ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2010/06/05〜06) @
【大雪渓】
このところ週末は比較的良い天候の時が多く、今回も天気予報では終日に渡って晴天と謳われていました。しかし、6月5日(土)は早朝の畳平はマイナス1℃の冷たい空気と濃霧に包まれ、天気予報とは裏腹の一日が始まりました。しかし、その後は午前中を中心に激しく流れ行く雲に支配され、青空にドラマチックに雲が移り過ぎ、天候は次第に回復し、夕方にはほぼ完全に快晴となりました。濃霧から快晴までの天候の移り変わりが、楽しく一日を過ごすことができたようにも感じます。天候が悪化する方向に進むことはよくあっても、このように好転するパターンにめぐりあるケースはあまりないため、気分的にも和やかになってゆくものです。
そして、春山バスの運行が肩の小屋口バス停(大雪渓駐車場)まで延長運行が開始されました。大雪渓まで運行されると稜線までは目と鼻の先といった感覚にさせられることもあって、始発便は5台も運行され、多くのスキーヤー・ボーダーでにぎわいました。夏スキーのハイシーズンの賑わいといっても良いほどの状況で、ノリクラの季節がまた一つ移って行く感じを受けました。
翌日の6月6日(日)は朝から快晴。強い日差しで7時くらいにはジリジリとした初夏を思わせるほど。乗鞍スカイラインは暑くもなく寒くもないコンディションで、まさにヒルクライム日和そのもの。そして、桔梗ヶ原付近では綺麗な青空に四方八方包まれ、まわすペダルもいつもよりも軽く感じられ、天空のヒルクライムを十二分に楽しむことができます。鶴ヶ池雪渓ではザクザクに緩んだ雪飛沫を蹴散らしながら果敢に攻めるモーグラーの姿が今年も現れて、夏スキーのシーズンインを思わせてくれ、またとない天空のヒルクライムと、初夏を思わせるモーグラーたちの様子を見ると、梅雨入り前の貴重な一日を過ごせたようにも感じさせてくれました。
それでは乗鞍スカイラインから大雪渓・稜線方面の状況と岐阜県側スキー滑走指定地の鶴ヶ池雪渓の様子をお届けします。
【6月5日(土)、ほおのき平駐車場】
こちらは岐阜県側の乗鞍スカイラインシャトルバス乗り換え駐車場のほおのき平駐車場。早朝6時の気温は12℃。昨晩の星空の広がる快晴から雲の広がる天候の朝です。
ほおのき平駐車場では寒さは全く感じない気候ですが、乗鞍スカイライン終点の畳平はマイナス3℃。山麓との気温差が15℃にも達することはあまり例がなく、今日は上空に冷たい空気が流れ込んでいることがわかります。
そして駐車場では出発の準備に取り掛かる様子が見られます。いつもなら山頂方面に向うために始発便に間に合うように準備を進めるスキーヤーや登山の方の姿が多く見受けられましたが、6月には入ると畳平から目と鼻の先にある鶴ヶ池雪渓でモーグルを楽しむ方々がお越しになるようになり、朝のひとときをのんびりと過ごされる様子もあります。
同じスキーでも山頂・稜線を目指す山スキーから、タイムを競うレーシングや果敢にコブに挑むモーグルまで、幅広くジャンルがあります。ノリクラには色々な方々が十分に楽しめる受け皿を持つフィールドの広さがあります。
そして、始発便の出発時刻が近づくにつれてバス乗り場にはたくさんの方々が集まってきます。
シャトルバスに乗車しようとされる方々には、スキーヤーのほか、写真などを目的にお越しになる方もいらっしゃいます。大きな望遠レンズを持った方がスキーヤーに「雷鳥はどの当たりで見られるんでしょうか?」と、話をされる様子がありました。
異なったジャンルの方が話を交わされる機会はノリクラに限らずなかなか見つけられないもの...シャトルバスの待合時間はそんな機会を与えてくれ、マイカー規制の一つの功績といっても良いと思っております。
そして、6時55分発シャトルバス始発便が到着します。
いつものようにトランクにスキー板を搬入します。
ほおのき平駐車場からは40名ほどの方が乗車され、平湯温泉からの乗客を合わせるとほぼ満席の状態。
それでは畳平に向けて出発です。
【乗鞍スカイライン】
それではここからは乗鞍スカイラインの様子をお伝えします。
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先週の平湯峠付近 ノリクラ 雪渓カレンダーVol.3(2010/05/29〜30) @ |
今週の平湯峠付近 ようやく新緑が芽吹き始める |
平湯峠付近も遅ればせながら新緑も萌黄色を感じるようになって来ました。しかし、その進み具合はやや遅いように感じられ、昨年よりもやや遅れ気味のようです。
昨年の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) 2009ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2009/06/06〜07) @ ↓ |
