ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2011/08/11〜13) @
そろそろ、お盆休みという方も多くなる時期を迎えました。平日のノリクラでも、人出が幾分多くなってきて、久々に賑わいとか活気を感じさせるようになって来ました。
8月11日(木)は、ほぼ、終日にわたって濃霧の一日となりました。大雪渓エリアの気温は10〜12℃と、この数日間、各地で猛暑日が連日続く状況ですが、今日のノリクラにおいては、全く汗を感じることのない気候でした。長袖を着ていても薄手のものでは寒さを覚えるほど。グローブをしている指先にも、冷たさが伝わってきます。それでも、大雪渓のバーンは冷え込んで硬くなる様子はなく、整備さえすれば滑走しやすいコンディションです。午前中に一旦視界が良好になるときもあったものの、終日にわたって濃霧に見舞われ、さらに平日で人出の少ない状況から、のんびりと雷鳥の親子がお散歩する様子もめぐり合うことができ、めったにお目にかかることのできない一場面に出会ううれしさを感じたりするものでした。
8月12日(金)は、昨日の冷たい空気が残る中、夜明けを迎えます。ひんやりとした感覚を通り越して、寒さに身震いするほどの状況。快晴の空に強い日差しが差し込むものの、一向に暑さを感じさせない状況。そんな中のヒルクライムも、汗の噴き出す様子どころか、立ち止まると、すぐに冷え込んでくる状況で、位ヶ原山荘休憩に立ち寄ったヒルクライマーも、食べ始めたアイスクリームをもてあましてしまうほど。そして、快晴の空には秋のような雲が絵筆をふるい、美しい青い空がいつまでも続く一日でした。また、畳平お花畑付近でクマが出没し、お花畑から不動岳周辺に滞在したため、11時より畳平お花畑は立ち入り禁止となりました。
8月13日(土)も、雲がたなびくものの、綺麗な青空から一日が始まります。お盆に入り、最初の週末ということもって、昨日以上の車が観光センター前駐車場にはお越しになります。シャトルバスもまずまずの人出。9時過ぎには、雲が多くなり、ひんやりとした感覚となってきます。大雪渓には、常連の方々を中心に賑わいが感じられる状況です。また、ほぼ、終日にわたって曇の天候で、今日はそのまま一日が終わるかと思いましたが、16時過ぎから、ややまとまった夕立があって、少しは夏らしい天候の推移を見せた一日でした。また、昨日から続く、畳平お花畑の立ち入り規制は、本日は終日続きました。
それでは、お盆に突入したこの三日間の様子をお伝えします。
【8月11日(木)、観光センター前駐車場】
こちらは早朝5時30分の観光センター前駐車場。
東の空には雲間に青空が広がるようになり、朝日がのぞき始めます。気温は18℃と、今日はさほど低い状態ではありません。翌日の8月12日(金)は、6時の時点で10℃しかありませんでした。さすがにこの気温では、寒さで目が覚めてしまうほどで、夏場でも毛布が必要なほどです。
今日は平日ですが、そろそろお盆に期間に入ってきたこともあって、6時時点で約60台の車がお越しになっています。平日としては多い方といえるでしょう。翌日の8月12日(金)は90台、8月13日(土)は100台、そして、8月14日(日)は150台にもなり、ほとんど空きスペースのない状態でした。
観光センター売店も、朝の準備が始まります。
おにぎり・お弁当のほかに、地元で取れた季節の野菜なども販売しています。画像に見られる番所きゅうり(ばんどころきゅうり)。番所うり(ばんどこうり)とも呼ばれて、形は瓜に似ていますが、通常のきゅうりに瑞々しさが加わった乗鞍の特産品です。
地域の気候風土に適応した適地適作で栽培され、他にはない多彩な味と香りを持ち、限られた地域で今日まで脈々と伝えられてきた貴重な品種として認定される「信州伝統野菜」にも指定されています。
味噌をつけて、丸かじりする食べ方がポピュラーで、その瑞々しさは、くせになりそうです。
シャトルバス始発便の時刻が近づくにつれて、乗車しようとされる方の列が長くなって行きます。これも普段の平日では見られない様子です。お盆のシャトルバスの状況は、8ページ目でご紹介いたしますが、一時間に一便のシャトルバスはどの便も長い列ができました。
そして、シャトルバス始発便が到着し、車内への乗車が始まります。
トランクへスキー板の搬入 | 係員が乗車人数を確認 |
