ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.7(2008/05/01〜04) D
【屋根板から位ヶ原へ】
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屋根板 − 変わらぬ雪原にも変化の兆し |
こちらは屋根板付近。ほとんど変わらない雪原が続きます。そんな中でも少しずつ変化を見せます。
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ダケカンバが顔を出す | しばらくするとワサッと雪をはらって起き上がる |
屋根板一体はダケカンバの木が生い茂り、秋の紅葉では見事な色彩を放ってくれます。ダケカンバはご覧のように真冬は雪の下に追いやられ、その幹はひどく捻じ曲げられていることは誰しもご存知のことと思います。大きな幹のダケカンバも雪の重みで一旦真横にされると、雪解けが進むまでは這い上がることができません。しかし、雪解けが進むと、いつの間にこんなに大きなダケカンバが植えられたのかと錯覚してしまうほど一気にその姿をあらわします。
先端の出始めたダケカンバをしばらく観察していると、ワサッ、ワサッと雪を払いのけながら長く曲がりくねった枝が起き上がる様子が見られます。ですから、先端が出始めるとその大きな姿が現れるまでさほど時間はかかりません。
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雷鳥 − 徐々に黒い姿に変化します |
この時期の雷鳥は白一色から徐々に黒い羽に姿を変えて行きます。
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雷鳥の羽が無数にあります − いたるところに雷鳥が行き来している証拠 |
活発に活動を始めて、白い雪面にはいたるところで雷鳥の羽を見つけることができます。多くの方はあまり雷鳥を見かけたことがないようですが、屋根板や位ヶ原といった雪原にはいたるところに雷鳥の羽が無数に落ちています。雷鳥と遭遇していないだけで、登山者やスキーヤーは雷鳥が往来するエリアに立ち入っていることは間違いありません。滑走の際には驚かさないよう十分な配慮が必要でしょう。
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黄砂で汚れて雪面はまだら模様 |
黄砂などで汚れた雪面に雪解けや降雨による水の流れで雪面はまだら模様が幾重にもできています。これもまた春が訪れた証でしょう。
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位ヶ原 − 真夏のようにもくもくとゆったり雲が流れる |
屋根板から位ヶ原に上がると真夏のようなもくもくとした雲がゆったりと空を行き交います。
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位ヶ原のど真ん中でゆっくりできるのは穏やかな証拠 |
そんな位ヶ原の真ん中でゆっくりとされている方がいらっしゃいます。お昼に位ヶ原山荘に到着した春スキーバスでやってきて、今日は山頂は無理なのでのんびりと位ヶ原周辺や大雪渓近辺を滑走するとのこと。
これまでの時期では絶えず西からの冷たい風が吹き抜けて、とてもこんな風に位ヶ原の真ん中で腰を下ろして休憩することは到底できませんでしたが、こんな状況からも季節が移り変わってきたことを実感させてくれます。
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さらに先に進んでトイレの屋根が見つかればその先は大雪渓です。
【雪渓下部】
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それではいつものように大雪渓下部の様子をお伝えします。
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今回(5月3日(土))の大雪渓入口 |
先回(4月27日(日))の大雪渓入口 |
こちらは大雪渓入口付近。左は今回(5月3日(土))の画像で、右は先週(4月27日(日))のものです。先週は看板がほぼ隠れてしまいましたが、ご覧のようにかなり雪解けが進んでいることがわかります。これまで、昨年よりも明らかに多い積雪量でしたが、この1週間の雪解けでほぼ同じくらいの状況になっています。
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ツボ足で甲程度の沈み込み、板に張り付く重たい雪でターンのしづらい状況です。
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トイレ前 |
先週まではまったくなかったトイレ前の駐車場には縁石が頭を出し始めています。それでもこの付近は昨年よりも積雪量が多い状態を推移しています。
【雪渓上部〜稜線付近】
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雪渓上部全景 | 魔利支天 |
こちらは雪渓上部。さほど大きな変化はありませんが、コロナ観測所のある魔利支天の西側斜面で積雪がかなり少なくなって、岩の露出が目立つようになって来ました。
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山頂を目指す列 − 大雪渓から直登のルート、肩の小屋から登るルート |
いつもなら肩の小屋から大雪渓への滑走や魔利支天岳の滑走のシュプールが目立ちますが、春スキーバスの運行が始まって今日は大半の方が山頂を目指します。こちらの画像はいずれも大雪渓から朝日岳方面を撮影したものの、まっすぐ登るルートと右から斜めに登るルートがあります。ツボ足やアイゼンの方は大雪渓からそのまま直登するルートを登ってゆきますが、シールでは緩んだバーンではグリップが効きにくいため、シールの方は右側にある肩の小屋方面から登ってくるルートを取った方が多かったようです。いずれにしても、絶えずこのエリアには数十人の方が登って行く姿を確認することができました。
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朝日岳直下でも緩んだ雪質 |
今日は屋根板や位ヶ原はもちろんのこと、大雪渓や画像に写る朝日岳直下のバーンですらかなり緩んだ雪質となっています。
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ゆっくり流れる雲のグラデーション |
そして、ゆっくりと流れる雲のグラデーションが位ヶ原や大雪渓の銀幕に映し出される光景は穂高連邦をバックに誰しもカメラを取り出さずにはいられない躍動感あふれるシーンです。
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グラデーションを写す位ヶ原の銀幕も... | 1ヶ月もすれば美しい唐草模様 (2007/06/16) |
きれいな光と影を映し出す位ヶ原の銀幕も季節が過ぎるとまた新たな模様を描いてくれます。右の画像は昨年6月の同じ箇所の画像。ご覧のように緑のハイマツ帯に流れる沢筋に残る残雪との唐草模様がなんとも美しく絵筆を振るっています。(→ 2007ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2007/06/16〜17) − Page : 6 )
これから雪解けが進み、スキー滑走においては苦労させられる部分が出てくるとは思いますが、再び訪れてこんな季節の移り変わりをぜひご覧ください。
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剣ヶ峰〜蚕玉岳の沢 − 滑り尽くされています | まるでゲレンデを思わせるほどの人出 |
先ほどの朝日岳直下のエリアからさらに東に移動し、こちらは剣ヶ峰と蚕玉岳の間の沢筋です。上部はやや急斜面ですが、ご覧のようにまるでスキー場のゲレンデを思わせるほどの人出です。
そのためひどく緩んだバーンはいくつもののシュプールで、これほどまでに荒れたバーンは今シーズン始まって以来のことです。
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GWの休みを利用してはるばるお越しになりました |
始発の春スキーバスに乗り遅れてツアーコースを登ってこられたということこちらの方。GWを利用してはるばる山口からお越しになっています。そして、明日は御岳に行かれるとのこと。明日も良い天気が続きそうですので、楽しい思い出を作ることができるでしょう。
ノリクラを始め、スキー場や山スキーのフィールドにお越しになる方は県内の方はもとより、遠方からお越しになっている方が多く、交通費など諸経費をかけてでも訪れてみたいという引力がここにはあります。
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@ かなり緩んだバーンでも元気に板を切り込んで行きます |
これだけ緩むとなかなか足場をしっかりと捉えることが難しい状況になってきますが、それでもボードの方は元気に板を切り込んで来ます。
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A ちょっとでもトップがもぐりこむと... | B ご覧のように... |
しかし、ちょっとでもトップが緩みきった雪面にもぐりこんでしまうとご覧の状態...
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強い日差しでまるで夏スキーのような状態 |
今日は一日強い日差しに照りつけられて、春スキーというよりも夏スキーといったほうが正解なような一日となりました。(→ Next)
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