ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.12(2012/07/28〜29) F
【畳平、お花畑】
![]() |
ここからは畳平のお花畑の様子をお伝えします。
![]() |
![]() |
入口付近のお花畑−ハクサンイチゲが満開 |
畳平のお花畑は、奥(西側)から開花が始まり、手前の入口付近が最も開花が遅い推移を見せます。こちらは入口付近の様子。開花が遅い入口付近でも、ご覧のようにハクサンイチゲが満開を迎えています。
![]() |
![]() |
ミヤマキンバイ(黄色)、ミヤマクロユリもつぼみが大きくなる |
そのハクサンイチゲの群落の中に、ミヤマキンバイの黄色い花やミヤマクロユリつぼみが見られるようになって来ました。例年、入口付近のミヤマクロユリはすでに開花の時期を迎えていて、一週間ほど遅い状況です。
![]() |
周回コース分岐点 |
入口からさらに周回コースを進んで行きます。
![]() |
![]() |
周回コース分岐点付近 − ミヤマクロユリはお花畑全域で見られる |
ミヤマクロユリはお花畑の全域で見られるようになって来ました。
![]() |
手前に黄色に咲く花に注目 |
お花畑をもう少し別の角度から見てみます。手前に黄色に咲く花が見られます。高さはほとんどありませんね。そして、その周辺でも黄色が点在していますが、こちらは30センチ以上はあります。
![]() |
![]() |
背の低いのはミヤマキンバイ | 背の高いのはミヤマキンポウゲ |
背の低い黄色の花はミヤマキンバイ(画像左)。そして、背の高い黄色の花はミヤマキンポウゲ(画像右)です。
![]() |
図鑑では違いがわかりにくいが、背丈で一目瞭然 (こちらはミヤマキンポウゲ) |
改めてその区別を申し上げるかというと、花の部分だけがアップで掲載されているパンフレットや図鑑では、その違いがわからないからです。実際に見るとこれだけ背丈が違いますから、ご覧のような草原が生い茂る中でも見られる黄色の花は、ミヤマキンポウゲであることが一目でわかるわけです。
![]() |
![]() |
周回コース奥へ進む |
周回コースをさらに奥のほうに進むと...
![]() |
ミヤマクロユリばかりの世界となってきます。
![]() |
![]() |
ミヤマクロユリは20センチほどの背丈しかない |
背丈が20センチほどしかありません。しかも、下向きに咲いていて、木道からではどのように咲いているのか確認しにくい状況です。
![]() |
![]() |
両性花(雄しべと雌しべ) | 単性花(雄しべだけ) |
ミヤマクロユリは雄しべと雌しべの両方を持つ両性花と、雄しべしか持たない単性花の二種類があります。それも花の中をのぞいて見なければわかりません。
両性花をつけるか、単性花をつけるか、また、一輪なのか二輪なのかは、地下部の鱗茎の成長によって決まるようで、花をつけるようになるまでには、栽培されたものでも6〜8年が必要とのことです。ですから、このような野生のミヤマクロユリが何年かかって花をつけているか、想像もできないほど年月が必要です。
![]() |
![]() |
葉が輪生につく − ミヤマクロユリは「いわゆるユリ」の仲間ではない |
1ページ目のクルマユリの記述で、「ユリの仲間は、左右の葉が互い違いに付く「互生」がほとんどですが、クルマユリは上部の葉は互生で、下部はご覧のような「輪生」が見られます。」と、申し上げました。
ユリ科ユリ属の仲間で輪生に葉が付いているものは、クルマユリとタケシマユリの二種類ですが、こちらのミヤマクロユリを見ると、葉が輪生しています。ミヤマクロユリは同じくユリ科ですがバイモ属です。
![]() |
![]() |
コイワカガミもまだ健在 | ヨツバシオガマはこれからが花期 |
ミヤマクロユリとハクサンイチゲ以外にも、まだまだたくさんの高山植物が見られます。コイワカガミはそろそろ花期が終わりに近づいてきている感じが見られますが、そのピンク色をバトンタッチするかのように、ヨツバシオガマが咲き始めています。
![]() |
例年よりも一週間ほど遅い状態が続く |
周回コースの奥のほうではハクサンイチゲの大群落が終わりに近づいてきていますが、入口付近ではまだ見頃が続きます。そして、ヨツバシオガマなどの夏本番の時期に咲く花も、これからは見頃を迎えることでしょう。
【昨年の今ごろは?】
まるで梅雨のようなはっきりしない天候に見舞われ、真夏のこの時期とは思えないような二日間となりました。
7月28日(木)は、昨日から続く雨の天候から一日が始まります。強弱を繰り返す雨に加えて、濃霧がひどく、耐えられないほどの天候ではなかったものの、終日にわたって悪天候が続き、全く取材にならないほどの状況。岐阜県側の乗鞍スカイラインは、6時40分に雨量規制のため、通行止めの措置が取られ、それに連動して、乗鞍高原を出発する長野県側のシャトルバスも運休となり、今日は運行が再開されることがありませんでした。午後になって、雨は収まってくるものの、濃霧はさらにひどく、本物の梅雨以上に辛い一日でした。
7月29日(金)も、昨日とほぼ同様な天候。それでも昨日からの雨はやんで、乗鞍スカイラインは7時から雨量規制による通行止めが解除されました。そのため、始発便は運休でしたが、7時便以降のシャトルバスは通常通りの運行となり、昨日はまったく人出のなかった大雪渓も、今日は数名のスキーヤーがシャトルバスでお越しになる様子が見られました。この天候ですから、バーンは硬く、さらにコブラインの中までスプーンカットなどが発生する状況に、コース整備を全員で行うところから、大雪渓での夏スキーが始まります。しかし、天候はまったく回復せず、濃霧と雨と風の一日が終日続きました。
<編集後記>
「自転車での下山...」
6ページ目でも記載しましたが、自転車の下山は危険極まりないケースが見受けられます。
絶対に守って欲しいことは、カーブではすぐに止まれるほどの徐行スピードで進入し、できる限りのキープレフト(左側走行)を実行することです。そして、カーブミラーでの前方状況の確認は必須です。カーブの出口ばかりを目で追っていると、カーブミラーの確認がおろそかになりますが、それができないということは、明らかにカーブへの進入スピードが速すぎるということなのです。
ヒルクライマーの下山走行だけでなく、シャトルバスに自転車を積んで下山する方も同様です。特にキープレフトが守られないケースが多く、カーブでは中央部分を降りてくる自転車がかなり多い状況なのです。
カーブ進入前にカーブミラーも確認せず、車線中央をスピード超過で進入すれば、どのような顛末になるか想像してみてください。そこに大型バスなどが対向してくると、自転車の逃げ場はありません。
実際にカーブ手前で自転車下山を察知して減速しながら登って行くと、下山する自転車の方はこちらの車両に気付かず、車線中央を減速もせず降りてきて、真正面であわてて気付く状況にはこれまで何度も遭遇しています。
自動車 対 自転車の事故では、過失割合が自転車に有利になるケースがあるかもしれませんが、障害を受ける割合は明らかに自転車のほうが大きいはずです。本当に気をつけたいものです。
Copyright (C) 乗鞍大雪渓WebSite |
|