ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.3(2011/05/28〜29) D
【5月29日(日)、大雨の一日...】
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観光センター前駐車場 |
昨日夕方からまとまった雨が降り始め、一夜明けた5月29日(日)はさらに雨脚が強くなってきます。こちらは朝6時の観光センター前駐車場。
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人影が全くありません |
昨日のほおのき平駐車場と同様に車の姿が全くありません。先ほどまで高天ヶ原の山肌の様子が確認できたものの、その雲の低く垂れ込めてくるようになります。観光センター周辺は人影が全くありません。
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三本滝レストハウス前 − こちらも車の姿はない... |
そして、こちらは観光センターから約7kmほど進んだ三本滝レストハウス前。いつもなら春山バスに乗車しようとするスキーヤー・ボーダーの姿がありますが、こちらも車の姿は全くありません。
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春山バスが到着 |
雨はしとしとと降り続きますが風はなく、それほど悪天候という雰囲気ではありません。天候・路面状況に問題がなければ、乗客の有無に関係なく、春山バスは運行されます。
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乗客ゼロ − 三本滝ゲートから位ヶ原山荘へ出発 |
観光センターからやってきた春山バスには乗客の姿はなく、三本滝バス停からの乗車もありません。三本滝ゲートを通過して春山バスは位ヶ原山荘に向います。
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芽吹きはまだまだ... |
春山バスの車窓にはいつもの県道乗鞍岳線の様子が広がります。ダケカンバなど落葉樹の分布の多い県道乗鞍岳線沿線に芽吹きの季節が訪れるのはもう少し先のようです。
しかし、芽吹きが始まると淡い緑色が明るく広がり、目に優しい季節を迎えます。紅葉の時期は錦の彩が日にちを追って山頂から山麓へ徐々に広がりますが、萌黄色の新緑は山肌全体が少しずつ明るくなって行き、まるで山自身が光のエネルギーを発しているかのように感じられます。
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県道乗鞍岳線の紅葉(冷泉小屋〜摩利支天
付近) |
こちらは同じ箇所の昨年の紅葉。このような見事な紅葉を迎える前に、萌黄色も十分に楽しんでいただきたいと思います。
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冷泉小屋付近 − このあたりから積雪が見られる |
冷泉小屋を過ぎたあたりから沿道に雪景色が見られるようになってきます。春山バスの運行が開始されたのは4月29日。今日でちょうど一ヶ月を経過します。運行開始直後のこの周辺は、バスの背丈ほどの雪の壁となっていて、箇所によっては車体が擦りそうになるほど道幅の狭い箇所を、慎重に運行されている様子がありました。
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そして、春山バスは終点の位ヶ原山荘に到着です。
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位ヶ原山荘 − 気温8℃、雨が続く |
春山バスの到着した9時前の位ヶ原山荘の気温は8℃。春山バス出発前の三本滝レストハウスの気温と変わりありません。この気温ですから、雪ではなく雨が降り続いています。
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雲がさらに低くなる |
天候は悪化傾向をたどって行きます。先ほどまで屋根板上部付近まで見渡せ、新雪が雪崩れてできた筋があちこちに見られましたが、雲が低くなってきてその様子も確認できなくなって、視界は100メートル近くまで低下して行きます。
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屋根板 − 縦溝が目立つようになってきた |
屋根板も雨水の流れでできた縦溝が集まる様子が見られるようになってきました。まだ、それほど深い溝ではありませんが、今後はさらに深まって、とても滑走できる状況ではなくなってきます。
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秋のクライマックスシーンに向けて、雪原から原生の森へと目覚め始める |
雪解けとともに周辺からはダケカンバの木々が雪の重みから起き上がろうとする様子が見られ、白一色の屋根板は原生の森へと移り変わろうとしています。これからは緑の芽吹きが始まり、そして紅葉の時期を迎えると、これ以上の絶景はないと思わせるほどのクライマックスでグリーンシーズンを終えて行きます。
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屋根板の紅葉 − 絶景ポイントの一つ |
こちらが屋根板上部から望んだ絶景ポイント。「百聞は一見にしかず...」。ぜひ、秋のノリクラも堪能してみてはいかがですか?
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午後はさらに雨脚が強くなる |
小さな滝がいくつも発生 − 道路は所々で冠水 |
台風2号の接近に伴い、午後になるとさらに雨脚が強くなります。沢という沢は全て荒れ狂い、小さな滝が道路まで流れ出し、所々で冠水した路面は完全に川の中といった状態になってきました。春山バスは冠水した中を慎重にゆっくりと運行して行きます。その大雨のため、岐阜県側の乗鞍スカイラインは13時から通行止めとなり、雨は止んだものの、翌日(5月30日)も引き続き通行止めが続き、同日15時になってようやく解除されました。
5月21日(土)の猛暑、5月24日(火)の降雪、5月27日(金)には史上2番目(関東甲信越)・3番目(東海)に早い梅雨入り、そして今日の大雨...この一週間は激変した天候の連日となりました。
【昨年の今ごろは?】
5月29日(土)は、天候は曇〜晴れを周期的に繰り返し、めまぐるしく雲が動き回っています。それでも風は全くなく、穏やかな天候が続きました。この一週間は低めの気温が続いたこともあって、雪解けはやや少なめですがバーンはかなり緩み、シールのグリップが効きづらい状況でした。先週と比べて訪れる方がやや少なめであったこともあって、雷鳥が激しく縄張り争いする以外は、完全にサイレントな状況に静かに移り行く雲の様子を眺めていると、それだけで一日が過ぎてしまうような状態でした。
翌日の5月30日(日)も低めの気温が続き、乗鞍スカイラインや畳平、そして、鶴ヶ池雪渓では周期的に雲に覆われ、じーっとしていると寒さを覚えるほど。急勾配の続く乗鞍スカイラインをヒルクライムしても汗ばんでくるどころか、ウインドブレーカーを着込んでペダルを回してちょうど良いほどのコンディションで、5月の乗鞍スカイラインはヒルクライムにはまだ寒い状況が続いているように感じました。
<編集後記>
ゴールデンウィーク明けに大雨で、山頂・大雪渓エリア周辺では積雪量が劇的に減少した記憶は新しいところですが、そんな異常気象を覆すかのように、この一週間は夏と冬が同居したような日々の連続でした。
今年の梅雨入りは、関東甲信越・東海地方ともに5月27日(金)で、昨年より17日早く、平年より12日早いものとなりました。梅雨入りの早さと梅雨明けの早さは関連性がないようで、関東甲信越・東海地方の平年の梅雨明けは7月21日ですから、これから2ヶ月近くうっとうしい時期を過ごすこととなりそうです。
今年の冬は雨に見舞われるケースが少なく、また、春以降はこのような劇的な天候の移り変わりを見せています。今シーズンは何かと天候に翻弄させられるのではないかと、少し不安な気持ちにさせられます。
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