ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.16(2012/08/24〜25) @
お盆休みが終わり、8月最後の週末は毎年恒例の全日本マウンテンサイクリングin乗鞍が開催されます。今年で27回を迎えるこの大会は、国内のヒルクライム(自転車で急坂を登る競技)の草分け的な位置づけであり、この大会に出場される選手の中には、ここに照準を合わせてトレーニングを継続してこられた方もいらっしゃり、また、地元の乗鞍高原の方々にとっても、この大会が終わると、ノリクラの夏も終わるといった、一年の大きな節目であることも間違いありません。全日本マウンテサイクリングin乗鞍の大会の模様は、後日、特集をお送りいたします。
今回は大会開催のため、一日前倒しで取材を行いました。
取材一日目の8月24日(金)は、朝から気持ちの良い快晴の天候を迎えます。観光センター前駐車場は前述の大会会場となるため、半分程度がすでに規制がされています。今日は平日ということもあり、朝6時の時点でお越しになっているマイカーは38台と少なめですから、駐車規制がなされていても問題となるようなことはありません。強い日差しに徐々に雲が沸き始め、夏山の天候が始まります。それでも空の高さは幾分秋の雰囲気を感じさせるものがあります。大雪渓に到着するとひんやりとした涼しい風に吹かれて心地よさはこれ以上なく、雪渓脇で昼寝をするスキーヤーの方も、あまりの心地よさに熟睡されていました。午後になると鉛色の雲が立ち込め始め、大雪渓付近も時折濃霧に流れ込むようになってきます。そして、15時過ぎには雷鳴が聞こえ始めたかと思うと、16時前から激しい雷雨に見舞われます。まさに夏山の天候のメインディッシュがやってきた状況です。天候が不安定だったお盆よりもさらに激しい降り方です。しかし、雷雨が収まると再びきれいな青空が広がり、そこには虹のアーチが見事にかかっています。大会に出場する選手が最後のトレーニングにやってきたものの、思わず足を止めて、盛んにシャッターを切る様子もあるほどきれいな虹で、明日からの週末の天候を保障してくれるような雰囲気すら感じさせてくれました。
取材二日目の8月25日(土)も、朝から快晴の天候で始まります。観光センター前駐車場は、大会会場の準備が進んでいて、一般車両の進入が禁止されていることから、シャトルバスは車道沿いの路線バスの停留所から発着します。強い日差しに7時過ぎには雲が沸き始めますがそれも次第になくなり、秋のようなきれいな青空に包まれます。また、日差しの強さは相変わらずで、大雪渓付近でも20℃に迫るほどの暑い状況でした。
午後からは大会会場である観光センター前駐車場に向かいました。こちらもとにかく暑い!14時ごろになってようやく日差しを遮る雲が出てきたもののそれも一時的で、久しぶりに夏らしい一日となりました。
【8月25日(土)、観光センター前駐車場】
観光センター前駐車場 |
こちらは早朝5時30分の観光センター前駐車場。いつもならシャトルバスに乗車しようとされる方や、ヒルクライムに出かける方のマイカーがお越しになっていますが、今日は駐車されている車は一台もありません。
観光センター前駐車場 − 全日本マウンテンサイクリング会場のため閉鎖 |
お知らせ − 8月25〜26日開催の第27回全日本マウンテンサイクリング in 乗鞍 開催に伴う通行・駐車規制のお知らせ。でご案内したとおり、観光センター前駐車場は、全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の大会会場となるため、8月24日(金)16時より閉鎖されています。
シャトルバス乗車券販売所 − シャトルバスは通常運行 |
明日のレース当日は県道乗鞍岳線の通行規制が実施されるため、午前中の便を中心にシャトルバスは運休となりまが、今日はシャトルバスは通常運行されます。しかし、観光センター前駐車場に常設されているシャトルバス専用の停留所は利用できません。
本日のシャトルバスは路線バス用停留所から発着 |
そのため、車道をはさんだ反対側の路線バス用の停留所からの発着となります。
シャトルバス始発便到着 |
したがって、本日は新島々発休暇村行きなどの路線バスと混在しますので、乗り間違いのないように注意が必要です。
なお、明日のレース当日はシャトルバスの運行開始は13時便からです。ただ、午後も表彰式などの大会行事が継続され、観光センター前駐車場の駐車規制は続きますので、明日の午後便も路線バスの停留所からの発着となります。
朝から日差しの強い一日が始まりました。お盆が終わると秋の雰囲気を感じ始めるものの、今日は「残暑」という言葉がぴったりな一日になりそうです。
【大雪渓までの沿道の風景 T】
ここからは大雪渓までの沿道の様子をお伝えします。
ヤマハギ − 季節は秋へ |
