ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2011/08/11〜13) C
【雪渓中段】
雪渓下部の北端のモーグルコースの岩と南端の石碑の岩の間を上がったエリアで、雪渓上部の雪渓下部を結ぶ緩斜面です。
こちらは昨年同時期より一週間遅い雪渓中段の画像。これまでの雪渓中段は、昨年より一週間早い雪解け状況を見せていましたが、少し雪解けスピードが遅くなってきたことがわかります。
⇔ | ||
⇔ | ||
上段の画像では、明らかに今週の方が雪解けが多いものの、雪渓中段北側にある肩の小屋への登山道付近(北端部分)の画像では、今週の方がやや少ない様子が見られます。
雪渓中段の大きさは、長さ70メートル×横幅27メートルで、昨年より一週間早い雪解け状況を示した先週から、昨年よりやや早い程度に落ち着いています。
8月11日(木)は、ほぼ、終日に渡って濃霧の一日でした。平日ということもあって、人の出入りの全くない大雪渓エリアには、雷鳥の親子の様子がありました。右下が親鳥(雌)で左上が幼鳥です。
幼鳥は二羽 − ほとんど親鳥と同じ毛に生え変わる | 親鳥は幼鳥の様子を絶えず見守る |
親鳥がつれていた幼鳥は二羽。毛の様子がほとんど親鳥と同じものになってきています。幼鳥は自由気ままに歩き回っています。親鳥は、子供の動きを絶えず見守っています。
親鳥には足輪 | 幼鳥は首から上にうぶげが残る |
二週間前の ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.12(2011/07/28〜29) D で出会った親子と同一であるかどうかわかりませんが、そのとき幼鳥から比べると、かなり毛並みが親鳥に近くなってきています。しかし、首の周りから頭に掛けては、うぶげが残っている様子が見られます。
乗鞍では、雷鳥の個体調査が実施されていて、すべての雷鳥に識別用の足輪が付けられています。左の画像のように親鳥には足輪がありますが、幼鳥には足輪がなく、このことからも、今年生まれた雷鳥であることがわかります。
親鳥 − ミヤマクロスゲの花をついばむ | 幼鳥 − オトギリの葉をついばむ |
雷鳥が捕食しているのは、高山植物の芽や花などです。左の画像では親鳥がミヤマクロスゲの花を、そして、右の画像では幼鳥がオトギリの葉をついばもうとする様子が見られます。
雷鳥は乗鞍などの高山帯の中でも、ごく限られた地域にしか生息していません。特別天然記念物、及び、絶滅危惧種にも指定され、貴重な生物として扱われています。人間を含めた生物の多くが一般的に保有する大腸菌に感染して個体数の減少が考えられ、ペットなどの糞便による汚染も懸念されたことから、大雪渓・畳平・山頂などの上部エリアには、ペットの同伴は禁止されています。
マイカー規制前は、自家用車でペットを同伴することが可能でしたが、現在はそのような例はなくなりました。しかし、雷鳥が生息できる環境を後世に伝えるために、環境に影響を与えない行動がこれからも必要となります。(→ Next)
Copyright (C) 乗鞍香辛料監視委員会 |
|