ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2011/06/04〜05) @
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梅雨の中休みとなったこの週末、こんな穏やかな日も梅雨の期間中のあるのかと思ってしまうような二日間を過ごすことができました。
6月4日(土)は、綺麗な青空の広がる朝から始まります。しかし、上部の畳平では濃霧に見舞われ、やはり梅雨の期間中は安定した天候に見舞われないのかと思いましたが、その濃霧も早朝だけで、8時過ぎには綺麗な青空が広がるようになってきました。乗鞍高原から位ヶ原山荘に向かう春山バスが、今日から肩の小屋口バス停(大雪渓入口)まで延長運行が開始されます。春山バスが肩の小屋口バス停に到着する頃には、ビビッドな青空がお越しになる方々を出迎えてくれて、梅雨の中休みとは言え、「これから稜線目指して行くぞ!」という雰囲気にさせられるものです。一斉に稜線目指して登って行く姿は、やはり、春山バスが延長運行されたこの時期ならではの賑わいで、今日は本当に行き交う人の多いノリクラと、安定した天候が続く一日でした。
6月5日(日)は、朝から曇り空。乗鞍スカイラインはいつものように朝7時から通行可能で、シャトルバスも始発便から通常運行を始めます。しかし、上部エリアは濃霧に見舞われ、自転車の通行は見合わせられます。乗鞍スカイラインの平湯ゲートでは、自転車の方々が通行可能となるまでしばらく待機される様子が見られる中、次第に青空が広がるようになり、上部エリアの濃霧も消滅したことから、自転車通行見合わせは9時には解除され、待機していた方々が一斉にヒルクライムを開始します。一旦青空が見える天候も、その後はどんよりとしたものとなり、森林限界を超えるとかなりの寒さを覚えます。その後は天候に変化はなく、雨に見舞われることなく一日を無事に終えることができました。
それでは、梅雨の中休みの二日間の様子をお伝えします。
【6月4日(土)、ほおのき平駐車場】
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ほおのき平駐車場 |
こちらは6時30分のほおのき平駐車場。
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晴天の朝 −梅雨の中休み |
6時前からしっかりとした朝日が差し込むようになり、ご覧のように綺麗な青空が広がる様子が見られます。梅雨入りして一週間。今日は梅雨の中休みの一日となりそうです。
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出発の準備 |
冬から春にかけて、ノリクラのどこかでお会いすることの多いこちらの方々。今日も出発の準備が始まります。先週の大雨でどれくらい雪解けしているかがちょっと気がかりです。
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バスターミナルには続々と − 梅雨の晴れ間を狙って |
天気予報でこの週末以外はぐずついた週間予報が出ていることもあって、今日を狙ってお越しになった方も多いようです。そして、始発便の到着間際は、いつも以上ににぎやかになってきました。
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シャトルバスチケットの購入 |
長野県側の春山バスでは、位ヶ原山荘までバスで向かった後、ツアーコースを滑走して三本滝レストハウスまで下山することが5月中旬まで可能なため、片道券を購入されるスキーヤー・ボーダーの方も多く見られますが、乗鞍スカイライン付近では下山滑走するコースや登山道はありませんので、往復券を買い求めることとなります。
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畳平も晴天 |
今日はAダイヤで運行 |
山麓のほおのき平駐車場と同じく、今日の畳平は晴の天候。また、降水確率は0%のため、好天時に適用されるAダイヤでシャトルバスは運行されます。
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今日もスキーヤー・ボーダーの方々がたくさんお越しになる |
やはり始発便はスキーヤー・ボーダーの方々の姿が多く、スキー・ボードの板もかなり数にのぼります。
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そして、平湯温泉を出発したシャトルバス始発便が到着。
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トランクに搬入 |
今日の始発便は1台 |
いつものようにスキー板をトランクに積み込んだら、バスの車内へ乗り込みます。スキー板の搬入・搬出は各自で行います。
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畳平へ向けて出発 |
ほおのき平からは40名ほどの方々を乗せて、畳平に向けて出発です。
【乗鞍スカイライン】
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平湯峠 |
それでは、ここからはいつものように乗鞍スカイラインの様子をお伝えします。
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平湯峠駐車場 − オーバーヒート防止のため、かつての登山バスはここで小休憩 |
前々回の ノリクラ雪渓カレンダーVol.2(2011/05/21〜22) @
でもお伝えしたように、かつての平湯峠には数件の土産物店・食堂があり、その跡地がご覧のように駐車場になっています。
乗鞍スカイラインは、高所での航空機のエンジンテストのため、1942年(昭和16年)に軍用道路として作られたものが、1948年(昭和23年)に岐阜県に編入されたところからが始まりで、翌年の1949年(昭和29年)からは濃飛乗合自動車によって登山バスの運行が始まりました。
