ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2008/08/15〜17) C
【高山植物】
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シナノオトギリ | まつげのようなおしべが特徴 |
まつげのような雄しべが特徴です。夏が終わりに近づき始めると大雪渓周辺でも目立つ存在になってきます。高山に咲くオトギリにはイワオトギリもあり、また、平地のオトギリソウも標高の高いところまで自生するようで、その同定は難しいものがあり、今回ご紹介したオトギリもイワオトギリである可能性もあります。
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ウサギギク | 頭花が完全に咲きました |
先週、まだ「咲いていないウサギギク」が多く見受けられましたが、今週はご覧のように満開のものが目立つようになって来ました。
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ハナアブ − ハチのような縞模様 |
そして、ハチに似たこちらの昆虫はハナアブ。花粉や蜜をえさとして、人を刺したりはしません。ハチと同様、植物にとって受粉に欠かせない昆虫で、ハチよりも寒さに強いため、このように高山帯にまで進出してくるのでしょうか?ハナアブの仲間はハチのような縞模様を持つものが多いので見分けがつきにくいですが、羽根が四枚であればハチ、二枚であればアブです。
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セリバシオガマ |
高山植物は黄色の花も多くありますが、やはり白のもののほうがたくさんあるようです。こちらはセリバシオガマ。良く知られているピンクのヨツバシオガマがピークを過ぎようとする頃に咲き始めます。ヨツバシオガマよりもやや背は高いものの、ご覧のように花はあまり目立ちませんので、ヨツバシオガマのように「(花だけでなく)葉まで美しい(=浜で美しい)」とはならないようですね。
「浜で美しい」という言葉にかけて、浜で使う塩釜(シオガマ)と関連付けて命名しているようですが、どうしてそこまで連想が続くか、昔の人は語彙が豊かだったんでしょうね。
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ハイマツ帯の傍らにゴゼンタチバナ |
高山帯のハイマツ帯や亜高山帯の針葉樹の林床などの木陰でよく見かけるのはゴゼンタチバナ。ゴゼンタチバナの花の時期は6月〜7月頃で、8月中旬に見られるのはやはり雪解けの遅い大雪渓だからと考えられます。
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白い花弁は総苞片 | 花弁でないので下には萼がありません |
4枚の白い花弁は葉が変化した総苞片(そうほうへん)。右の画像をご覧になると、花弁であればその下に緑色の萼(ガク)があるはずですが、それがないことが分かります。実際の花は4枚の総苞片の中心にある十数本の小さな器官で、白い花をつけますが、もう花の時期は終わって、これからこの十数本のうちのいくつかに赤い実ができます。秋になると赤いたくさんの実ができているのをご覧になるかと思いますが、花が一輪なのにたくさんの実ができるのはそんなわけがあります。
萼が花弁に見える高山植物はハクサンイチゲやシナノキンバイなどをご紹介いたしました。萼よりさらに下にある苞が目立つ植物としてはミズバショウやザゼンソウがあり、また、ノリクラでも問題となっている外来種のセイヨウタンポポと在来種のミヤマタンポポは、この苞の返り方で見わけられます。
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花をつけるのは葉が6枚構成のもの、4枚にはつきません |
通常、花をつけるのは葉が6枚構成のもので、4枚のものは花をつけません。しかし、右の画像の下の花は4枚構成。2枚が隠れているのかもともと4枚なのか、もう一度確認する必要があります。
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モミジカラマツ |
こちらはモミジカラマツ。葉がもみじのようなで花がカラマツソウに似ているところから、このように呼ばれています。
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白い花糸はすべて雄花 − 花弁はありません |
この白い花糸はすべて雄花。花弁はなく、萼も開花すると落ちてしまいます。右の画像では一本一本の花糸の先端に花粉をつけた葯(やく)を見ることができます。
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オヤマリンドウ |
そして最後にご紹介するのは、つぼみが大きくなり始めたオヤマリンドウ。お盆を過ぎて9月が近づき始めると咲き始めます。でもほとんど咲かないことでよく知られています。
さて、つぼみの状態のオヤマリンドウの花の色ですが、今回は白い高山植物ばかり紹介いたしましたので、最後も白で締めたいところですが、花が咲きましたらまたご紹介いたします。(→
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