ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.4(2013/06/01〜02) @
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今年の梅雨入りは全国的に早く、乗鞍一帯が属する東海地方は5月28日(火)、関東甲信地方は5月29日(水)に梅雨入りしてしまいました。そのため、梅雨入り発表以降はぐずついた天候が続きましたが、今回取材の6月最初の週末は梅雨の中休みの状態となり、一時的に青空も見られる状態で、まずまずの週末を送ることができました。
取材一日目の6月1日(土)は、まずまずの青空の広がる朝を迎えます。そして、今日から乗鞍岳春山バスは大雪渓まで延長運行されました。大雪渓駐車場から位ヶ原周辺では夜間凍結が心配されたものの、それほど広範囲に凍結する箇所がなく、始発便から予定通りの運行となりました。天候は春山バスが大雪渓に到着した8時すぎから徐々に雲が多くなってきました。それでも、大雪渓に到着するとやって来たスキーヤーの方々が一斉に稜線に向けて出発する様子が見られ、まさにこの時期ならではの賑やかな光景が見られました。日中は日差しがなく、涼しい風が絶えず吹き抜ける状態で、非常に過ごしやすいコンディション。しかし、午後からは周期的に濃霧が立ち込めて、視界が妨げられるほどの状態でしたが、雨に見舞われることなく、穏やかに一日を送ることができました。
取材二日目の6月2日(日)は、曇り空の朝を迎えます。ほおのき平駐車場から望む猫岳方面は周期的に霧がかかるものの、まずまずの天候で、時折薄日が差します。しかし、大雪渓方面に向かうと周期的に山麓から濃霧がわきあがって視界が奪われるときもあり、お昼近くになると、冷たい風が吹き始め上空からパラっと雨粒が落ちてくるのを感じます。そして、午後になると、濃霧に覆われている時間帯のほうが長くなり、15時の畳平では路面が濡れる程度まで雨に見舞われることもありました。しかし、一日を通して見ると、日差しがなくて過ごしやすい状況だったといえます。
大雪渓・稜線付近の積雪量は、全体的に昨年・例年より少なく、2週間程度雪解けが早い状態です。また、先週よりも雪解けスピードが速まっている傾向が見られます。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
【6月1日(土)、観光センター前駐車場】
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観光センター前駐車場 |
早朝の観光センター前駐車場はきれいな日の出を迎えました。上空には雲がたなびき、その雲間にノリクラの峰々が見え隠れしています。
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早朝4時35分、日の出直後 − モルゲンロートに輝く(左画像:剣ヶ峰、右画像:摩利支天岳、富士見岳) |
時刻は4時35分、松本の日の出時刻が4時32分ですから、日の出直後の様子です。
雲間から顔を出したノリクラはご覧のように赤々としたモルゲンロートに輝きます。右の画像の富士見岳方面を望むと、横一直線に富士見沢を除雪が貫通している様子もわかります。
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富士見沢の除雪状況 − 切り通しは高さ2m、滑走不可 |
こちらは翌日に現地に訪れたときの富士見沢の除雪の様子を撮影したもの。除雪の切り通しは高いところで2メートルもの壁になっています。これまで、最上端から位ヶ原山荘まで一気に滑り降りることができ、特に厳冬期などはバックカントリースキーヤーのメッカといっても良いほどの人気のバーンでした。
除雪は5月31日(金)に入りましたが、この状態になると、切り通し箇所への転落の危険性があり、また、安全に滑り降りてきたとしても、切り通し箇所が垂直の壁になっていて、道路部分へ降りることができません。そのため、除雪が入ると上部からの滑走は不可能だと認識してください。
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綺麗な青空 | 出発の準備 |
そして、6時を回る頃になると、上空の雲も次第になくなってきれいな青空が広がってきます。気温は8℃。暑くもなく寒くもないといったコンディションでしょうか?そして、観光センター駐車場では、乗鞍岳春山バスに乗車されるスキーヤー・ボーダーの方々があちこちで出発の準備を開始される様子があります。
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残雪模様と新緑の美しさ |