繁忙期は長い列ができると申し上げましたが、よほどのことがない限り、列に並んだ便に乗車できないということはありません。しかし、バスの到着直後にお越しになった場合は、乗車できない場合がありますので、早めに乗車券を購入して、列に並んでいただいたほうが確実です。逆の言い方をすれば、バスが入場してから、シャトルバス乗車券発売所に向かっても、次の便になる可能性のほうが高いと考えられます。
今日の始発便は一台でしたが、ほぼ満席で観光センターを後にしました。
【大雪渓までの沿道の風景】
それでは、ここからはいつものように、大雪渓に向かう沿道の様子をお伝えします。
こちらは、観光センターから7km先にある三本滝ゲート。この先からマイカー規制が始まり、バス・タクシー、自転車のみ通行できます。三本滝ゲートには、警備員の方が常駐しており、開門前の道路パトロールや許可車両の誘導を行っています。今朝のパトロールでは、大雪渓よりも上部に差し掛かった途端に濃霧に見舞われ、ご来光は全く見られなかったとのこと。ただ、ご来光バスは、天候に関係なく運行され、この日も2台が運行されました。
三本滝ゲートから先に進み、こちらは乗鞍高原温泉スキー場のかもしかゲレンデ。
ヤナギラン | ホタルブクロ |
日当たりのよいこともあって、ヤナギランやホタルブクロがあちこちで見られます。
この形状の植物を見ると、ヤマトラノオとかルリトラノオとかいった「...トラノオ」という名称がピンと来るところですが、よく見ると、葉の状態がどれとも異なっていることがわかります。
クガイソウ(九蓋草、ゴマノハグサ科クガイソウ属)と呼ばれるこの山野草は、輪生した葉が段々についているところから、クガイ(九蓋、九階)という呼ばれる所以です。
そして、こちらは葉ではなく、花が段々についているクルマバナ(シソ科トウバナ属)。穂先の花穂に紅紫色の花が数段に輪生するところからこのように呼ばれています。シソ科の植物特有の茎が四角になっていて、下向きに毛がまばらに生えている様子が見られます。
そして、こちらも同じように穂先の花穂に細かな花をつけるウツボグサ(シソ科ウツボグサ属)。先ほどのクルマバナと同じシソ科の植物ですから、こちらも茎が四角になっています。手で触れてみると角ばっている様子がわかります。
穂先の花穂が、弓矢を入れるうつぼに似ているところから、このように命名されています。また、枯れて黒くなった花穂は夏枯草(かこそう)ととして、利尿薬に利用されます。
そんなウツボグサの傍らでは、花穂にネットを掛けている方がいらっしゃいます。
ウツボグサは標高1000〜1500メートルと広範囲に自生する植物。ウツボグサの受粉にはマルハナバチが欠かせませんが、標高の違いによって、訪れるマルハナバチの種類が異なることが推測され、その違いからウツボグサの生育状況を調査されています。
県道乗鞍岳線は起点の前川渡付近の標高1000メートルから、観光センター付近の1500メートル、そして、終点の県境は2720メートルと、その標高差は実に1700メートルにも及んでいます。そのため、大学などの研究機関が行う、高山植物の調査、土壌調査、また、雷鳥調査などのさまざまな研究・調査のために、ノリクラは貴重なフィールドとなっています。
そして、森林限界の位ヶ原山荘付近...
ご覧のように上部エリアに濃霧が立ち込めるようになって来ました。霧がかかっている部分の境目がはっきりしていて、空気の層・流れがはっきりと見られるのも山の天候の特徴です。
こちらは7号カーブ付近の位ヶ原お花畑。先週、雪解けが完了し、そろそろ、高山植物の様子が確認できる状況が見られるはずです。
まだまだ、数は少ないものの、ご覧のように開花している様子が見られるようになって来ました。白く見られるのはチングルマです。
山麓の乗鞍高原には、若干日差しが差し込んでいる様子がありますが、それでもやや霞んでいて、しっかりと晴れ上がっている様子ではないようです。
6号カーブ − 完全に濃霧 | 5号カーブ ー まだ残雪が見られる |
先ほどの位ヶ原お花畑の7号カーブを過ぎて、6号カーブに差し掛かると、ご覧のように突然濃霧に見舞われます。また、宝徳霊神バス停のある5号カーブでは、まだ、残雪が見られます。
そして、完全に濃霧に包まれた大雪渓に到着です。(→ Next)
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