ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.1(2011/05/14〜15) B
【ツアーコース U】
入口急斜面を登りきって、ツアーコースはさらに続きます。
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昨年の1番標識付近(手前) 2010ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2010/05/14〜15) A |
今週の1番標識付近(手前) 昨年以上の雪解け |
入口急斜面を登り切って1番標識付近までは切り株が最も多いエリアです。先週までは昨年並みの推移を見せていましたが、今週は昨年以上の雪解けが見られます。
ツアーコースの全エリアの中で、この付近がもっとも雪解けが進んでいる箇所です。そのため、滑走エリアがかなり制限されるようになってきて、これ以上雪解けが進むと滑走できない状態となります。
昨年の3番標識 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2010/05/14〜15) A ↓ |
先週の3番標識 (2011/05/07) ↓ |
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こちらはツアーコース中間付近にある3番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週よりも1メートル少なく、昨年よりも50センチ少ない状況で、この一週間で積雪量は劇的に減少しています。
今日は気温が8℃前後で強い日差しもないことから、バーンはやや硬めのコンディション。ツボ足で登っても踏み抜くことなく、アイゼンのグリップの良好な状況です。
そして、ツアーコースの傍らでは何かやってますよ...
エア台の作成ですね。「かもしかゲレンデでできるかと思いましたが全く雪がなくて、雪のあるところまで登ってきたらとうとうここまで来てしまいました。登り始めたら引くに引けなくて...」と、おっしゃりながら作業を続けます。
ご覧のようなエア練習は夏の大雪渓では良く見かけますが、着地時に負傷することもしばしばあります。ツアーコースはゲレンデや大雪渓と異なり、車道から遠く離れています。そのため、負傷して救助が必要となれば、山岳遭難と同じような対応が必要となる場合があります。
山岳遭難の場合、ヘリコプターによる救助も想定され、民間のヘリコプターが救助対応した場合は多額の費用が請求されます。そのため、救助費用まかなうための山岳保険に加入される登山者もいらっしゃいます。
エアー練習に限らず、通常の下山滑走でも負傷の心配はつきものです。細心の注意のもとで行動されることをお勧めします。
今日の天気は予報では晴れマークが終日並んでいましたが、時間とともに天候は悪化傾向を示します。梅雨時のような前線が居座ったため雨が連日降り続きましたが、その前線が南下して天候が回復し始めたものの、それと同時に寒気の流れ込んで天候が不安定な状況となってきたようです。
連日降り続いた雨の影響はかなり大きく、ツアーコースは至る所でブッシュ・切り株が顔を出しています。強い日差しよりも長く降り続く雨は、雪解けに大きな影響を与えます。
昨年の5番標識 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2010/05/14〜15) A ↓ |
先週の5番標識 (2011/05/07) ↓ |
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こちらはツアーコース中間付近にある3番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週より1.2メートル減少し、昨年よりも30センチ少ない状況です。
5番標識を過ぎて6番標識付近に差し掛かると、ウェーブ状になった箇所があります。ウェーブの形状は先週とほとんど変わりありませんが、積雪量は1メートル近く減少しています。
そして、6番標識を過ぎれば、ツアーコース最後の位ヶ原急斜面へと向かいます。
【ツアーコース V −位ヶ原急斜面】
こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンとなってきます。
昨年の位ヶ原急斜面 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2010/05/14〜15) B ↓ |
先週の位ヶ原急斜面 (2011/05/07) ↓ |
位ヶ原急斜面の積雪は先週より1.5メートル減少し、昨年より1メートル少ない状況です。
いつもならお昼過ぎにならないと、ツアーコースを下山滑走される方々は増えてきませんが、まだお昼前だというのに、続々と上部エリアからツアーコースへと滑り降りてくる方々の姿が続きます。
春山バスを降りて肩の小屋まで登っていったものの、強風とともにバーンが硬く、それ以上先に進むことが困難だったとのこと...今日は早めに下山して温泉でゆっくり時間を楽しみたいと、おっしゃってツアーコースを滑り降りて行きました。
ノリクラの魅力はツアーコースなど上部エリアばかりでなく、山麓の乗鞍高原も色々な見所があります。平地では一ヶ月以上も前に終わってしまった桜が見頃を迎えようとしています。また、若干見頃の時期が終わりになってきましたが、一の瀬園地では水芭蕉の群生があって、ゴールデンウィークには数多くの観光バスが訪れていました。
こちらの方々も肩の小屋まで行ったものの強風と寒さでそれ以上進むことを断念。「肩の小屋を風除けにお昼にしようと思ったものの、そんなことをする気分にすらならない...体感では氷点下ですよ。」と、おっしゃっています。
この時期に営業している山小屋は、春山バスが到着する位ヶ原山荘だけで、大雪渓駐車場の避難小屋・トイレを含めて利用できる施設はありません。したがって、肩の小屋に到達しても建物を風除けにして休憩するしかない状態です。
明日、5月15日には乗鞍スカイラインが開通しますので、畳平の各施設は営業を開始しますが、肩の小屋の営業は例年6月下旬から10月上旬までです。
若干緩んできたバーンは再び硬くなり始めています。そして、上空の雲がさらに低くなってきて、春から冬へと逆戻りしたような冷たい空気がさらに流れ込んできます。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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