こちらは先週もお伝えしたヤマハギ。各地で自生する植物ですから、市街地でも普通に見られるはずです。
ススキ − こちらも季節は秋へ |
そして、こちらも各地で普通に見られるススキ(薄、芒、イネ科ススキ属)。ここ最近になってよく目立つ存在になって来ました。
ススキの花(雄花) |
それもそのはず...穂先が開いて花が咲き始めたからです。細かくぶら下がっているのは雄花。雌花はもう少し遅れて咲きます。その後、ススキ特有の穂先に小穂がびっしりつくようになるはずです。
本滝ゲート − この先マイカー規制 | かもしかゲレンデ |
観光センターから約7kmほどのところにある三本滝ゲート。マイカー規制はここから実施されます。三本滝ゲートをさらに進むと、県道乗鞍岳線はかもしかゲレンデを縫うように横切ります。
いつもと同じように見えるかもしかゲレンデも、他のエリアと同様に、毎週のように色々な変化を見せてくれます。
ヨツバヒヨドリ | ゴマナ |
それまで白一色だったヨツバヒヨドリも少しばかり紅色に変化し、現在、白い花の役目を担っているのはゴマナ(キク科シオン属)。そろそろ、季節は秋へと向かっているようです。
ヤナギラン | 花は頭頂部(先端)まで達する |
ヤナギランもまだまだ見頃が続いています。穂先の花は下部から上部へと順番に咲く様子が見られていましたが、ご覧のように花は完全に先端に移動しています。下部の赤い部分は綿毛の種がびっしりとできて、秋を迎えるとかもしかゲレンデは風に舞った綿毛に包まれるようになります。
紅葉の時期よりも少し前から綿毛が舞う様子見られますが、紅葉がピークを迎える時期まで続きますから、きれいな錦の紅葉とふわふわと綿毛が空を舞う二つの情景を楽しむことができるでしょう。
空の青さは次の季節へ |
とにかく、今日の空は青さが冴えます。まだまだ暑さを十分感じさせますが、空の青さは次の季節を先取りしています。
トリカブト | 花弁のような5つのパーツは萼 実際の花弁は萼の中の2本の距(赤丸) |
さて、先週つぼみだったトリカブト。ご覧のようにきれいに開花しました。5つのパーツで特徴的な形を作り上げていますが、これらは花弁ではなくすべて萼片。その萼片の一番上に部分が、雅楽の奏者が頭にかぶる錦の鳳凰の冠である「鳥兜(トリカブト)」に似ているところから由来されています。実際の花は中央の萼片から上部の萼片へと伸びる二本の距が見られることから、本来の花弁は「鳥兜」の中に存在していることがわかります(赤丸部分が二本の距)。
小説などのタイトルで、「○○トリカブト事件」といったように、猛毒を含有していることは有名で、春先にヨモギと間違えて食中毒を起こすケースもあるようです。
オヤマリンドウ | これ以上は開花しません |
さて、もう一つ紫色の花が見られます。オヤマリンドウは咲かない花として有名ですが、その色合いはトリカブトに負けない深い紫をみせます。
紅葉のビューポイントとしてお奨めの28号カーブ付近の様子をご覧ください。
部分的な紅葉 |
すでにウラジロナナカマドが部分的な紅葉を始める様子はこれまでにもお伝えしています。ただ、今年はこのような現象が例年よりも多く見られ、また、いつもよりもきれいなんです。この視の紅葉が期待できるのでしょうか...
<テーマは赤> − アカソ |
先週は黄色の花を中心にお伝えしましたが、今回は赤をテーマに見てみましょう。こちらはアカソ(赤麻、イラクサ科カラムシ属)。
葉先が3裂 | 茎の赤味が名前の由来 |
アカソの仲間にはコアカソ、クサコアカソなどがありますが、葉先が3裂になっている点がアカソの特徴です。アカソ(赤麻)の由縁は花が赤いからでなく、茎が赤いからです。かつて、明治時代初期までは、アカソを繊維材料として使用されました、その後、綿花からの紡織や養蚕が盛んになり、アカソを繊維材料として用いることはなくなりました。
赤い茎を剥いだものが繊維原料であったことと、繊維材料のことを「麻」と呼ぶ意味合いから、アカソ(赤麻)と呼ばれているようです。
<テーマは赤> − オオカメノキ(ムシカリ)の実 |
花が終わったあとのオオカメノキ(ムシカリ)には赤い実ができ始めました。紅葉の時期を迎えると、赤い実は黒くなり、青い葉が赤く紅葉します。
<テーマは赤> − ベニバナイチゴの実 |
赤がテーマなのにどこに赤いものがあるのか...葉の下に隠れるようになっているのはベニバナイチゴの実。ツキノワグマもこんな実を目当てに散策しているのでしょうか?
沸いては消える雲 − 夏の入道雲ではないことに気づく |
沸いては消えて、消えては沸き行く雲。真夏特有のモクモクとした雲ではないことに気づきます。そんなちょっとした変化に気づくと季節感をさらに実感できます。(→ Next)
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