ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.6(2012/06/15〜17) D
【頂上小屋、雷鳥の訪問】
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こちらは剣ヶ峰山頂直下にある頂上小屋。
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積雪に囲まれる |
小屋周辺はご覧のようにまだ雪の閉ざされたまま。
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積雪が多く、雪かきがはかどらない |
積雪量の多い今年は、雪かきしてもなかなかはかどらない状況。
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雷鳥(オス) |
そこにやってきた訪問者は雷鳥。
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ツガイで砂浴び |
近くにはツガイの雷鳥(メス)がいて、仲良くす砂浴びをしています。緑色の登山道の誘導ロープがありますが、人通りの少ない平日の午後ということもあって、登山道近くで悠々とした様子が見られます。
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盛んにシャッターを切る − どこに雷鳥がいるかわかりますか? |
そこに通りかかった登山者も急いでカメラを取り出して盛んにシャッターを切ります。少し霧が立ち込めてきましたが、さて、雷鳥がどこにいるかわかりますか?
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雷鳥は季節に合わせて保護色に換羽する |
厳冬期は雪原に同化すべく真っ白な体に、そして、夏は岩礫地に広がる岩のひとつに同化してしまう模様に変身し、季節に合わせて換羽します。また、ツガイで悠々と出歩いている様子から、まだ抱卵期には達してない様子ですが、今後は本格的な繁殖期を迎えるはずです。
【剣ヶ峰〜蚕玉岳】
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こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。
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先週の蚕玉岳山頂付近 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2012/06/09〜10) D |
今週の蚕玉岳山頂付近 一週間の雪解けは高さ50センチ、横方向3メートル |
この一週間の雪解けは高さ1メートルほど。左の先週の画像の右下にスキー板が取り付けられたザックがあります。その左にある岩と、右画像の中央にある岩が同じものです。
この状況から、高さ1メートル、横方向には3メートルほど雪解けが進んだことがわかります。雪解けスピードとしては、ほぼ例年並みで、2008年以降では最も多く、2007年よりやや少ない積雪量です。
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蚕玉岳山頂からの尾根部分 − コマクサ群生地のため立ち入らないようお願いいたします |
それでは、ここからは稜線からの滑走バーンの様子をお伝えします。二枚の画像は蚕玉岳山頂からの尾根部分で、ご覧のとおりかなり雪解けが進んでいます。ここはコマクサの群生地となっていて、立ち入りにより植生に影響を与えますので、絶対に立ち入らないようにお願いいたします。
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横幅は125メートル |
雪解けが進んでいますが、それでも稜線の横幅は125メートルと、まだ余裕のあるコンディションです。
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積雪の多かった2007年の位ヶ原 2007ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2007/06/16〜17) E |
今週の位ヶ原 2007年以降最も多い積雪量 |
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積雪の多かった2007年の剣ヶ峰直下の岩 2007ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2007/06/16〜17) E |
今週の剣ヶ峰直下の岩 2007年とほぼ同じ積雪量 |
上段は稜線から滑り降りたところから見る位ヶ原、下段の剣ヶ峰直下の岩付近の様子です。過去5年間で最も積雪量の多かった2007年の画像と比較します。上段の位ヶ原では2007年よりも多く、過去5年間で最も多い積雪量が続いています。また、下段の剣ヶ峰直下の積雪は、2007年とほぼ同じ状態で、先週までは過去5年間最も多い状態でしたが、今週は雪解けが進んでいる様子が伺えます。
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3分の1地点 分断箇所(斜面から緩斜面へ) − 横幅45メートル |
稜線から県道乗鞍岳線との合流地点までの区間を3分の1程度滑走したところ。急斜面から緩斜面に変化する部分です。雪解けが進んで6月中下旬ごろになるとこの付近は左右から岩場やハイマツ帯が延びて来て滑走エリアが上部と下部に分断されて滑走できなくなります。
先週と同様、どこに分断箇所があるかすらわからない状態です。稜線からスタートして、車道に突き当たるまでの滑走エリアの中で最も横幅が狭い箇所ですが、まだ45メートルの横幅があります。
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激しい雨で二日後には稜線直下に岩の頭が現れる | 雷鳥が降り立つ |
左の画像は6月15日(金)ですが、6月16日(土)の夜に大雨に見舞われて、6月17日(日)には、左の画像の稜線から滑り出して画像中央部分にいくつも岩場が出始めています。そのため、例年、前述の分断場所の岩場が多くなって滑走不能になりますが、今年の場合は、稜線から滑り出してすぐの付近の岩場が多くなることで滑走不能になる可能性のほうが高い状況です。
そして、再び雷鳥の姿が...
