第37回乗鞍ヒルクライム
(2022/08/27〜28) @
乗鞍ヒルクライム(旧 全日本マウンテンサイクリング)は、国内有数の自転車ヒルクライムレースであり、毎年、ここを目指して日々のトレーニングに励んでいる選手もたくさんいらっしゃいます。他の大会と同様、昨年・一昨年は新型コロナ感染拡大のため中止となり、3年ぶりの開催となりました。
感染対策のため、開会式・表彰式の中止やスタート方法の変更などがありましたが、実際に大会が始まれば、それは大きな問題ではなく、3年の間に忘れていた大会にを開催する・参加する意義が再確認できた大会ではなかったかと思います。
なお、過去の大会の様子(※)は、ノリクラ ヒルクライム・マラソン大会関連(全日本マウンテンサイクリングin乗鞍) から、ご覧頂くことができます。(※ 第16回大会(2001年)〜第34回大会(2019年)
【8月27日(土) − レース前日、観光センター】
新型コロナ感染拡大のため、3年ぶりの大会開催のため、今回の大会は随所に感染防止対策を盛り込んだ運営となっています。会場の入口では、来場する選手の皆さんに、体調確認のためのチェックシートの提出、手指の消毒・体温チェックが行われました。
全体の流れは前回大会までと変わりはありませんが、密を回避することに徹底され、選手受付は従来より2時間早く開始されました。
上記のほか、開会式・表彰式の中止もあり、詳細は、参加のご案内(PDF)をご覧ください
こちらはスポーツジャーナリストの橋本 謙司選手。自らチャンピオンクラスに出場しながら、大会の動向や有力選手の様子なども同時に取材。そして、今回はお父様も一緒に参加されるとのこと。
橋本選手に今回のレース展開についてお伺いすると、「3年ぶりの大会となり、これまでのベテラン選手に加えて、若手の台頭が目覚ましく、誰が優勝するのか予測が難しいところです。従来通り、位ヶ原まで複数の有力選手が絡みながら走っていく展開なら、駆け引きのうまいベテラン選手が有利となりますが、パワーのある若手選手が先に抜けきってしまう可能性もあり、そうなれば若手選手に有利な展開になります。」
これまで、「乗鞍はパワーだけでは勝てない」と、言われて来ました。レース後半の空気の薄さなど、他の大会には見られない要素があり、その環境下での選手同士の持久力争いが焦点となり、経験がものを言うからです。
こちらは真鍋 晃選手。6月に開催されたMt富士ヒルクライム、および、7月に開催された乗鞍スカイラインサイクルヒルクライムでそれぞれ優勝され、台頭目覚ましい若手選手の一人です。ヒルクライムを初めてまだ4年目にもかかわらず、Mt富士ヒルクライムでの優勝により、一躍有名となっています。
コロナ渦で、自転車の世界でもインドアでの練習環境の充実が目覚ましく、ズイフトと呼ばれるバーチャルサイクリングサービスは有名ですが、若手選手の多くが乗鞍対策に取り入れている模様です。えっ?そんなことよりも、隣の女性が気になるって?(真鍋選手のサポートに同行する妹さんとのこと...)
今更、説明するまでもありませんね〜筧 五郎選手。もうレジェンドの領域に入る有名選手の一人。今日もひっきりなしに記念撮影に応じられている様子がありました。
明日の予想についてお伺いすると、「シュンスケだと思う〜(前回大会優勝の中村 俊介選手)。こんなところで掛けてくるか!と思うところで掛けてきて、スーッと前に出てくるんだ〜あいつは...(笑)」とおっしゃっていました。仮に若手が出てきたとしても、タイムが大幅に短縮されることはないと思うので、ベテラン勢もいけるのではないかという見立てのようです。
女子選手もご紹介します。こちらは本大会6連勝の金子 広美選手、これまでは女子のクラスで出場されていましたが、今回はチャンピオンクラスからの出場。昨年の東京オリンピックにも出場され、「オリンピックが終わって、次の目標はなんだろうと考えたとき、チャンピオンクラスを選択しました。これまでの枠にとらわれず、女子選手がもっとチャンピオンクラスに出場して欲しいと思うんです。」と、おっしゃっていました。
チャンピオンクラスへの出場資格は、「中学生以上で80分以内に完走できる自信のある方(※)」とされているだけで性別は不問です。今回は190名の出場選手のうち、2名が女性です。
金子選手に声をかけているのは、悪魔わんちゃんのご夫婦。先代のわんちゃんは前回大会のすぐ後に旅立ち、その報告も兼ねたお話に花が咲きます。
そこに登場したのが悪魔おじさん。3年前と変わらない健在ぶり。「ほかの大会と違って乗鞍は特別」と常々おっしゃっていて、「今日はここに来る道中からもう緊張が止まらなくて〜(笑)」とのこと。そして、緊張のあまり、参加証を持たずに来てしまったというハプニングもありました〜〜。
昨年までは、手荷物は大会当日のレース開始直前に預けてましたが、毎回、激しい混雑が見られましたので、今回は密を避けるために、大会受付と同じ時間帯に変更されました。(大会当日から大会前日に変更)
手荷物にゼッケン番号を書いた荷札を取り付け、ゼッケン番号ごとに用意されたマイクロバスに各自で預けます。この時、注意しなければならないのが、先ほどの受付で受け取ったゼッケンや計測バンドを手荷物に預けてはならないこと。そして、クルマのカギ・スマホ・財布なども...おそらく、預けたあと、大騒ぎした人が何人かはいたのではないかと思います。
かつては、10名以上のチームが一団となって会場に訪れる風景はよく見かけたものですが、ここ数年はめっきり少なくなりました。そして、今回はコロナ渦のため、その傾向が顕著になっています。そんな中、毎年、メンバーそろってお越しのこちらのチームに再会できたことはうれしいもの...
