ノリクラ 雪渓カレンダー
プレリリース版 Vol.2(2013/03/30) C
【位ヶ原】
位ヶ原 | 「こんなにいい景色があるなんて...」 |
ツアーコースを登りきった先の位ヶ原。標高約2500メートルの台地は、森林限界を超えるため、ツアーコースとは異なり、目印となる木々が極端に乏しくなってきます。
「こんなにいい景色があるなんて思いもよらなかったですよ〜」、初めて春のノリクラにお越しになったこちらの方。バックカントリースキーも今年からはじめられたとのことで、「天気はいいんですが、下山時間のことも考えて、今日はこのあたりまでにしてきますよ!」
時刻は正午を過ぎたあたり...天候は安定していて、もう少し登ってもいいかなぁ〜と思わせる状況ですが、やはり、お昼を回ったら下山モードに移行しなければいけませんね。
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「肩の小屋はまだ先なんでしょうか?」 | 【拡大】 肩の小屋(赤枠部分) |
夏のノリクラには登山でよくお越しになっているとのことで、「肩の小屋はまだ先なんでしょうか?」と、カメラを構えます。位ヶ原まで到達すれば、今日のように天気が良くて視界が効く状態なら、すぐに見つけられるはずです。(赤枠部分)
でも、近そうに見えても到達するには、まだ1時間ほどは登る必要があります。ツアーコース内と比べると、スケール感の広がりに驚くことでしょう。
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先週の位ヶ原 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2013/03/23) C |
今週の位ヶ原 先週より5センチ減少 |
位ヶ原の積雪量は先週と比べて5センチほど減少しています。昨年は悪天候のため、ツアーコースよりも上部エリアにアクセスすることが困難な状況でしたので比較できませんが、おそらく昨年とほぼ同じ状態と考えられます。
ツアーコース内と異なり、この先も4月下旬くらいまでは積雪量が増加することが考えられます。
初めてのノリクラ 「今日の風は強いほうですか?」 |
いやいや〜 厳冬期とは比べ物にならないほど穏やかです |
正午の位ヶ原の気温は0℃。時折、強めの風が吹き抜けることがありますが、そよ風に近いといってもよい状態です。こちらのお二人も始めてノリクラにお越しになったとのこと...向かい風を歩く中、時折、突風が襲い掛かるタイミングがあり、「今日の風は強いほうですか?」
いやいや〜、厳冬期とは比べ物にならないほど、穏やかな吹き方ですよ。
真冬と比べると、温度感も風の強さ(風速)も穏やかです。厳冬期の風は肌に突き刺すような激しい痛みがあって、まるで別物なんです。
ツアーコースの状況については、ノリクラガイドマップ 冬〜春スキー版 でお伝えしておりますが、それよりも上部については、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版 をご覧ください。
位ヶ原 − スケールの大きな世界が広がる |
位ヶ原はほとんど斜度のない平原です。スケールの大きな世界が広がる中、さらに上部のエリアへと向かうスキーヤー・ボーダーの姿もあります。(赤枠、青枠)
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摩利支天岳 − アイゼン必要 | 【拡大】 摩利支天岳(東部分) − 滑走エリア |
こちらは青枠部分。摩利支天岳の東部分で、画像でもたくさんの方が登っている様子がわかります。ここを登りきった稜線の向こう側には富士見岳からの稜線があります。
厳冬期を含め春山シーズンでも、この付近はいつでも行くことができるエリアではなく、常連の方でも天候条件の悪いときは断念するケースが多いようです。
摩利支天岳を含む位ヶ原より上部は、天候不良によりホワイトアウトとなった場合、方角が全く把握できない状態となります。さらにこれからの時期は、霧が発生しやすくなりますので、事前に天候状況を把握した上で行動しなければなりません。
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剣ヶ峰方面 − アイゼン必要 | 【拡大】 稜線からは幾つものシュプールが... |
そして、やはりこれからの時期は乗鞍岳主峰の剣ヶ峰を目指す方も多く見られます。左から剣ヶ峰(けんがみね、標高3026メートル)、蚕玉岳(こだまだけ、標高2979メートル)、朝日岳(あさひだけ、標高2975メートル)と、3つのピークが連なります。右の画像では稜線からのシュプールが幾つも見られます。稜線付近はまだ雪質が硬く、アイゼンが必要な世界が続いています。
前述の摩利支天岳と同様に、いつでも行くことができるエリアではなく、ゴールデンウィーク以降にならないと難しいかもしれません。
また、5〜6月の春スキーの時期は、大雪渓エリアから稜線に向かって直登しても問題ありませんが、前述のように雪質が硬いため、肩の小屋方面からアクセスしたほうが安全でしょう。また、前述のとおり、ホワイトアウトに細心の注意の元で行動しなければなりません。