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縄張りに侵入した雷鳥を追い払う |
どうやら、この雷鳥は別の雷鳥の縄張りに侵入した模様。縄張りの雷鳥が急いで近づき威嚇します。それに気がついた侵入者が急いで飛び立ちます。
縄張りを形成する時期には、このような光景はいたるところで繰り広げられます。
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岩の上で見回り |
侵入者を追い払った雷鳥が岩の上で周囲を見回します。
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重要な繁殖期の雷鳥 |
岩の上でじーっとしている雷鳥の姿を何度も見かけることがあります。縄張りを見守る行動かと思われますが、逆の言い方をすれば、この付近には雷鳥の巣が存在するということでもあります。その巣の中では、メスの雷鳥が抱卵しているかもしれません。
重要な繁殖期を迎えています。雷鳥に無用な刺激を与えることのないように注意したいものです。
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全景 − 2007年とほぼ同じ積雪状況 |
先週と比べると、剣ヶ峰直下と蚕玉岳直下の雪解けが目立ちます。それでも過去5年間で積雪量の最も多かった2007年とほぼ同じ積雪状況です。
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県道乗鞍岳線 |
稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。
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切り通しは3.4メートル −2007年に次ぐ積雪量 |
切り通しの高さは先週から40センチ減少して3.4メートル。2011年は1.7メートル、2010年は2.3メートル、2009年は2.3メートル、2008年は1.8メートル、2007年は3.5メートルでした。このことから、過去5年間でもっとも積雪量の多かった2007年に次ぐ積雪量です。
【春山バスの通る雪の壁】
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雪の壁 − 現在は標高2500メートル以上の位ヶ原で楽しめる |
この時期の乗鞍岳春山バスの車窓から雪の壁が楽しめるのは、位ヶ原山荘を出て、標高2500メートルより上部の位ヶ原です。
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春山バス車窓の中で最も高い雪の壁(4号カーブ) − 現在の高さは9.3メートル |
こちらは大雪渓・肩の小屋口バス停の手前500メートル付近にある4号カーブ。最も雪の壁が高い箇所です。現在の高さは8メートルです。
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天気がよければ穂高連峰が | 第5回 乗鞍天空マラソン(2010/06/19〜20) |
次週末の6月24日(日)には、第7回 乗鞍天空マラソンが開催されます。ご覧のように雪の壁の中を走り抜けるランナーの姿を見ることができるはずです。
なお、6月24日(日)は、乗鞍天空マラソン開催のため、乗鞍岳春山バスは全便運休となりますのでご注意ください。従って、大雪渓・山頂方面に入山される方は、岐阜県側の乗鞍スカイラインシャトルバスをご利用ください。
これまでの乗鞍天空マラソンの様子は、ノリクラ ヒルクライム・マラソン大会関連 の 〜乗鞍天空マラソン〜 をご覧ください。
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雪の壁 − 大雪渓・肩の小屋口バス停付近 |
雪の壁は、春山バス終点の大雪渓・肩の小屋口バス停より先でも続いています。
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雪の壁 − 大雪渓上 3号カーブ付近 | 第26回 全日本マウンテンサイクリングin乗鞍 (2011/08/27〜28) |
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雪の壁 − 大雪渓上 3号カーブ付近 | 第25回 全日本マウンテンサイクリング in
乗鞍 (2010/08/28〜29) |
7月になって県道乗鞍岳線の冬季閉鎖が解除されると、多くのヒルクライマーが訪れます。そのヒルクライマーが目指すものは8月下旬に開催される全日本マウンテンサイクリングin乗鞍 。
同じ箇所の今週の様子とレース中の選手の様子をご覧ください。多くの選手が大雪渓に残る残雪が見られるのを楽しみに登ってきます。
これまでの全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の様子は、ノリクラ ヒルクライム・マラソン大会関連 をご覧ください。
春山バスの車窓からの雪の壁はまだまだ楽しめます。そして、7月に入ると一日三便の春山バスに代わって、毎時一便運行されるシャトルバスが始まります。7月に入っても7月上旬〜中旬頃までは、4号カーブ付近の雪の壁を見ることができると思います。今年のシャトルバスは運行ダイヤが一部変更されています。運行ダイヤの詳細については、お知らせ − 2012シーズン 長野県側県道乗鞍岳線(エコーライン)シャトルバスの運行ダイヤ変更について(2012/06/09) をご覧ください。
4号カーブまでは、乗鞍岳春山バスの到着した大雪渓・肩の小屋口バス停から500メートルほどですから、歩いて見に行かれることをお勧めします。4号カーブの位置は、ノリクラガイドマップ県道乗鞍岳線カーブ番号版 でご確認ください。(→ Next)
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