取材を受けているのは兼松 大和選手...そして、兼松選手を師匠と仰ぐ佐野 歩選手(前回2位)。佐野選手のコンディションについて兼松選手からは、「前回は2位でしたが、今回は調子いいですからいけますよ!」と、前回大会の雪辱を晴らすレースが期待されます。
そして、こちらが前回1位の牧瀬 翼選手。前述の佐野選手に誘われて今回の参加を決めたとのこと。コロナ渦の2年間、体調を崩した時期もあって、最近になって調子を取り戻しつつある状態であり、明日のレースについては「走り出してみないと分からない〜」と、おっしゃってました。そういえば、前回大会と同じことをおっしゃってたと思いますが、その時のレース展開や体調・天候などのコンディションで大きく左右されるものですから、ごもっともですね〜(笑)
こんな風に毎日が送れたら本当は幸せなのかもしれません...中込辰吾・中込由香里ご夫妻。「コロナ渦も、毎日走ってましたよ〜走ること自体が好きだからモチベーションが切れるというようなことはないですね。大会を開催してくれたことに感謝し、明日は楽しくゴールしたいと思います。」と、おっしゃってくださいました。「大会を開催してくれたことに感謝...」、多くの選手の気持ちを代弁してくれたように思います。
乗鞍でこの方の存在を忘れてはなりません。「山の神」と称される森本 誠選手。今回は史上最高の9勝目を狙っての出場です。
今回の大会について、「開催されてほっとしている反面、3年ぶりに勝負の場面に立ち、奮い立つものがありますね〜。42歳という年齢ですから、体力的には難しいところがあり、今回は減量に取り組んでみました。これまでより1〜2kgは絞ってきました。」とのこと。
そして、「この2年で若手がどんどん出てきて、明日はそれがはっきり出てくるんじゃないかと...その中でも、プロの選手に近いような人もいて、全日本選手権のタイムトライアルでチャンピンとなった金子 宗平選手も怖い存在。乗鞍は中盤からきつくなってくるので、そのあたりで新しい選手がどのような走りをするかですね。でも、どんなレースになるかわからないので、見るほうは楽しいだろうけど、やってるほうは辛いですよ〜(笑)」
こちらは中村 俊介選手。前回・前々回の2連勝で、今回は3連覇に向けて多くの期待がかかっています。
「3連覇というより新たにチャレンジしに行く気持ちです。ヒルクライムを目指す上で特別な大会なので、開催されてうれしい。この2年間で若手の選手の成長が著しいので、むしろ、挑戦させてもらう感じです。三本滝までは集団で行くので、それからペースを上げ下げして走り、位ヶ原から勝負だと思います。ただ、若い人たちと走ったことがないので、どのように走るタイプなのかが分からないのがちょっと不安点です。」
森本選手をはじめ、多くの選手が「あいつは掛けるタイミングが分からないんだよ〜。え〜っこんなところで?という場所でスーッと前に出て行ってしまうから怖い」と言われる中村選手。その掛けるタイミングについて
お聞きすると...
「掛けるタイミング?位ヶ原まではちゃんと走って、そこまでに攻撃しながらも人数を調整して、位ヶ原を抜けてから、周りの雰囲気を見つつ、自分の調子と掛けれるところでかけていく〜〜特別なことは特に...(笑)」と、いつもながら飄々とした表情で話してくれました。
午後から雨が降り始めるあいにくの天気になってきました。これから明け方に掛けて、雨が降ったりやんだりを繰り返しそうな状況ですが、大きな崩れではなさそうで、この分だと、明日は問題なく開催できそうです。明日のレースは、いつもより30分ほど早い6時25分より始まります。3年ぶりの大会ですが、どのような展開になるでしょうか?
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