ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2012/06/02〜03) C
【稜線へ】
それでは肩の小屋から稜線目指します。
肩の小屋までの専用道は除雪が実施されていたため、問題なく歩くことが可能でしたが、この先は雪山ですから、ここからはアイゼンを装着します。
雪質が柔らかい場合はツボ足でも問題ないと考えられますが、雪山に入ったらアイゼンをつけるという心がけ(習慣)を持ったほうがよいでしょう。
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先週の肩の小屋〜山頂の登山道入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2012/05/26〜27) B |
今週の肩の小屋〜山頂の登山道入口 登山道が出ているのはここだけ − 全線雪の中 |
こちらは肩の小屋から山頂方面に向かう登山道の入口部分。雪解けで岩場が多くなっているように見られますが、登山道が出ているところは全体の中でこの箇所だけです。
稜線までの登山道はご覧のように一部で支柱の頭が出始めた程度です。
この画像では、肩の小屋から稜線の登るルートとは別に、春山バスで大雪渓にお越しになった大半の方が登るルートがよくわかります。ただ、ここのルートを滑走する方は少ないようです。
蚕玉岳〜朝日岳稜線からの滑走ルートは左の画像で説明します。稜線の鞍部を滑り始めると、画像の中央に横たわる岩場の左端に到達し、そこから右方向(滑走時は左方向)に進路を変えて、画像の中央へと滑り込んで、最終的には大雪渓入口に到達します。
下から見た場合、登るルートと滑走ルートにそれほど大きな違いはないように感じられます。
こちらは登るルート・滑走ルートとほぼ同じ標高から見たところ。ご覧のように通過部分の横幅に大きな違いがあることがわかります(青丸と赤丸)。そのため、赤線で示した登るルートは、今後雪解けが進むと岩場やハイマツに阻まれることが予測できます。おそらく、次週末には滑走ルートに近い青線のルートで登ることをお願いいたします。
これまでにも申し上げていますが、ハイマツ帯は雷鳥の生息域です。また、雪解け後の地面からは高山植物が一斉に芽吹き始めます。硬いブーツ底で多くの方が侵入すると、高山植物の植生に大きな影響を与えます。
なお、青丸部分は例年大きなクラックが発生していますので、登るときはもちろんのこと、滑走時には十分注意してください。
稜線に向けてしばらく登ると眼下には摩利支天岳を望むことができます。過去5年間で2007年に次ぐ積雪量の多さです。
【稜線】
こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)に続き、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています。
大雪渓方面への滑走エリア | 蚕玉岳方面の尾根 −2007年以降最も多い積雪量 |
左の画像は大雪渓方面へ滑り込む箇所。今後、雪解けが進み、大雪渓上端に接続する部分に岩場が出てバーンが途切れてくると、滑走できなくなります(画像の左下付近です)。例年、6月中旬〜下旬まで滑走可能です。
右の画像の蚕玉岳方面の尾根、地面の露出状況は先週とほとんど変わりありません。先週は、もっとも積雪が多かった2010年並みの状況と、申し上げましたが雪解けが遅く、2007年以降の過去5年間で最も多い状態になっています。
今日の雪質は表面が柔らかすぎてシールのグリップが効きにくいコンディション。
グリップのよい場所を探す | シールで登るのはまだ二回目なんですよ〜 |
登行ルートを時々変えながら、歩きやすい場所を探します。「シールで登るのはまだ二回目なんですよ〜。それまでアイゼンでしたけど、シールのほうがかなり楽に登ることができるんですね。」と、おっしゃります。まだ、シールで登るコツがつかみきれていないとのことですが、ちょっとした工夫と経験で、大抵の斜面はシールで登って行くことが可能です。
昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2011/06/04〜05) D ↓ |
先週の蚕玉岳〜朝日岳稜線 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2012/05/26〜27) B ↓ |
こちらが稜線部分。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。昨年よりも明らかに多い積雪量で、過去5年間で、2007年に次いで積雪量の多い状態です。
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昨年の権現ヶ池 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2011/06/04〜05) D |
今週の権現ヶ池 2007年に匹敵する積雪量の多さ |
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昨年の朝日岳 2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.4(2011/06/04〜05) D |
今週の朝日岳 2007年以降で最も多い積雪量 |
御岳の二ノ池に次いで国内二番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)は、過去5年間で2007年とほぼ同じ積雪です。池全体の中で、右上部分に雪解けして水面が見られるようになって来ました。例年だとその下にもうひとつ水面ができていますから、今年の雪解けがかなり遅いことがわかります。
そして、朝日岳は200年並みの積雪量の多さで、過去5年間で最も多い状況です。
本日二本目の登り返し | 朝日岳山頂へ |
すでに今日二本目の滑走のために登り返してきた常連の方々。朝日岳山頂目指してさらに進みます。
みんな一列になって... | 蚕玉岳方面へ |
そして、肩の小屋でアイゼンを装着して出発したボーダーの方々も到着です。こちらは蚕玉岳方面へとさらに進みます。
青息吐息... | ノリクラは結構しんどいですよ〜 |
次の一歩がもう出ない...滑走ポイントまでのアクセスの少ないバックカントリーエリアもあるようですが、「ノリクラは結構しんどいですよ〜」と、おっしゃっています。
前述の常連の方のように一日に何本も登り返す方もいらっしゃれば、ノリクラよりも山域の広いバックカントリーエリアもあります。それぞれの体力に応じた楽しみ方ができれば、それでよいのだと思います。(→ Next)
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