ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.1(2011/05/14〜15) @
今シーズンのノリクラ雪渓カレンダー正式版の連載を今回取材分から開始いたします。10月末までの約5ヶ月半の期間中、ご愛読のほどよろしくお願いいたします。
さて、取材前の数日間は梅雨のようにまとまった雨が連日続き、ツアーコースをはじめ、位ヶ原や大雪渓でもかなりの雪解けが見られ、例年のこの時期は真っ白な上部エリアは、所々でハイマツ帯が広がる状況となってしまいました。先週までの状況をご存知の方は、この激変ぶりに落胆される様子もあったほどです。
5月14日(土)は、昨晩から続く強めの風が吹き抜ける朝から始まります。雲量の多い青空は次第に雲の勢力が優勢となり、徐々に天候は悪化傾向になって行きます。それでも春山バスの第一便は5台が運行され、多くの方が訪れた三本滝レストハウス付近は朝の賑わいが広がっていました。
冒頭に申し上げたようにひどい雪解けのため、先週まではかもしかゲレンデまで問題なく滑走下山できたツアーコースも切り株・ブッシュがかなり多くなってきて、そろそろツアーコースでの滑走下山のタイムリミットが近くなってきています。
ツアーコースより上部の位ヶ原は、それまで白一色だった雪原が人の背丈近くまで大きくなったハイマツ帯が至るところに広がるようになり、この激変ぶりには驚かされるものです。そんな状況でも、午後になると小雪が舞い、気温はマイナス2℃まで低下するほど。春と冬が交互に訪れるこの時期ならでは状況を見せ付けられた一日でした。
そして、5月15日(日)は、乗鞍スカイライン開通日、朝からよい天候に恵まれ、ほおのき平駐車場での乗鞍登山バス出発式に引き続き、畳平で乗鞍岳山開き祭が開催されました。朝からの快晴は時間とともに少しずつ薄雲が広がる状況を見せましたが、それでも多くのスキーヤー・ボーダーが稜線を目指して登って行く様子が見られ、適度に柔らかな春スキー特有のバーンコンディションを思う存分味わうことができた一日でした。
それでは、不安定な天候のゴールデンウィーク前半の様子をお伝えします。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
【5月14日(土)、観光センター前駐車場】
こちらは朝7時の観光センター前駐車場。
気温は6℃、綺麗な青空が広がりますが、昨晩からの強風が今朝も残り、寒くて震えるというほどではないものの、肌寒さが若干感じられる朝です。
山頂方面は雲に包まれています。その雲はゆっくりと流れています。高天ヶ原の山肌が雲の下から確認できますが、かなりハイマツが姿を見せていることが確認できます。先週まではほぼ完全に白肌でしたので、この一週間で激しく雪解けが進んだことが推測されます。
観光センター周辺の山肌は、モノトーンの世界から幾分色合いが感じられるようになって来ました。
こちらは自然保護センターにある桜の木。そろそろ花を咲かせてもよい時期ですが、今年はつぼみはまだ堅そうです。
ノリクラの桜前線はこれより山麓側の番所(ばんどころ)付近までやってきています。観光センター周辺を見回すと、ちらほらと花を咲かせている桜を見つけることができます。画像の奥の木はピンクの花を咲かせている桜。そして、手前はこれから時期を迎えるスモモの木。
桜 − 開花が始まる | スモモ − まだこれから |
桜とスモモが同時に咲くときもありますが、スモモのほうが若干遅いようです。ご覧のように右のスモモの芽はまだコロコロとした状態。5月中〜下旬にかけて乗鞍高原一帯で白い花のスモモをいたるところで見かけることができるようになるはずです。
強く吹きぬける風と湧きあがる雲が絶え間なく行き交う空。春の暖かさをあまり感じさせない朝が続いて行きます。
【三本滝レストハウス】
観光センターから7kmほど先にある三本滝レストハウス。マイカーで通行できるのはここまでで、今日も多くのスキーヤー・ボーダーの方々が春山バスに乗車するためにお越しになっています。
春山バスは1日3便運行され、第一便が三本滝バス停に到着・出発するのは8時20分。観光センターからも乗車できますが、右の画像の遠方に見えるかもしかゲレンデまでツアーコースを経由して上部エリアから下山滑走することができるため、この時期は三本滝バス停から乗車するスキーヤー・ボーダーの方々が多く見受けられます。
ザックにスノーシューなどをくくりつける準備をされています。「位ヶ原山荘で春山バスを降りたら山頂まで行きたいけど、ここでこれだけの風が吹いていますから、上部はもっとひどいんでしょうね〜」と、おっしゃりながら今日の行程を思案しています。
春山バスで森林限界付近の位ヶ原山荘まで容易にアクセスすることが可能になると、山麓の感覚で位ヶ原に出向くことから、現地に到着して環境の違いにかなり戸惑うこともしばしばあります。そのため、位ヶ原一帯がすでに濃霧に包まれているときはもちろんのこと、山頂付近にかかっている雲が低くなってきて、これから位ヶ原一帯を覆い尽くそうとしているようなときは要注意で、その雲が位ヶ原一帯にかかると、山頂から全く下山ができないほどのホワイトアウトとなり、方向感覚が失われてしまいます。
8時前から三本滝停留所に列が並び始め、バス会社の係の方が乗車券の販売を開始します。
かもしかゲレンデはご覧のように滑走できる状況でないことは一目瞭然ですが、それより上部のツアーコースが滑走可能かどうか気がかり...そのため、片道券を購入しようか、往復券にしようか迷うところ...
例年、ツアーコースを利用して滑走下山できるのは5月下旬頃までです。ただ、所々で歩く必要があり、ツアーコースから下部のかもしかゲレンデは完全に歩かなければなりません。また、ツアーコースに積雪があっても、ウェーブ(コブ)がひどいところもありますので、滑走に自身のない方は、春山バス下り便を利用することをお勧めします。
春山バス第一便の定刻である8時20分が近づくにつれて、続々とスキーヤー・ボーダーの方々が集まり、長蛇の列ができるようになってきます。
週末など利用人数の多い場合、乗車に時間がかかるため、定刻よりも早めに春山バスが到着します。
春山バス第一便は大半がスキーヤー・ボーダーの方々が占め、トランクにスキー板などを搬入してから乗車となるため、実際に発車するまでには時間がかかることともしばしばです。
今日の春山バス第一便は5台が運行されました。運行台数は三本滝・観光センターの各駐車場のマイカー台数やバス停に定刻前にお越しになった方々の人数の状況をもとに判断され、乗車できないことのないように配慮がなされています。ただ、週末であっても天候状況によってかなりのばらつきがあり、見込み以上の乗客数となれば、乗車できないことも稀にありますのでご注意ください。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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