その当時の道路は、バスの床底にあるオイルパーンを割ってしまうほどのガタガタ道。そして、バスはあえぎながら何とか登って行くことができる状態でした。そのため、高山市内から畳平までノンストップで走行できるバスは皆無に等しく、平湯峠で30分ほどエンジンをクールダウンさせてから、畳平に向かうことが常となっていました。
そのため、バスの乗客もここで小休憩することとなり、多くの土産物店や食堂が繁盛したわけです。
その後、1973年(昭和48年)には、完全二車線の乗鞍スカイラインが開通し、その償還期間が満了した2003年(平成15年)からは、無料化とともにマイカー規制が実施されました。
現在では、平湯峠でクールダウンが必要なバスはなくなりましたが、それでも長距離を連続走行してきた観光バスが平湯峠付近でオーバーヒートすることが、たまに見られるようです。
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先週の平湯峠付近 |
今週の平湯峠付近 |
標高1684mの平湯峠ゲートから乗鞍スカイラインを進むと、それまで見られていた山肌の残雪はなくなってきて、それに置き換わるように新緑の芽吹きが目立つようになって来ました。
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昨年の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) |
先週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) |
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今週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) |
マイカー規制前にあった夫婦松料金所を1kmほど進んだ4kmポスト付近の様子。先週と同様に、昨年よりもやや多い積雪状況です。
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昨年の猫の小屋跡地 |
先週の猫の小屋跡地 |
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今週の猫の小屋跡地 |
さらに進んで、こちらは標高2200m付近の猫の小屋跡地。先週から比べると雪解けが進んでいますが、ほぼ昨年並みです。これまで標高を2000mと申し上げてきましたが、正しくは約2200mでした。
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雪解けとともに、ウラジロナナカマドの芽吹きが始まる |
前述のとおり、平湯峠付近では新緑の芽吹きが目立つようになって来ました。そして、残雪の残る乗鞍スカイライン中間付近でもよく見るとウラジロナナカマドに小さな新芽が見られる様子が確認できます。
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芽吹きが見られない立ち枯れの針葉樹 |
しかし、こちらの木々にはもう新芽ができる気配はありません。乗鞍スカイラインの各所で見られる立ち枯れは、大気汚染が一因ではないかと考えられ、それがマイカー規制へと導かれた要因ともなっています。
マイカー規制が実施されて9年目を迎えます。この周辺の様子はその当時とあまり変わりはありません。自然環境が元通りとなるまでには長い年月が必要となります。
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森林限界 − どんよりとした天候へ |
猫の小屋跡を過ぎて森林限界を抜けるとロケーションが広がるようになってきます。しかし、先ほどのまでの晴天はなくなり、ご覧のようにどんよりとした天候に包まれ、この付近から望む高山市内は全く見られません。
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今週の烏帽子岳 |
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昨年の四ッ岳カーブ |
今週の四ッ岳カーブ |
森林限界を超えて最初に見られる山は23ある乗鞍の峰の一つである烏帽子岳(えぼしだけ 標高2550m)。先日の降雪の影響もあって、今週の雪解けは若干遅く、先週の段階ではほぼ昨年並みでしたが、今週は昨年よりもやや遅い雪解け状況を見せています。
そして、その先は乗鞍スカイラインの中でもっとも積雪量の多い箇所を通過する四ッ岳カーブ。こちらも先日の降雪の影響もあって、昨年よりやや遅い雪解け状況です。
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四ッ岳カーブ − この先は完全に濃霧 |
四ッ岳カーブを過ぎると乗鞍スカイラインは完全に濃霧に包まれてしまいます。天候のよい日は綺麗な展望が開けるエリアで、本来なら、乗鞍スカイラインならではの光景が楽しめるエリアです。
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今週の鶴ヶ池雪渓 |
畳平に到着する手前に鶴ヶ池雪渓が広まります。岐阜県側で唯一滑走が認められているエリアです。畳平から歩いてすぐの場所にあることから、初めてお越しになったスキーヤー・ボーダーの方にも安心してお勧めできる場所です。滑走エリアの詳細については、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 鶴ヶ池雪渓版 をご覧ください。
先週までは昨年よりも二週間ほど早い雪解け状況が続き、先週の段階では昨年よりも一週間から二週間ほど早い状況となって雪解けのペースが遅くなりました。今週はさらに雪解けが遅くなって、昨年よりも一週間早い程度にとどまっています。
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畳平 |
鶴ヶ池雪渓を過ぎると、乗鞍スカイライン終点の畳平に到着です。(→ Next)
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