ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.1(2012/05/12〜15) B
【ツアーコース T −1〜6番標識区間】
入口急斜面を登りきれば、比較的なだらかな緩斜面がが続きます。
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昨年の1番標識付近(手前) 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) B |
今週の1番標識付近(手前) |
こちらは1番標識手前付近。昨年と比べて切り株の大きさが一目で違うことがわかります。また、昨年の画像では、奥の方にも切り株が見られるようになって来ましたが、今年はまだごくわずかです。また、先週の切り株の大きさと今週の切り株の大きさには大きな開きはなく、この一週間の雪解けがほとんどなかったことがうかがえます。
そして、こちらは1番標識付近。ノリクラの峰々が真正面に聳え、ツアーコース内で一番のビューポイントといっても良い箇所です。今日はほぼ終日にわたって激しく雲が流れていて、ここから眺められる高天ヶ原や剣ヶ峰は、雲に飲み込まれています。今日は多くの方が剣ヶ峰方面に向かっていることと思います。しかし、ほとんど視界の効かない状態だったと考えられます。また、冷え込んだ空気に包まれていますからバーンも硬く、穏やかな日も多くなる春スキーのシーズンですから、日程的に余裕があれば、今日のようなコンディションの日に山頂方面をやめて、少し標高の低いエリアで春スキーを楽しむほうが良いかもしれません。
1番標識付近 − 高天ヶ原だけが姿をあらわす | 気温4℃ − 今日は締まった雪質 |
激しく雲が流れる中、ようやく高天ヶ原(標高2829メートル)だけが姿を見せてくれました。気温は4℃。今日のツアーコースのバーンは比較的フラットで、表面は太陽の暖かさで緩んできたものの、内部はしっかりと締まっていて、かなり滑りやすい条件です。
そんな中、ツアーコースを下山滑走されてくる方が多くなってきました。
お会いしたのは、早朝からツアーコースを登り始めたノリクラの常連の方。「今日は剣ヶ峰に向かおうかと思ったものの、視界も悪く雪も硬かったため、無理であると判断しました。明日、もう一度トライしようと思ってます。」
タイトなスケジュールを調整して入山しても、「今日は無理」と思ったならば、しっかりと断念しなければなりません。無理を押せば一日の行動の中でどこかで歪が生じ、事故につながる可能性もあります。
昨年の3番標識 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) B ↓ |
先週の3番標識 速報 2012/05/05 ↓ |
こちらはツアーコース中間付近にある3番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週よりも10センチ減少して、昨年より50センチ多い状況です。左上の昨年の画像では根元部分が大きく雪解けしています。例年、この時期になるとこの程度の雪解けが見られます。しかし、今週の画像では根元分は全く見られません。過去5年の中で最も積雪量が多い状況を示しています。
ツアーコースを登っていると、色々な方にお会いできます。こちらは、春山バス運行初日にお越しになった親子の方々。今年から春スキーを始められた息子さんを前に「結構、息子も春スキー好きなんですよ〜」と、お父さん...それに対して首を横に振る息子さん...本当はどちらが正直な所なんでしょうか?(笑)
春スキーを始めたばかりということで、今回もゲレンデスキーの用具でお越しになっていらっしゃいました。アルペンスキーの場合、アルペンスキーのビンディングに対応した山スキー用のビンディングに交換すれば、シールで登ることが可能になります。そして、滑走時にはシールを外して、ビンディングの踵部分を固定すれば、完全にアルペンスキーと同じ感覚で滑走できます。そのことをお伝えすると、「ブーツからすべての道具をそろえなおさないといけないと思っていましたから、少し安心です。」とのこと...
シビアな感覚で滑走されている基礎スキーの方々にとって、スキー板やブーツが大きく変わることは、イチから別のものをやることに近いところがあります。しかし、ビンディングだけ変更すれば、滑走上の感覚はアルペンスキーと全く同じユーティリティーが得られます。
滑走感覚はアルペンスキーと同じですが、バーンはゲレンデとは全く異なっています。幅広い対応能力が備わって行くところが春スキーや夏スキーの良い点でしょう。
昨年の5番標識 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) B ↓ |
先週の5番標識 速報 2012/05/05 ↓ |
こちらはツアーコース上部付近の5番標識。3番標識の画像と同様に、左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週とほぼ同じで、昨年より50センチ多い状況です。前述の3番標識と同様、過去5年間の中で最も積雪量が多い状況です。なお、2007年の5番標識は現在よりも低い位置に設置されていたため、同一に比較することができませんが、それでも今年の方が多い状況です。
徐々に青空のほうが多くなってくる | 今シーズンは今日が最後 −これからもWebSiteをチェックします |
午後になって少しずつ青空が冴え渡るようになり、雲の面積が少なくなる時間帯が多くなってきました。そして、ツアーコースを下山滑走されてきたこちらの方、途中で滑走の足を止めてお声をかけてくださいました。「今シーズンは今日が最後なんですよ。これまでWebSiteを拝見させていただきありがとうございました。これからバイクのシーズンに入ります...」とのこと。今後、春スキーの季節が進むと、今シーズンのノリクラ通いを卒業される方々も増えてきます。そして、次の季節へと自らを変化させて行くことが一年を暮らすうえで必要なことと思います。
WebSiteは一年を通してお届けしています。今シーズンのノリクラ通いを終了されても、WebSiteでノリクラのことを忘れずに想い続けてくだされば幸いです。
5番標識を過ぎるとかなり緩斜面となり、いつもなら直滑降でないと下山滑走できないエリアですが、今日は楽しそうにターンを描く様子が見られます。今日はそれだけ滑走性の良いバーンでした。
5番標識を過ぎて6番標識付近に差し掛かると、ウェーブ状になった箇所があります。
昨年の6番標識手前の谷 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) B ↓ |
先週の6番標識手前の谷 速報 2012/05/05 ↓ |
昨年同時期・先週の画像と比較します。右側にある黄色い標識の位置から、先週から今週に掛けての雪解けはほとんどありません。ウェーブ中央の窪みの箇所の積雪もあまり変わらず問題なく滑走できますが、完全にウエーブがなくなっているわけではありませんので、下山滑走には注意が必要です。
来週から乗鞍岳春山バスの運行が始まります。これまではツアーコースを登って、再びツアーコースを下山滑走するため、この箇所の窪みの様子を登るときに把握した上で滑走しますが、春山バスに乗車すると、この箇所の状況を把握せずに下山滑走することになります。
従って、春山バスに乗車してツアーコースを下山滑走する場合は、6番標識付近のウェーブは止まるくらいのスピードで慎重に滑走することをお勧めします。春先になって雪の滑走性が低下し、特にボードなどはできるだけスピードを落とさずに滑走したいところですが、絶対に無理をせず、ストックを併用して安全に下山滑走してください。(過去には、このウェーブを下山滑走中のスキーヤーが、転倒・負傷して救助要請した事案が発生しています。)
昨年の6番標識付近 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) B ↓ |
先週の6番標識付近 速報 2012/05/05 ↓ |
6番標識付近も先週とほとんど同じ積雪量です。昨年へ根元に数多くの枝葉が見られますから、前述の3番標識・5番標識などの様子も合わせると、ツアーコースは全体的に昨年よりも多い積雪量であることがわかります。この先を進むとツアーコース最後の位ヶ原急斜面へと続きます。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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