ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.18(2012/09/08〜09) @
秋への雰囲気が徐々に深まって行くことを実感できた二日間となりました。
取材一日目の9月8日(土)は、薄い雲が上空を覆い青空が見え隠れする朝を迎えます。早朝の気温は14℃ですが、気温の割には暖かさというか温度感があり、9月に入っても肌寒さを感じさせる朝ではありません。日が高くなるにつれてしっかりとした青空に包まれます。しかし、真夏のような日差しの強さはなく、さわやかな秋の空気に包まれていることを実感します。その後、山麓から湧き上がる雲に覆われ、長袖を着ていても肌寒さを感じる空気に入れ替わって行きます。この雲の動きだけを見ていると晩秋を思わせるようなトーンの低い雰囲気です。午後になって小雨に見舞われるものの、それ以上の天候の変化はなく、事前の天気予報では雨マークがありましたが、まずまずの一日を過ごすことができたと思います。
取材二日目の9月9日(日)は、綺麗な快晴の朝を迎えます。気温は10℃と少し冷え込み、いつも以上に夜露にひどく濡れています。早朝の快晴の空から次第に曇り空へと変わって行き、山麓から湧き上がる霧には冷たさを感じる状況。午後になって、一時的に小雨に見舞われますが、それ以上の天候の変化はなく、秋の空気に包まれていることを実感させられた一日でした。
今回も 紅葉情報(7ページ目) をお伝えします。紅葉シーズンに向けて少しずつ変化を始めていますが、本格的な紅葉の始まりには至っていません。
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
【9月8日(土)、観光センター前駐車場】
観光センター前駐車場 |
こちらは早朝5時30分の観光センター前駐車場。
日の出直後 − 山頂にようやく朝日が当たる |
今日の日の出時刻は5時24分。ノリクラの山頂付近がようやく茜色に照らされる状況で、観光センター付近はまだ朝日の姿はありません。これから刻々と日の出の時刻が遅くなってきます。
シャトルバス停留所 |
シャトルバス始発便は9月末までは6時10分。そして、9月30日の日の出時刻は5時41分です。この頃になると、朝晩の冷え込みがかなり感じられるようになってくるはずです。
観光センター周辺のシラカバ |
そして、秋の深まりは周囲の木々も敏感に感じているようです。観光センター駐車場のシラカバをよく見ると...
黄色の部分が確認、落ち葉も見られる − 昨年より1週間遅い |
少しずつ黄色の部分が目立つようになってくると同時に、落ち葉も見られるようになって来ました。昨年よりも1週間程度遅い状況です。乗鞍高原の本格的な紅葉は10月上旬から中旬頃ですから、現時点で昨年よりも遅くても、実際の紅葉シーズンが遅れることに直結するとは考えにくいです。
シャトルバス始発便 |
そしてシャトルバス始発便はいつものように通常ダイヤでの運行が始まりました。
紅葉シーズンまでの端境期 − 今日は最大で2台運行 |
夏休みが終わって紅葉シーズンが始まるまでの9月上旬〜中旬は、端境期となることもあって、訪れる方が少なめであることは否めません。今日も9時便が2台運行されたほかは、登りの各便は1台運行で、週末としてはかなり少ない状況でした。
タクシー乗り場 |
そして、こちらはタクシー乗り場。いつもの常連のドライバーの方々がやってきます。
タクシーに駆け込む − シャトルバスに乗り遅れちゃって... |
シャトルバス始発便に乗り遅れたという登山客の方が、急いでタクシーに向かう様子がありました。シャトルバスは9時台を除いて1時間に1便しか運行されません。次のシャトルバスを待つという選択もありますが、ご覧のようにグループでお越しになっていれば、タクシーを利用するという選択肢も十分考えられます。
