ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2011/08/11〜13) F
【畳平、お花畑】
それでは、畳平のお花畑の様子をお伝えします。7月を中心にいろいろな高山植物が見られる時期を迎え、8月に入っても、まだまだ、見頃の時期が続いています。畳平のお花畑は、ノリクラの中で気軽に訪れることができる箇所としては、もっとも大規模な高山植物のお花畑といえます。
お花畑の雪解けは、このあとご案内する周回コースの奥のほう(西側)から始まり、入口方面(東側)へと順番に進んで行きます。そのため、高山植物の生育も、周回コースの奥のほうが先に進み、入口方面へと順番に進んで行きます。
こちらは階段を下りてお花畑入口付近。全体の中でもこの付近は雪解けの遅いエリアとなります。こちらの付近でも、そろそろ、高山植物の季節は終わりに近づいてきていますが、晩夏の高山植物の様子が見られるようになって来ました。こちらはネバリノギラン。先週あたりから見頃を迎え、一番盛んに咲いている様子が、見られるようになって来ました。
初夏のお花畑を白い絨毯で埋め尽くしていたハクサンイチゲは、結実の時期となり、ご覧のように実が黒くなっている様子が見られます。そして、ハクサンイチゲよりも、少し早い時期に花期を迎えたショウジョウバカマは、花が終わっても茎はどんどん成長し、ご覧のようにほかの高山植物よりも一段と背が高くなっています。中には50センチ近くまで伸びるものもあります。こちらのショウジョウバカマも、茎の先端に実がなっているようがわかりますね。
先週は真っ白に咲かせていたモミジカラマツ。こちらもそろそろ花期が終わろうとしています。
花期が終わっても、さらに次の花期を迎えたチングルマ。可憐な白い花も美しいもののl、こちらの綿毛の様子も、変えがたいものがあります。
美しいのは花ばかりではありません。葉も少しずつ色彩を変化させ、畳平の秋のお花畑の彩る「草紅葉」へと移り変わって行きます。こちらの葉は、ハクサンボウフウです。
遊歩道をさらに進んで周回コースを右に回り、お花畑を奥のほうへ(西の方へ)向かいます。
遊歩道を歩くと、これまでよりも花の種類・量が少なくなってきていますが、それでも、初夏から続くミヤマキンポウゲが息長く続いている様子が見られます。
分岐点付近 −ヨツバシオガマも見頃が続く | 花が終わって実ができる(左)、まだ花が咲いている(右) |
そして、ヨツバシオガマも、長くに渡って楽しませてくれる高山植物です。右の画像をよく見ると、左の二つと右のものでは、少し形態が異なっている様子がわかります。どちらも綺麗な紫色を呈してしますが、左の方は花が終わって実ができています。どちらも同じような色調ですから、長期にわたって楽しませてくれている様子が続くのです。
分岐点付近 −ウサギギク | 二つのウサギギクに違いがある |
そして、現在、黄色の高山植物といえばウサギギク。右の画像に二つのウサギギクがありますが、その違いがお分かりでしょうか?
これから咲くウサギギク | 完全に咲いたウサギギク |
左の画像のウサギ菊は、花の中心に穴が開いていますが、右のものが穴がありません。キク科の植物は頭頂花(とうちょうか)と呼ばれる小さな花が密集して作られていて、植物の中でも最も進化した形といわれています。
その頭頂花は、周辺から中心へと徐々に開花して行きます。従って、左の画像はまだ完全に開花していない状態で、右の画像は完全に開花が終わった状態と言えます。
そして、周回コースの中央付近では...
オンタデがたくさん開花している様子が見られます。
そして、オンタデのそばには、コウメバチソウが咲き始めた様子が見られます。
さらに周遊コースを奥まで進むと...
こちらではミヤマアキノキリンソウが、先週よりもたくさん見られるようになって来ました。
周回コースの奥は、ミヤマクロユリが群生している様子が数週間前まで見られました。先週から実ができる様子が観察されましたが、今週はしっかりと大きな実がなっている様子があります。
開花していた頃のミヤマクロユリも小さなもので、草原に隠れてしまう状態でしたが、特徴ある暗紫色の花ですから、一目で見つけることができました。しかし、現在では周囲の緑にほとんど同化してしまっていて、目を凝らさないと、ころっとしたかわいいミヤマクロユリの実を見つけることができないかもしれませんね。
先週から、コバルトブルーを放っているイワギキョウ。こちらは、まだまだ花期が続いています。
色々、探しながら歩くと、変化や発見が続く畳平のお花畑。小さな変化を楽しむ心があれば、楽しさを十二分に味わうことができるものです。(→ Next)
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