ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.1(2012/05/12〜15) E
【稜線】
こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)で、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)です。
雪渓方面への滑走エリア | 蚕玉岳方面の尾根 − 雪解けはまだ |
こちらから大雪渓方面へ滑り込む箇所には岩の頭などはありませんが、右の画像の蚕玉岳方面の尾根はまだほとんど雪解けしていません。
前のページでもお伝えしてように、この一週間の間に降った新雪やフィルムパックされた箇所などがあって、稜線に近づくにつれて勾配が急になり、シールのグリップが効きいにくい状態になってきます。ある程度シールの効き方のコツをつかんでいれば、ほとんど問題ありませんが、何度も転倒しながら登って行く様子もあって、難なく登って行かれる方もいらっしゃれば、稜線までもう少しというところで苦労されている様子もありました。
スキーアイゼン(クトー)を使用すれば、トラバースには有効ですが、シールをグリップさせるようなスキー板への力の加え方を習得しなければ、基本的なシールの扱い方を体得できないでしょう。
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昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) G |
今週の蚕玉岳〜朝日岳稜線 2010年・2009年よりも多く、2008年に次ぐ積雪量 |
こちらが稜線。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。昨年よりも多い状態が見られます。また、2010年2009年よりも多く、2008年に次ぐ積雪量です。
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昨年の権現ヶ池 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) G |
今週の権現ヶ池 2010年・2009年並みの積雪量、2008年より少ない |
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昨年の朝日岳 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) G |
今週の朝日岳 2010年・2009年よりもやや少ない |
御岳の二ノ池に次いで国内二番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)は、昨年よりも積雪量が多く、2010年・2009年並みで2008年より少ない状態。朝日岳は、昨年よりも多い積雪量で、2010年・2009年よりやや少ない状態です。
【剣ヶ峰〜蚕玉岳】
こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。
蚕玉岳山頂付近は、毎年、場所によって雪つきの様子が異なっています。画像に写っている山頂地点に関して言えば、昨年よりも多いものの、2010年・2009年・2008年よりも少ない状況です。
剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線からの滑走は横幅140メートル以上あり、他の稜線と比べてスケール感が大きいところが特徴です。
時刻は14時を回ったあたり。この時期は日中に緩んだ表面が冷え込んで、フィルムパックされたり、ひどいときには滑走が難しいほどのパックになることもあります。でも、今日は午後になっても冷え込みがなく、うっすらと新雪の降り積もったバーンは、若干ストップスノーの条件ですが、滑走しやすい状態といえるでしょう。
広々とした位ヶ原の台地を目指してどこまでも落ち込んで行くことができます。数時間かけて登ってきても、休憩ながら滑走しても、ものの十数分程度しかありません。
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昨年の位ヶ原 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) H |
今週の位ヶ原 唐草模様はまだない − 過去数年のなかで最も多い積雪量 |
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昨年の剣ヶ峰直下の岩 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2011/05/14〜15) H |
今週の剣ヶ峰直下の岩 2010年には及ばないものの、それに次ぐ積雪量 |
稜線から滑り降りたところから見る位ヶ原は、昨年はかなりハイマツ帯が多くなっていて、唐草模様がはっきりとわかる状態です。しかし、今年はまだハイマツ帯がほとんど見られません。また、剣ヶ峰直下の岩付近は、ここ最近では最も積雪量の多かった2010年には及ばないものの、それに次ぐ状態です。
2009年の位ヶ原 2009 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2009/05/15〜16) D |
2010年の位ヶ原 2010ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.1(2010/05/14〜15) F |
2008〜2010年までの三年間の位ヶ原の様子です。前出の今年の位ヶ原の画像と比較してみても、ここ数年の中で、今年は最も積雪量が多いことがわかります。また、除雪の進捗状況は、2008年は4号カーブ手前まで、2009年はまだ位ヶ原まで到達してなく、2010年は5号カーブの先まで進んでいます。今年は大雪渓駐車場手前まで進んでいますから、例年になく早いペースで除雪が進んでいることがわかります。
この付近は稜線から県道乗鞍岳線との合流地点までの区間を3分の1程度滑走したところ。急斜面から緩斜面に変化する部分です。雪解けが進むと、この付近を境に滑走エリアが上部と下部に分断されて滑走できなくなります。しかし、まだハイマツなどがほとんど見られず、滑走エリアの横幅など全く気にする必要がありません。ほぼ例年並みの状況です。また、この付近で滑走エリアが分断されるのは例年6月中〜下旬です。
今日はたくさんの方が滑走されていますが、バーンの緩み方がそれほど激しくなかったこともあって、午後になっても荒れ方がひどくありません。今後、雪の緩み方が激しくなると、バーンが荒れて滑りにくいほどになります。
全体的みても、2008年以降、積雪量は最も多いと言えます。
稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。除雪の先端は大雪渓駐車場手前まで進んでいますが、4号カーブと大雪渓駐車場の間にあるこの地点では、ご覧のように路面が見えるほどの除雪はまだ実施されていません。
そのため、現段階では、正確の積雪量を計測することができません。
下山は除雪箇所を迂回して | 4号カーブの除雪 |
稜線から県道方面に滑り込むと、県道を境に除雪箇所を通過しなければなりません。しかし、所によっては数メートルの切り通しとなっていることから、県道を乗り越えることは困難と考えられます。そのため、左の画像の除雪部分の右端の箇所、つまり、4号カーブの南側までトラバースして、ツアーコース方面に向かう必要があります。
今週の4号カーブ付近 | 紅葉シーズンの4号カーブ付近 速報 2010/09/26 |
現在の4号カーブ付近は真っ白な雪原の奥に穂高連峰を携える光景ですが、紅葉シーズンやグリーンシーズンもなかなかのロケーションの場所でもあります。
また、毎年6月中旬頃開催される 乗鞍天空マラソン では、この雪の壁の中を2000名近いランナーが駆け抜ける様子が見られます。ノリクラは山スキーだけでなく、マラソンやヒルクライムといった色々な楽しみ方が実現できる数少ない山岳地帯です。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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