ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.6(2012/06/15〜17) E
【6月17日(日)、春山バス始発便が運休】
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観光センター前駐車場 |
こちらは朝7時の観光センター前駐車場。昨日は終日雨で夜になって特に雨が強くなりました。そして、この時間帯になって雨がようやく上がりはじめました。
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山頂付近の雲が抜け始める | 新緑の明るい緑と残雪の雪形が美しい |
雲に包まれていたノリクラも姿をあらわし始めます。新緑の明るい緑と残雪の雪形が美しい光景を作っています。
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雨量規制のため、春山バス始発便は運休 | バス停表示を見て唖然とした表情... |
そして、昨晩からの大雨で、県道乗鞍岳線は雨量規制値を越えたため、乗鞍岳春山バスの始発便は運休となりました。そんなこととは知らずに、しっかり準備を整えたスキーヤーの方々が観光センター前バス停に訪れ、掲示されている運休の案内を見て唖然とします。
上空には青空がのぞき始める状況ですから、頭の中には「???」が駆け巡るのも無理はありません。
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仕方なく駐車場へ戻ります... |
春山バス第2便については、次回の道路パトロールの結果、運行を決めることで、スキーヤーの方々は第2便の運行を願いながら、観光センター前駐車場へと、一旦戻ります。
なお、早朝の道路パトロールでは、終点の大雪渓・肩の小屋口バス停付近は道路が川のようになっていて、車外に出ることができないほどで、山麓からは想像もできないのは状況だったようです。
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春山バス始発便の定刻にバスが来る |
しかし、春山バス始発便の定刻時刻である8時05分になると、停留所にバスが入場します。
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定期路線バスのため、休暇村までは通常運行 |
春山バス始発便は、新島々発・休暇村行きの定期路線バスが、大雪渓・肩の小屋口(位ヶ原山荘前)まで区間延長して運行する形式をとっているため、春山バスとしては運休となっても、休暇村までは通常運行されます。
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車座になって暇をもてあます |
そして、観光センター前駐車場では、車座になって暇をもてあますスキーヤーの姿があります。
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お昼に到着しても時間がないよなぁ〜 | 解除されたら、すぐに運行してほしいよなぁ〜 |
運行が期待される春山バス第2便は、観光センターを10時45分に出発し大雪渓・肩の小屋口には11時31分に到着します。そのため、大雪渓での滞在時間が3時間程度しかありません。
「いや〜第2便で大雪渓に行っても時間が短すぎるよなぁ〜、せめて、雨量規制が解除されたら、通常ダイヤと関係なく、すぐに運行してほしいよなぁ〜」との声も聞かれました。
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たまには乗鞍高原内を散策 − 一の瀬つつじ園 |
春山バス第2便まで3時間近く時間がありますから、こんなときは普段出向くことのできないところへ出掛けてみるものよいでしょう。普段は朝一番に出掛けて、夕方まで戻ってこないスキーヤーにとって、ノリクラのお膝元である乗鞍高原一帯はなかなか出歩く機会が少ないものです。
そして、今回出かけたのは、乗鞍高原の奥にある一の瀬園地。その中に一の瀬つつじ園という一角です。
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レンゲツツジ − そろそろ見頃の時期に近づく |
6月中下旬ともなると、一の瀬一帯ではレンゲツツジが咲き乱れています。一の瀬は牧場としても知られていますが、レンゲツツジは葉・花・根などに毒を持ち、牛や馬がレンゲツツジを捕食することはありません。
そのため、牧草地ではレンゲツツジだけが残る状態となり、牛や馬が牧草を食べることによって「下草刈り」されて、さらにレンゲツツジが増えるわけです。
今年のレンゲツツジは例年よりも開花が少し遅く、訪れたときは開花直前のつぼみ状態のものが多く見受けられました。
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観光センター前 − 春山バス第2便が運行 |
そして、再度行われた道路パトロールの結果、春山バス第2便の運行が決まり、10時45分、観光センター前に春山バス第2便が到着します。
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待っていたスキーヤー・ボーダーが乗り込む − 今日は3台運行 |
運行開始を待っていたスキーヤー・ボーダーの方々が集まり、いつもなら1〜2台程度の運行ですが、今日の春山バス第2便は3台が運行されました。
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春山バスの車窓 − 今は新緑の季節 | 位ヶ原山荘 − 森林限界を超える |
春山バスのアピールポイントは雪の壁の中を走るところにあります。しかし、季節が進んで現在は、雪の壁よりも新緑の美しさ・眩しさのほうが魅力であると思います。
そして、森林限界を超える位ヶ原山荘を過ぎると...