【大雪渓下部】
ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。
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先週の大雪渓入口 |
今週の大雪渓入口 先週より5センチ増加 |
こちらは大雪渓入口付近。先週よりも積雪が5センチ程度増加していることがわかります。標高2500メートル付近の位ヶ原、及び、標高2000〜2500メートルのツアーコースの積雪が減少傾向を示している中で、標高2600メートルの大雪渓入口付近では逆の現象を見せています。
今後、4月下旬ごろまでさらに積雪量が増えることが予測されます。
トイレ小屋(冬季閉鎖中) − 利用可能は5月下旬以降 |
大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。この時期はどちらの小屋も閉鎖されていて使用できません。利用できるようになるのは、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬以降です。
トイレ小屋周辺は小休止のスポット |
トイレとしては利用できなくても、トイレ小屋や避難小屋周辺は、厳冬期でもここを風除けにして小休憩される方々の姿があります。
気温0℃、快晴無風 − 穏やかな昼下がり、のんびりとランチタイム |
14時の大雪渓の気温は0℃。快晴無風の状態が続いています。穏やかな昼下がりの中、のんびりとランチタイムを楽しむ様子があります。おそらく、これほど穏やかな日は1ヶ月のうちに何日もありません。それ以外の日は強風と寒さで、ザックからわざわざストーブ出してお湯を沸かそうなんて気分すら起こらず、早く下山したいという焦る気持ちばかりが募るものです。
締まった雪質 | 適度に滑りやすい |
日中になってもほとんど緩まないため、締まった雪質が広がっています。しかし、再氷結による硬さとは異なっていて、ある意味滑りやすいとも言えますし、滑りにくいともいえる状況です。
「今日は位ヶ原山荘に宿泊します」 | 下山時間を心配せずに山スキーを楽しむ |
「今日は位ヶ原山荘に宿泊することになっていますから、夕方になっても下山のことを心配することなく、山スキーを楽しむことができます。」と、終日続く快晴の一日を十二分に楽しみます。
終日快晴の一日が続きました |
これからのシーズンは日が長くなって行くので、フィールドでの滞在時間も余裕が出てきます。しかし、下山のツアーコースは日中に緩んだ表面が再氷結して、とても滑られる状態にはならなくなってきます。いわゆる「パック」とか「クラスト」と、呼ばれるもので、ツアーコースを安全に下山滑走するには、正午過ぎには下山開始されることをオススメします。
<編集後記>
「快晴無風の位ヶ原で − 『乗鞍岳ってどれですか?』...」
このサブタイトル「・・・『乗鞍岳ってどれですか?』・・・」を見て、何も感じない方はちょっと「キケン」かもしれない...です。(笑)
今回、位ヶ原で出合った方々の中で、こんなことをおっしゃった方がいらっしゃいました。
「いや〜、先行する人のあとをついていったら、肩の小屋には全然たどり着けなくて...その後、稜線付近まで行って聞いてみたら、ここは摩利支天岳で肩の小屋は全然違う方向だっていうから、今日は参りました...」
おそらく、摩利支天岳か富士見岳を目指したスキーヤーのあとを追って行ったものだと思われますが、今回は終日快晴で、位ヶ原からは肩の小屋がはっきりと確認できる状態でしたから、間違いようがないはずです。
しかし、さらにお話をお聞きしているうちに、「ところで、乗鞍岳の山頂ってどれですか?」と、おっしゃります。この質問には度肝を抜かれました!!(爆)
一般の観光客の方から同様の質問を受けることはよくあることですが、銀世界一色の冬山シーズンで位ヶ原までやってきて、目の前にある剣ヶ峰(乗鞍岳山頂)がわからないということは、ノリクラの位置的な概要を事前に把握せずに入山しているわけです。また、行動中も地図などで現在位置を確認することをせず、基本的に重大な問題があるといえるでしょう。
アイゼンを履いてそれなりの装備されていたので、入念な準備のもとでお越しになったものだとお見受けいたしましたが、「こんなに天気のよいときに迷うということは、天気が悪かったら確実に遭難しているということですよ!!」と、声を荒げて申し上げてしまいました。
これまでにも、何も装備を持たずに入山されるケースがあり、WebSiteでも注意喚起を行ってきました。しかし、最近は装備云々とは別に、危機意識の薄い「危なっかしい行動」が気になります。
「帰られなくなったらどうしよう...」という点に常に振り返ってみて、危機管理意識を持った行動・状況把握が必要です。迷子になっても位ヶ原には「交番」はありませんから...
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