

拡大

摩利支天岳・すべり台周辺 すべり台には無数のシュプール

こちらは摩利支天岳・すべり台付近。先ほどの朝日岳と同様、すべり台にも無数のシュプールが刻まれています。山頂方面(剣ヶ峰〜朝日岳)とは異なり、摩利支天岳・すべり台の厳冬期は、新雪に覆われていることが多く、富士見沢と並んで真冬のパウダーゾーンとして人気があります。

 

拡大

摩利支天岳・すべり台周辺 3号カーブ右側斜面は雪崩多発地帯
山頂方面に向かう際ここをトラバースしないで!

すべり台の隣に位置する3号カーブ右側斜面もパウダーで覆われていることが多く、真っ平な一枚バーンのため、スキーヤー・ボーダーを魅了するバーンですが、こちらは毎年雪崩が発生する斜面で、今年は2月1日に雪崩に伴う死亡事故が発生しています。

春先は位ヶ原山荘から山頂方面に向かう際、この斜面上を横切る方がいらっしゃいますが、雪崩発生を誘発する危険性がありますので、この斜面をトラバースすることはオススメしません(この斜面の下にある屋根板から位ヶ原に登ることをオススメします)

 

<編集後記>

「新型コロナの影響」

首都圏を中心に新型コロナ感染拡大の影響が連日報道され、収束の兆しが見えない状況が続いています。ノリクラにおいては感染の直接的な影響はありませんが、来場者の減少などによる間接的な影響は大きいところです。すでにお伝えしているように、4月29日(水)より運行開始予定だった乗鞍岳春山バスは6月30日までの全期間の運行取りやめが決定されました。

現時点では、5月15日からの岐阜県側・乗鞍スカイライン シャトルバス、及び、7月からの長野県側シャトルバスの新型コロナによる減便・運休の情報はありません。ただ、シャトルバスはマイカー規制の代替交通手段として重要な位置づけではあるものの、高速バスの運休・減便や4月17日より運行が始まる上高地シャトルバスの減便などが実施されていて、今後の状況に応じて判断されるものと思われます。

なお、シャトルバスを含めたイベント状況はこちらに随時更新しておりますのでご確認下さい → 2020シーズン 道路・イベントなどの開催状況<新型コロナ関係>


 


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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