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広大なロケーション | 雪の壁 |
ここからは景色が一変して、残雪の残る山岳地帯の光景となります。さらには春山バスのアピールポイントである雪の壁が迫ってきます。
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もっとも雪の壁の高い箇所 −
現在、9.3メートル 大雪渓下 4号カーブ |
大雪渓・肩の小屋口バス停に到着 |
そして、春山バスが進む県道乗鞍岳線でも最も高い雪の壁がある4号カーブを過ぎると、周辺の大雪渓・肩の小屋口バス停に到着です。この4号カーブの雪の壁は、取材した時点では9.3メートルの高さがありました。もちろんバスの背丈以上の高さです。
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急いで行けば2本は滑走できるかな〜 |
春山バス第2便が大雪渓・肩の小屋口バス停に到着したのは11時31分。そして、春山バス下り最終便が出発するのは14時50分です。現地の滞在時間は3時間ちょっとしかありません。
「今日は何本いけるかなぁ〜。急いで行けば2本はできるかな?」と、急いで準備に取り掛かります。
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気温10℃、冷たい北風 − きれいな青空に足早に雲が流れる |
正午の大雪渓入口付近の気温は10℃。北からの冷たい風が吹き、上空の雲は足早に激しく流れて行きます。それでも綺麗な青空がひろがり、スキーヤー・ボーダーの方々は、その青空に吸い込まれるように一気に稜線へと上って行きます。
【昨年の今ごろは?】
6月17日(金)は、昨晩の雨が止んで、日差しが少し差し込む明るい曇り空の朝から始まります。梅雨前線が南へ少し下がったことで天候が回復しました。そのため、一時的に小雨がパラパラと舞うことがあっても、雨に見舞われることのない天候でした。しかし、ほぼ終日にわたって濃霧の一日となり、午前中は周期的に流れている霧に視界の開ける瞬間がありましたが、午後になると霧が滞留するようになって、ほとんど取材にならない一日となりました。しかし、15時位からは山頂までしっかり見渡せるようなタイミング増えてきて、もう少し早く天候が回復してくれたらと、若干悔いを残しながら下山いたしました。
6月18日(土)は、曇り空の朝から始まります。早朝はノリクラの峰々がはっきりと確認できたものの次第に雲がかかり、春山バスが大雪渓駐車場に到着した頃の山頂付近は、濃霧のかかっている時間帯のほうが多い状態となってしまいました。そして、思ったよりも早めに雨が降り始め、午後からはまとまった雨降りとなってしまいました。
翌日開催される、第6回乗鞍天空マラソンの受付が観光センターで行われ、雨の降る中、多くの選手がゼッケンを受け取ったりする様子が夕方まで続きました。
<編集後記>
「ハード面の整備とソフト面の整備」
現地で取材をしていると、毎回、いろいろな方とお会いしたりお話したりする機会があります。帰り支度をする畳平で、疲れきった表情の乗鞍環境パトロールの方が戻って来ました。
少しばかり、お話を聞くと、来場者の少ない平日にできるだけ周辺整備を集中して実施しているとのこと...来場者が少ないから誘導ロープの設置などが はかどるからという理由なのかと思いましたが、それだけの理由ではなさそうです。
「今年からお客様とコンタクトする機会を増やし、啓蒙活動にも重点を置くようにしているんですよ。長年、パトロールをやってきましたが、登山道の整備だけでなく、来場者のこころに訴えるものがないと、自然保護への関心や理解が深まらず、効果的な環境保護への対策をとることができないんですよ。」と、おっしゃるのです。「聞かれれば答えます...」というスタンスから、最近は積極的に話しかけるようにされているとのことで、特に女性パトロール員の対応は「効果バツグン!」とのこと。
若干話がそれますが、森林管理局の管轄である、保護林など優れた自然環境を有する森林の維持・保存の一環として活動するグリーン・サポート・スタッフの規定では、「天然生林における植生荒廃等の状況把握や入込利用者への利用マナーの指導及び普及啓発活動等を行うための職員」とされていて、そこには「指導及び普及啓発活動」という文言があっても、登山道整備や誘導ロープの設置といったハード面整備の文言はありません。
乗鞍一帯は国有林であり、国民の共有の財産です。国有林の整備には、原生的な森林生態系等貴重な自然環境の保全、国民と自然とのふれあいの場としての利用されることが、目的のひとつになっています。つまり、ここを訪れる多くの方に自然体験の機会を提供しながら、自然環境も守る必要があるわけです。訪れた方々と親密に話をすることによって、来場者の動向も把握することができれば、誘導ロープの設置にしても、現状とは違った形になるかもしれません。
ハード面の整備も大切ですが、ソフト面の整備は、前述の乗鞍環境パトロールの例のように、来場者への啓蒙の前にそこに活躍する方々など、自らの変革から始める必要があり、ハード面の整備以上の尽力が必要となります。しかし、ソフト面の整備こそが、真の環境整備に近づくものだと思うのです。
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