ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.3(2011/05/28〜29) B
【肩の小屋】
ここからは肩の小屋周辺の様子をお伝えします。
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昨年の肩の小屋周辺 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2010/05/29〜30) B |
今週の肩の小屋周辺 昨年並みの雪解け状況 |
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昨年の肩の小屋周辺 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2010/05/29〜30) B |
今週の肩の小屋周辺 昨年並みの雪解け状況 |
肩の小屋周辺は先週の段階では昨年より一週間ほど早い雪解けでしたが、降雪に見舞われて雪解けのペースが遅くなった今週はほぼ昨年並みとなってきます。
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昨年の肩の小屋周辺 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2010/05/29〜30) B |
今週の肩の小屋周辺 |
肩の小屋の西側部分は今年は積雪状況がかなり異なっていますので、一概に比較することが困難な状態です。また、先週と比べると積雪量はほとんど変わっていません。
肩の小屋周辺から室堂ヶ原方面を見ると、雪解けが進んでいる様子が見られ、肩の小屋周辺でも雪解けが終わったところに高山植物が所々に見られるようになって来ました。
冬になると葉の部分が枯れて、春に再び芽を出す多年草や一年草の高山植物には、芽吹きはまだ見られませんが、常緑の高山植物はすでに活動を始めているものが見られます。こちらはツツジ科のキバナシャクナゲ。葉の中心に新芽が見られます。新芽には開花して花になる「花芽」と葉になる「葉芽」があります。
ツツジとシャクナゲは、落葉するかしないかという違いが大きなところですが、花芽と葉芽が同じ枝先にできるかどうかという点が、見分けるポイントの一つとなります。大半のツツジはひとつの芽から花と葉ができますが、シャクナゲは先端に花芽ができ、その下に葉芽ができます。(レンゲツツジなど数種類のツツジでは、シャクナゲと同様に花芽の下に葉芽ができるようです。)ちなみに画像の新芽は花芽で、あと数週間すると淡いクリーム色の大輪を咲かせます。ノリクラの高山植物の中では、もっとも早く人々の目を楽しませてくれます。
【稜線目指して】
それでは肩の小屋から稜線目指して出発です。
肩の小屋から稜線・山頂方面には登山道があります。稜線までの区間を3分の1ほど進んだあたりまでは雪解けが進み、先週の段階では登山道が見え隠れしている状態でした。しかし、先日の降雪でかなりの部分で再び白く覆われ、吹き溜まり箇所では30センチほどの新雪です。
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昨年同時期より二週間遅い
肩の小屋〜山頂の登山道 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2010/06/12〜13) C |
今週の肩の小屋〜山頂の登山道 昨年より二週間ほど早い雪解け |
ちょうどこの付近が肩の小屋から稜線までの区間を3分の1程度進んだ付近。降雪により先週から雪解けが進んでいないため、先週の段階では昨年よりも三週間早い状況でしたが、今週は二週間早い程度に雪解けがとどまっています。
こちらは肩の小屋から稜線までのちょうど中間付近。画像に岩の頭が出ていますが、こちらも昨年よりも二週間ほど早い雪解け状況です。
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この付近から稜線直下に差し掛かり、右の大岩の先から登山道はつづら折れになってくる箇所です。先週の画像と比べて、30センチほどの雪解けが見られます。しかし、左の岩はほとんど変化がありません。画像では鮮明にはわかりませんが、右の岩から左側は新雪が吹き溜まっていて、その影響から左の岩周辺の積雪量が先週と変わらないという現象となっています。
【稜線】
こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。
左の画像の大雪渓に滑り込むエリアは、濃霧ではっきり確認できませんが、大雪渓への滑走は全く問題ありません。そして、蚕玉岳方面の尾根は降雪によって、先週よりも積雪量が増えています。
この天候ですから今日は出会う方がいらっしゃらないかと思いましたが、稜線から滑り降りてこられた方々にお会いできました。今日は立山に行こうと計画したもののノリクラに変更されてお越しになった方々。「12月のツアーコースの積雪状況をWebSiteから判断し、ツアーコース初滑りの時期を狙っています。今回もツアーコースが滑走できないことをWebSiteでチェックしてきました。」と、お話をお聞かせいただきました。
雪解けは標高の低いところから始まり、ツアーコースにおいても例外にもれず、山麓から雪解けします。しかし、滑走するときは山頂方面からスタートしますので、滑走時に山麓の雪解け状況はチェックすることはできず、情報として事前に把握することが必要です。雪がなくなれば歩いて降りればよいかもしれませんが、それが長距離になったり、藪漕ぎに苦労があったりすることが事前にわかれば、春山バスでの下山を選択することができます。そのため、滑走不能となるまではツアーコースの積雪状況をWebSiteで提供しておりす。
今日は霧の粒がはっきりと確認できるほど大粒の濃霧に覆い尽くされています。見てわかるほどの大粒の霧は、ウェアーからゴーグルまで知らないうちにびしょ濡れにさせられます。ゴーグルをぬぐいながら、誰もいないプライベートゲレンデを自在にターンを重ねて行きます。
こちらの方々は同じクラブの先輩と後輩。年代が違ってもクラブの山小屋で一緒に過ごすことが色々な知識・経験を得る重要な機会となり、今回も先輩に連れられ、初めてバックカントリーでボードをされたとのこと。「ザックを背負って滑走することも初めてだったんですよ。バランスを取るのが難しい...」と、初めてのバックカントリーの感想をいただきました。
濃霧はさらにひどくなり、視界は50メートル程度まで低下。しかし、風もなく、気温も変わらないため、霧さえなければ穏やかな天候と言える状況です。
昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2010/05/29〜30) B ↓ |
先週の蚕玉岳〜朝日岳稜線 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2011/05/21〜22) B ↓ |
今週の蚕玉岳〜朝日岳稜線 昨年より一週間早い雪解け状況 |
こちらが稜線。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。降雪に見舞われたため、先週よりも積雪が多くなっている箇所もあって、先週の昨年より二週間早い雪解けから、昨年より一週間早い状況にとどまっています。
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昨年の朝日岳 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2010/05/29〜30) B |
今週の朝日岳 昨年より二週間から三週間早い雪解け |
朝日岳の山肌は他のエリアよりも雪解けが進んでいるようで、先週の段階では昨年よりも二週間早い状況でしたが、今週は二週間から三週間早い状況になっています。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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