【大雪渓までの沿道の風景 T】
鈴蘭バス停前(カエデの紅葉) | 善五郎の滝 駐車場 |
それでは大雪渓に向かう沿道の様子をお伝えします。左の画像は鈴蘭バス停前のカエデの様子。先週もお伝えした箇所です。この1週間のカエデの色合いの変化はそれほど大きくありません。乗鞍高原の紅葉の見頃は10月中旬頃で、まだ1ヶ月以上先のことです。
ウラジロナナカマドが部分的に紅葉する様子は夏場でも散見いたしますが、大半は1〜2週間でその部分は枯れてしまいます。しかし、こちらのカエデは本格的な紅葉シーズンまでご覧の状態を保ち、10月中旬ごろにはそれ以外の部分が発色して、一緒になって全身を真紅に染め上げます。
善五郎の滝 遊歩道入口 − 熊出没注意!! |
観光センターから1kmほど登ったところに善五郎の滝への遊歩道入口があります。遊歩道案内板には「熊出没注意!!」の張り紙がかなり目立っています。
遊歩道にはたくさんのミズナラの木 | どんぐりが実ってきた − クマの大好物 |
善五郎の滝までの約400メートルほどの遊歩道周辺は、ミズナラが数多く分布しています。ミズナラも秋の紅葉には欠かせない広葉樹です。ミズナラの枝先をよく見るとご覧のように実ができ始めている様子が伺えます。
どんぐりはクヌギ・カシ・ナラ・カシワなどの果実の総称で、もちろんミズナラの実もどんぐりの一員です。秋になって、冬眠に備えたツキノワグマが求めにやってくるのが このどんぐり。そのため、遊歩道付近への熊の出没に注意が必要というわけです。
現時点では、善五郎の滝ではなく、三本滝周辺での熊出没情報を耳にすることが多いものの、いずれにしても、これからの時期はクマ鈴を携行しての行動が必要でしょう。
休暇村付近 − シラカバ |
休暇村からさらに進む沿道にはシラカバの木々が紅葉シーズンに向けて少しずつ色づきを見せ始めています。
東大ヒュッテ口バス停付近(標高1670メートル) − ダケカンバとシラカバが混在 |
標高の低いところにから高いところに向けて、広葉樹→針葉樹→森林限界→高山植物と植生が標高によって異なる現象はノリクラに限らず、様々な山で見られる現象です(垂直分布)。
そして、同じ仲間の木であっても標高によって異なるものとして、山麓に自生するシラカバと亜高山帯に分布するダケカンバがあります。ちょうどこの付近はシラカバとダケカンバの境界線部分で、右の画像のとおり、標高1670メートルの東大ヒュッテ口バス停付近では、ダケカンバとシラカバが混在しています。
ダケカンバ − 表皮がはがれる | ダケカンバ − 表皮がはがれません |
ダケカンバとシラカバはご覧のように幹の様子が異なります。ダケカンバは少し色が付いていて、表面の薄皮がはがれていますが、シラカバは真っ白で、ダケカンバのように薄皮がはがれるようなことはありません。
どちらも秋には綺麗な紅葉を見せる木々ですが、そんな違いを感じながら観察するのも楽しいものですね。
ノコンギク | 淡い紫色が目立つ |
少しばかり淡い青紫色の花びらはノコンギク(野紺菊、キク科シオン属)。秋の野菊はそろそろ見頃を迎える時期です。右の画像の左上に白色のゴマナの花がありますが、その花の色合いの違いは一目瞭然でしょう。(→ Next)
■ご注意■
今回の大雪渓関連の記事はノリクラ初心者の方を対象にしておりません。ノリクラデビューをお考えの方は来年の夏シーズンをご検討ください。
これからの時期は天候の急変により降雪・凍結などで冬山の様相を呈します。今後、大雪渓に新雪が降った場合でも、急斜面とアイスバーンが残っていて、この時期にノリクラの雪渓で滑走されたことのない方や、ソフトブートのボードの方は絶対にお越しにならないようお願いいたします。
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