ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.17(2009/09/05〜06) C
【高山植物】
ハイマツの実(マツボックリ) −残っているのは若いものばかり |
こちらはハイマツのマツボックリ。見かけるのは、青々としたまだ若いものばかりで、昨年以降の熟した物はほとんどなく、新しいものでも、右の画像のように、かじりとろうとした跡が残っています。
熟したものはすべてホシガラスが |
熟したマツボックリがないのは、すべて、ホシガラスがむしりとってしまうからです。
ホシガラス − マツボックリをくわえて旋回 |
この時期、ホシガラスは、ハイマツのマツボックリの収穫のため、忙しそうに上空を旋回します。その姿を良く観察すると、右の画像のように、むしりとったマツボックリをくちばしに加えて飛び回る様子も見られます。
くちばしで中から実を取り出す | ほお袋に一旦ためて、岩場に隠す |
むしりとったマツボックリを足で抑えながら、くちばしを器用に使い、中から実を取り出します。何度か実をつついては飲み込むしぐさを繰り返した後、再び、別の場所に移動します。一見、実を食べているように見えますが、一旦、ほお袋に貯めて、冬に備えて雪の積もらない岩陰などに蓄えるのです。ただ、時として、食べられずに忘れられることもあって、そんなハイマツの実が発芽して、次の世代へとつながって行くのです。
ホシガラスの去った後はマツボックリが散乱 |
ご覧のように、この時期は、岩場にたくさんのマツボックリが散乱している様子が見られますが、ホシガラスの仕業なのです。
ハイマツ林の中にも色々な高山植物を見つけることができます。
ゴゼンタチバナ(実) |
こちらは、ゴゼンタチバナ。林床を好む高山植物で、高山帯よりも標高の低いところでもよく見かける植物です。左の画像のように、もう完全に花は終わり、さらに、右の画像のように、実ができはじめています。これから、真っ赤に熟した様子が、登山道のあちこちで見られるはずです。
ゴゼンタチバナ(紅葉) |
周囲をよく見ると、実が真っ赤に熟す前に、綺麗な紅葉が始まっています。ノリクラの中で、最も早くて見事な紅葉です。
さらに周囲を見渡し、少し日当たりの良い場所では...
クロウスゴ(実) | ベニバナイチゴ(実) |
クロウスゴやベニバナイチゴがたわわに熟している様子が見られ、秋本番を迎えています。
登山道沿いの高山植物 |
肩の小屋へ向かう登山道では、高山植物のピークの時期は過ぎていますが、コウメバチソウなど、またまだ、花の時期は終わっていません。
ミヤマホツツジ − 花柱が反り返るのが特徴 |
こちらはミヤマホツツジ。ようやく花を咲かせました。昨年よりも一週間ほど遅い状況です。花の中心にある花柱が反り返ったユーモラスな姿が特徴ですが、標高の低い山地に咲くホツツジは反り返らないところが異なる点です。
オヤマリンドウ(花) − この状態でほぼ満開 |
オヤマリンドウも開花です。右の画像のように、ほんの少しだけ開いていますが、おそらく、これでほぼ満開の状態です。オヤマリンドウの学名はGentiana makinoi 、種小名の「makinoi」は、植物学者で有名な牧野富太郎への献名です。
牧野富太郎は、数多くの植物の発見・命名の実績があることで有名で、高山植物の中でも、チングルマGeum pentapetalum や、ウラジロナナカマドSorbus matsumurana は、牧野富太郎が命名者・原命名者となっています。しかし、学名そのものに牧野の名前が入るものは、さほど多くありません。(→ Next)
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
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