先週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2010/05/29〜30) @ ↓ |
マイカー規制前にあった夫婦松料金所を1kmほど進んだ4kmポスト付近の様子。ヘアピンカーブの奥の法面では先週と比べて明らかに雪解けが進んでいる状況がわかります。ただ、昨年はほぼ完全に雪解けが完了していた状況から比べると、今年は雪解けがやや遅いことがわかります。前述の新緑の芽吹きが遅れていることと雪解けが遅いことから、昨年よりも低めの気温が推移して入るのではないかと考えられます。
昨年の乗鞍スカイライン(猫の小屋跡地) 2009ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2009/06/06〜07) @ ↓ |
先週の乗鞍スカイライン(猫の小屋跡地) ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2010/05/29〜30) @ ↓ |
さらに進んで、こちらは標高2000m付近の猫の小屋跡地。こちらの先週と同様、昨年よりも多い積雪状況を示しています。
立ち枯れの針葉樹 − マイカー規制前の排気ガスの影響とも考えられる |
乗鞍スカイラインの沿道をよく見ると、ご覧のように立ち枯れた針葉樹の一群を見つけることができます。マイカー規制前の排気ガスの影響とも考えられており、ちょうどヘアピンカーブの手前で排気ガスの排出が最も多い場所でもあります。
近年は高山植物の分布に改善傾向が見られ、排ガスだけでなく、入山者数の減少とマナー向上により、土壌の踏み荒らしなどの軽減が環境へ好影響に関係していると思われ、色々な側面から自然環境への影響を考慮しなければなりません。
猫の小屋跡地を過ぎてしばらくすると森林限界に到達します。今日はこの付近から雲が低く垂れ込むようになってきました。上空の空気が不安定な雰囲気で、ノリクラに限らず、森林限界を超えた付近からは山麓との天候の違いがはっきりと感じられるようになり、天候の変化のスピードも速く、「山の天気は注意が必要」という結論になるわけです。
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昨年の烏帽子岳 2009ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2009/06/06〜07) @ |
今回の烏帽子岳 ほぼ昨年並み |
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昨年の四ッ岳カーブ 2009ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2009/06/06〜07) @ |
今回の四ッ岳カーブ ほぼ昨年並み |
標高2692mの烏帽子岳の山頂付近には雲がかかり、その様子がはっきりと確認できませんが、先週と同様にほぼ昨年並みの状況です。
そして、その先の標高2550mにある四ッ岳カーブ付近は完全に雲の中に入ってしまい、視界が全く効かない状況。そのため、掲載した画像は天候の回復した夕方の状況で、ほぼ昨年並みであることが分かります。
話が前後いたしますが、左の画像が朝の四ッ岳カーブ付近の様子。視界は50〜100メートルほどで、まだ、周辺の状況を把握することができますが、その先の標高2650m付近の桔梗ヶ原ではその先の様子が全く確認できず、対向するタクシーやバスのヘッドライトも間近に接近しないと分からないほど。
乗鞍スカイラインは積雪凍結のほか、雨量・風速や濃霧などの気象条件で通行規制が実施されます。また、強風の場合、自転車の通行が規制される場合があります。
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昨年の鶴ヶ池雪渓 2009ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2009/06/06〜07) @ |
今回の鶴ヶ池雪渓 上部は昨年並み、下部は雪解けがやや早い |
畳平の手前にある鶴ヶ池雪渓(岐阜県側のスキー滑走指定地)は魔王岳北斜面にあり、滑走エリアは画像を四分割したときの左上部分となります。滑走エリアにおいては昨年とほぼ変わらない状況ですが、画像の下半分では昨年よりもやや雪解けが早めに推移しています。
早朝は濃霧に覆われておりましたので、こちらも天候の回復した夕方の画像を掲載しております。
鶴ヶ池雪渓を過ぎると、乗鞍スカイライン終点の畳平に到着です。(→ Next)
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