ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.10(2012/07/14〜15) D
【雪渓上部 T】
それでは雪渓上部の様子をお伝えします。
こちらの画像は2011年〜2007年までの同時期のもの。今年の雪の多さはこの画像だけでも一目瞭然です。ただ、細かく見てゆくと、やはり各年ごとに違いがることがわかります。
今年を含めた各年ともに雪渓上端の中央部分の少し下に岩が出ていますが、2010年ではその岩が確認できません。
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今週の鉄塔土台 ようやく姿をあらわす |
雪渓上部右側エリアの下部、ちょうど雪渓中段につながる位置にある鉄塔土台です。今週になってようやく姿を見せました。高さはまだ50センチ程度です。
過去5年間を見ると、2010年と2008年は今週と同じ週に見られるようになり、土台の高さもほぼ同じで、2007年はさらに雪解けが遅く、一週間後でした。そのため、今年は雪解けが目立って遅いわけではありませんが、雪解けが進んだ年(2011年・2009年)と、遅い年との差が激しい様子が見られ、どちらかというと、今年は遅い年に分類できる状況だと言えます。
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先週の雪渓上部右側上端 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2012/07/06〜07) C |
今週の雪渓上部右側上端 上端部分は先週から10メートルほど下がる |
雪渓上部では今後雪解けが進んでくると、中央から尾根が出始めて、バーンが左右に分かれてきます。こちらは右側の最上部。雪渓の上端部分は先週から10メートルほど下がっています。
雪渓上部右側の上端部分。先週と同様に、昨年よりも1.5メートルほど積雪量が多い状態が見られます。
2009年の雪渓上部右側上端 2009ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2009/07/18〜19) D |
2008年の雪渓上部右側上端
2008ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.11(2008/07/26〜27) C |
こちらは2011年〜2007年までの雪渓右側上端部分の様子です。2007年に次いで積雪量の多い状況です。
濃霧のため、今回も全体を鮮明に撮影することが困難でした。そのため、雪渓下端までの距離を計測することができませんでしたが、下端部分・上端部をあわせて、先週よりも10メートルほど後退していますので、先週の517メートルから507メートルに減少したと推定されます。
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先週の中央の尾根部分 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2012/07/06〜07) C |
今週の中央の尾根部分 この一週間で1メートルの雪解け |
こちらは雪渓上部を左右に分ける中央の尾根部分。先週から確認できるようになり、この一週間の雪解けは1メートルほどです。
2010年はまだ姿が見られず、2007年と今週の状況がほぼ同じで、それ以外の各年は今週よりも岩場が大きい状態でした。そのため、例年と比べてもやはり積雪量の多い状態がこの箇所でも見られます。
バーン表面のうねりが目立つ状況となってきました。ただ、現段階では、典型的な綺麗なスプーンカットではなく、細かなピッチといった雰囲気で、大雪渓の中でも特に雪渓上部右側上端付近でのバーンの荒れが目立つ箇所です。ただ、例年と比べるとバーンの荒れはまだ少ない状態です。
【雪渓上部 U − 基礎キャンプ】
こちらは基礎キャンプの様子。天候にかかわらず、今日も練習に励みます。
「さぁ〜、私の後ろについてくるのは誰かな??」と、メンバーに問いかけるとすかさず「ハイッ!行きます!!」
先行する二本のラインを正確にトレースして行きます。
ターンの調整や、トレースライン・体の動きなど、一人で滑走する以上に神経を研ぎ澄ましながらの滑走で、イメージを習得します。
毎年、基礎キャンプの様子を取材しておりますが、どのメンバーの滑りを見ても、緊張感のない滑走シーンにはお目にかかったことはありません。特にこの時期は梅雨末期の厳しい環境下に置かれるため、楽しいだけの「夏スキー」では、練習を継続することができません。
「代表のキャンプに始めて参加したのは、ノリクラだったんですよ。」と、おっしゃるこちらの方。「以前、他のメンバーが急遽全員キャンセルになってしまい、私一人のマンツーマンキャンプになったときもありました。そのときは、本当にラッキーでしたね。」
こちらの方も「超常連」といってもよいでしょう。でも、初めて通い続けている方も、長年お越しになっている方も、皆さん同じ土俵です。あえてお聞きしなければ、「何年通っている...」などということには一切触れないんです。
通い続けることで、最終的に何かが得られるかもしれません。でも、それを追うのではなく、毎年毎年をこつこつと繰り返すことが重要ででしょうね...
登っては滑るの繰り返しの中、腰を下ろして休憩したらもう最後...それまでの疲労が一気に噴き出し、もう、動き出せません...
ノリクラでの夏スキーの経験の差は、実はその滑りよりも板の履き方でわかるほど...
ウインターシーズンなら、滑走中に転倒するなどといったアクシデントがない限り、急斜面でスキー板を着脱することはありません。さらには一発でバチッとビンディングをはめることができないほど、足がふらふらになっています。
「いや〜今回初めてなんですよ。還暦を迎えてからのノリクラはやはり辛いですねぇ〜」と、このキャンプに何度も参加されているご主人は「そろそろノリクラに連れてきてもよいかなぁ〜と思って、今回は一緒に参加したんですよ。」
「辛いけど、来年もまた来ちゃうかなぁ〜」、一瞬でもそのような考えを持ってしまうと、「ノリクラデビュー」という言葉が「ノリクラ通い」に置き換わってしまうものです。
視界が50メートル切るほどの条件の中での滑走は、足裏から得られる感覚しか頼るものがありません。
滑走直前のメンバーにそれぞれのワンポイントをアドバイスします。絶対に捕らえて欲しいポイントに的を絞ってのアドバイスです。
昨晩の雨で、バーン表面は昨日以上に細かなピッチが発生しています。
角付けにしっかりとウエイトが乗せて行ければ、凍った箇所に差し掛かってもスキーはスーッと走って行きます。でもウエイトを乗せて行けない人は、氷ではじかれて、ラインがずれ落ちて行くんですよ。今日のような細かな氷のピッチが発生していると、その差は一目瞭然です。
「ノリクラのキャンプは、ウインターシーズンのキャンプとは全く違いますね。色々な意味で...」と、おっしゃったメンバーがいました。バーンコンディションだけを見てもかなりの違いがあり、ノリクラのような荒れたバーンでの練習体験は、他ではなかなか得られないことでしょう。
さて、練習が終われば、大雪渓駐車場まで、みんなで一斉に下山開始!
まるで子供の駆けっこ競争 | 転倒してもそれは楽しい... |
まるで子供の駆けっこのよう...もちろん足をとられて転倒してますが、それはそれでまた楽しいもの。もしかすると、スキー以上に足裏感覚が養われる一瞬かもしれませんね〜。
今年の基礎キャンプは今回で最後ですが、また、来年もお会いできることを楽しみにしています。(→ Next)
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