ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.19(2011/09/15〜16) @
先週と打って変わって、残暑の厳しい一週間が続き、夏が再び戻ってきたような二日間になりました。
9月15日(木)は、雲ひとつない快晴の朝を迎えます。通常、快晴の朝は、放射冷却によって、ひんやりとした空気が流れますが、今朝は気温は10℃と冷え込むものの、体感的には全く寒さを感じさせない状況。日が高くなるにつれて、じりじりと肌を焦がすほど太陽は力強くなり、風がなくなると気温以上の暑さを覚えるほど。いつもなら、西、または、北から吹き抜ける風が、今日は終始南風で、秋とは思えないばかりか、いつものノリクラとは少し状況が異なっていました。空気の雰囲気と太陽の力強さは夏であっても、青空がいつまでも続き、その点はやはり秋であることを感じさせてくれました。
9月16日(金)は、筋状の高い雲がたなびく空が広がります。快晴だった昨日とは異なる点はそれだけで、空気の感覚、風の吹き方、気温の状況などは、まったくといっても良いほど同じ状況がでした。
昨年と同様に、9月から紅葉情報を始めています。5ページ目の 【紅葉情報】 をご覧ください。先週はそれほどでもなかったものの、今週は、大雪渓・位ヶ原などの上部エリア、そして、冷泉小屋から摩利支天に掛けての中腹エリアの両者ともに、葉の状態が良くないものが増えてきています。紅葉が本格的に始まる前に、多くの木々で枯れた状態が見られるのは、これまであまり例がありません。
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
【9月15日(木)、観光センター前駐車場】
こちらは早朝5時30分の観光センター前駐車場。
9月12日(月)は中秋の名月(十五夜)。そのころは、まだ、日の高いうちに月が昇り始めました。しかし、昨晩は、夜が完全に更け、日付が変わるころに頭上に上がる状態。その月が西の空に沈もうとしています。
9月中旬も過ぎると夜明けが遅くなり、ノリクラの稜線には朝日が差し込む様子が見られても、空はまだ薄暗く、上空の月がはっきりと眺められます。
気温は10℃。この時期としては、やや低めですが、空気に冷たさはなく、温度計の示すほどの寒さはありません。
そして、観光センターでは、朝一番からあわただしく仕事が始まります。
地元の女将さん達ですが元気そのもの。確かに忙しそうなんですが、朝はこうやって始まるんだ...といった、にぎやかで楽しそうな雰囲気さえ感じさせる様子です。
そして、朝一番といえば、やはりシャトルバスの始発便。いつものように登山に向かう方々を乗せて出発です。
また、タクシー乗り場では、何台かのタクシーが夜明け前から待機中です。
紅葉を迎える時期になると、いつも以上に忙しくなるもの...「毎年、お越しになるお客さんから、『見頃になったら、すぐに行くから、電話くれ!』って、頼まれてて、この時期は大変だよ〜」
紅葉が本格的に始まると、すべての車両が朝一番から出払ってしまい、タクシー乗り場に待機車両が全くない状態が続きます。今日は本番直前の静かな朝をのんびりとすごしているといったところでしょうか?
そして、東の空に今日一日を照らす朝日が昇り始め、そんな太陽の登場を見届けるように、明るい月がノリクラの稜線にフェードダウンして行きます。
雲ひとつない快晴の青空。今日はこの青空に一日が支配された秋空が続きます。
【大雪渓までの沿道の風景 T】
それでは、ここからはいつものように、大雪渓に向かう沿道の様子をお伝えします。画像では、ノリクラの峰々が少しばかり霞んでいますが、今日は、少しばかり蒸した空気に包まれ、朝一番はすっきりしません。遠景の山並みの様子は、この後、お伝えしますが、上部エリアに関しては、くっきりとした様子が見られます。
ススキ | 夜露に輝くノコンギク |
朝の風景は、やはりススキよりも、夜露が輝くノコンギクが似合うもの。沿道のノコンギクは、先週よりもさらに数が多くなり、淡い紫があちこちで見られます。単体では小さな花ですが、群生して見られますので、シャトルバスの車窓からでも、その存在はしっかりと受け止めることができるでしょう。
休暇村を過ぎて三本滝ゲートまでは、カラマツ林の中を進んで行きます。針葉樹である松の仲間は、一年中、緑の葉をつける常緑樹ですが、カラマツだけは紅葉して、その後は落葉します。枯れるからカラマツと連想できそうですが、中国の唐絵にある松に似ているところが由来という説があります。
葉の先端が黄色く変化 | マツボックリも傘が開く |
カラマツの紅葉は、ノリクラの紅葉を締めくくる10月下旬になって始まります。しかし、よく観察すると、すでに葉の先端が少しずつ色合いに変化が見られます。まだ、カラマツの本格的な紅葉まで一ヶ月以上ありますが、少しずつ準備が始まっている様子が見られます。そして、いわゆる「マツボックリ」も、数週間前までは、クリクリとした小さなものでしたが、こちらも、しっかりと傘が開き始めました
こちらは、観光センターから7km先にある三本滝ゲート。この先からマイカー規制が始まり、バス・タクシー、自転車のみ通行できます。三本滝ゲートには、警備員の方が常駐しており、開門前の道路パトロールや許可車両の誘導を行っています。
警備員の方の話では、今朝のパトロールは、申し分ない日の出が見られたとのこと...
三本滝ゲートを過ぎてしばらくすると、乗鞍高原温泉スキー場のかもしかゲレンデです。
ヤナギラン | 下から順番に弾けて飛び出す |
先週からヤナギランの綿毛(さく果)が舞い上がる様子が見られるようになって来ました。果実は種子とそれに付属するものを差し、さく果は果実の種類のひとつです。成熟すると、果実が裂けて種子が飛び出す構造のものをさく果と呼びます。
右の画像のように、ヤナギランは下から順次裂けて、綿毛が飛び出している様子がわかります。まだ、上部には裂けてないさく果がありますので、ヤナギランの綿毛が空中に舞い上がる様子は、もうしばらく見られるでしょう。
そして、こちらも花期が終わったヨツバヒヨドリ。
鵯(ひよどり)が鳴くころに咲くヒヨドリバナに似ていて、葉が四枚つくところから、ヨツバヒヨドリ(四葉鵯、キク科フジバカマ属)と呼ばれます。その名の由来は、花期ではなく、花が枯れたこの時期の様子から付けられたものです。
「ヒヨドリ」は、鳥の「鵯」ではなく、「火を取り」がなまったもの...ヨツバヒヨドリの枯れた花や葉は燃えやすく、火熾し(ひおこし)の材料となったわけです。
ヨツバヒヨドリと関係はありませんが、オヤマボクチ(雄山火口)というアザミに似た植物があります。こちらの由来も同じく、枯れた後の花や葉から綿毛を取り、火打石の火花を綿毛に移して、火熾しした所から命名されています。
マッチやライターのない時代、火を熾すということが生活の中で大きな役割を担っていて、その慣わしが植物の名前にも反映されているところが、興味深いところですね。(→ Next)
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
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