ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2012/06/02〜03) A
【畳平に到着】
気温3℃ −長袖であれば寒さはない |
シャトルバス始発便の到着した8時前の畳平の気温は3℃。いつもならバスから降りた瞬間に「ブルッ!」とくる寒さを感じますが、長袖を着ていれば寒さはありません。
ほおのき平から約45分で畳平まで登ってくるシャトルバスにとっては、寒いどころか暑さにバテ気味のようです。車体後部のハッチを開けてエンジンのクールダウンをしています。
今となってはおそらく「大昔」の話になるかと思いますが、走行性能が良くなかったころは、オーバーヒートする話は特に珍しいことではありませんでした。上りのオーバーヒートに加えて、下りのブレーキの焼きつきも問題で、それを防ぐために平湯峠で必ず小休止するのが慣例となっていました。
現在の平湯峠には何もありませんが、その当時は周辺にお土産店などが立ち並んで、バスのクールダウンが完了するまで、乗客も小休止したというわけです。バスの性能がよくなって平湯峠に立ち寄る必要性はなくなりましたが、周辺のお土産店はマイカー規制前まで営業されていました。
シャトルバスから降り立ったスキーヤー・ボーダーの方々に滑走指定地などについての説明をする乗鞍環境パトロールの方。毎年お越しになっている方にとっては、滑走指定地などはもう周知のことであるかと思います。
しかし、昨日(6月2日(金))は、岐阜県側の滑走指定地である鶴ヶ池雪渓から大黒岳方面へ向かうクマの目撃情報があり、乗鞍スカイラインは一時通行止めの措置がとられ、大黒岳も終日入山規制が実施されました。説明を実施している8時現在では、大黒岳の入山規制はまだ実施中でした。
現地のリアルタイムな情報は、このように乗鞍環境パトロールの方から直接説明を受けられるとよいでしょう。(鶴ヶ池雪渓、大黒岳は、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 鶴ヶ池雪渓版 をご覧ください。)
それでは畳平から大雪渓・山頂方面に向かいます。
【畳平周辺】
不動岳とお花畑 −2007年以降もっとも多い積雪量 | 鶴ヶ池 −2007年以降もっとも多い積雪量 |
ここからは畳平周辺及び畳平から肩の小屋方面へ向かう道路周辺の様子をお伝えします。左の画像は畳平の南にある不動岳。そして、右の画像は、畳平の東にある鶴ヶ池。2007年の映像が濃霧で不鮮明だったため推測となりますが、おそらく2007年以降最も積雪量の多い状態が見られます。
畳平から大雪渓・山頂方面へは肩の小屋への専用道を進みます。先週まではほぼ全線に渡って雪に閉ざされていましたが、ご覧のように除雪が実施され、アイゼンなどがなくても歩くことが可能になりました。
こちらは畳平の南側のお花畑。左斜面は不動岳の山肌で右斜面の恵比寿岳の山肌です。二つの山肌の谷底がお花畑で、先週と同様、2009年以降で最も多い積雪量を示しています。
先週のお花畑 −
この一週間の雪解けはごくわずか ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2012/05/26〜27) A |
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積雪量の多かった2008年のお花畑 −
今年とほぼ同じ 2008ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2008/06/07〜08) A |
積雪量の多かった2009年お花畑 −
今年とほぼ同じ 2009ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2009/06/06〜07) A |
過去のお花畑の画像と比較します。上段の先週の画像と比べてほとんど変化がありません。また、積雪量の多かった2008年や2009年と比べてもその差はわずかです。
不消ヶ池 − 2007年以降最も多い積雪量 | コロナ観測所への専用道も除雪される |
摩利支天岳の北斜面にある不消ヶ池(きえずがいけ)も、2007年以降で最も多い積雪量です。また、コロナ観測所への専用道も除雪されている様子が確認できます。
富士見岳 | 肩の小屋・コロナ観測所 分岐点へ |
畳平から約1.2km。富士見岳の山腹を横切って、分岐点へと向かいます。
【肩の小屋へ】
畳平から専用道を1.2km進んで、肩の小屋・コロナ観測所分岐点に到着します。正面が魔利支天岳の頂上で、左に進むと肩の小屋、右に進むとコロナ観測所です。2007年以降の過去5年間で最も多い積雪量です。ちなみに今年についで積雪量の多かったのは2010年でした。
積雪量の多さを如実に物語るのは除雪後に現れた雪の壁。高さ4メートルほどの雪の壁をバックに記念撮影される方がたくさんいらっしゃいました。前述のとおり、分岐点付近の積雪量は過去5年間で最も多い状態ですから、この雪の壁も近年まれに見る高さとなっています。
大雪渓 − 2007年以降最も多い積雪量 | 位ヶ原 − 2007年以降最も多い積雪量 |
分岐点に差し掛かると剣ヶ峰・蚕玉岳・朝日岳の各稜線から大雪渓や位ヶ原方面まで展望が一気に開けます。先週と比べて、剣ヶ峰の南側(画像では左側)の高天ヶ原のハイマツが目立つようになって来ましたが、それ以外は先週からあまり変化がありません。どちらの画像も、2007年以降の過去5年間で最も積雪量の多い状態です。
剣ヶ峰方面に向かうには、先ほどの雪の壁の中を進む専用道で肩の小屋方面へと向かいますが、この分岐点から大雪渓駐車場方面への滑走も可能です。
スキーヤーの声をかけているのは、森林管理署のグリーン・サポート・スタッフの方。乗鞍一帯は国有林が多くを占め、その土地利用・保全は森林管理署が管理しています。日常的に巡回を行っているため、現地でお目にかかる機会は多いかと思います。
※グリーン・サポート・スタッフ(森林保護員):天然生林における植生荒廃等の状況把握や入込利用者への利用マナーの指導及び普及啓発活動等を行うための職員
今回お会いしたグリーン・サポート・スタッフの方は、「以前、畳平の施設で従事していたこともありましたが、営業準備のためゴールデンウィークに入山したときは、一晩でかなりの積雪に見舞われることもありました。昨日(6月1日)も畳平周辺では霙が降って、この時期のノリクラはまだ冬ですね。」と、おっしゃっていました。
ノリクラに限らず、春山シーズンになると、冬山・雪山という意識が希薄になりがちです。
春スキーを楽しむためにノリクラにお越しになるスキーヤーも、この時期の特性を理解する必要があります。(→ Next)
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