ノリクラの峰々も雪解けが進んで、白い残雪の中に緑の模様が浮かび上がるようになってきます。また、山麓の乗鞍高原でも緑が日に日に鮮やかになり、色彩が少しずつ増えていることに気付かされます。
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レンゲツツジは開花直前 |
良く見ると、増えてきたのは緑色ばかりではありません。こちらはレンゲツツジ。もう少し標高の低い中平や番所周辺では、すでに満開状態ですが、観光センター付近でもご覧のようなつぼみが赤くなってきました
先週はつぼみはまだ硬く、ほとんど赤くなっていませんでした。どんどん様子が変わって行くこの時期は、自然の移り変わりを見落とすことができない季節ともいえます。
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夏のシャトルバス乗車場所 | 春山バスは路線バス停留所から |
乗鞍高原に訪れる観光客の方の中には、乗鞍岳春山バスを夏のシャトルバスと同じものと、思い込んでお越しになる方が結構いらっしゃるようです。乗鞍岳春山バスの運行ダイヤなどについては、お知らせ − 2013シーズン 乗鞍高原〜位ヶ原山荘(大雪渓)の春山バス運行について(1日3→4便へ増便) をご覧ください。
いくつかある違いの一つに観光センターでの乗車場所があります。夏のシャトルバスでは、左の画像の観光センター前駐車場内に専用乗車場所が設けられますが、乗鞍岳春山バスは、通常の路線バスの停留所からの発着となります。そのため、観光センターの南側の停留所にお越しください。
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係員より乗車券を購入 − 往復券を! |
また、乗車券の販売もシャトルバスの場合は観光センター内の窓口にて行われます。乗鞍岳春山バスは、ご覧の通り係員が個々に販売いたします。また、ツアーコースでの下山滑走は5月中下旬でできなくなりましたので、下山も春山バスを利用することとなります。往復券を購入してください。
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春山バスは6月末まで1日4便運行 |
乗鞍岳春山バスは6月末まで、1日4便が毎日運行されます。ただし、6月23日(日)は乗鞍天空マラソンが開催されるため、終日運休となります(4便ともすべて運休)。なお、岐阜県側の乗鞍スカイラインシャトルバスはこの日も通常運行されるため、大雪渓・山頂方面にお越しの方は、岐阜県側より入山されるようお願いいたします。
そして、春山バスは、今日から大雪渓・肩の小屋口バス停(大雪渓駐車場)まで延長運行されます。
【乗鞍岳春山バス、大雪渓延長運行開始】
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三本滝レストハウス前駐車場 |
さて、観光センターを後にして、こちらは7kmほど進んだ三本滝レストハウス前駐車場。ツアーコースでの下山滑走が可能だった6月中下旬までは、ここまで降りることが可能だったため、観光センター前駐車場よりも、こちらのほうがメインの駐車場となっていました。
乗鞍岳春山バスの運行ダイヤなどについては、お知らせ − 2013シーズン 乗鞍高原〜位ヶ原山荘(大雪渓)の春山バス運行について(1日3→4便へ増便) をご覧ください。
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観光センター前駐車場がメインとなり、訪れる方はやや少なめ |
しかし、ツアーコースでの下山滑走ができなくなり、春山バスで下山するようになると、往復運賃が観光センターも三本滝も同一であることもあり、今後は観光センター前駐車場の方がメインになってきます。そのため、今日の三本滝レストハウス前駐車場は、若干閑散とした雰囲気です。
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三本滝ゲート − この先冬季閉鎖、マイカー規制 |
こちらが三本滝ゲート。三本滝レストハウス前駐車場から撮影したところです。ご覧のとおりゲートが閉鎖されていて、この先は6月末まで冬季閉鎖です。また、7月以降はゲートが開けられますが、マイカー規制が行われます。そのため、ゲートには警備員による通行車両のチェックがなされ、バス・タクシーや自転車のみが通行可能です。
マイカーは撮影地点手前にある三本滝レストハウス前駐車場に駐車(Uターン)することとなります。なお、春山バスは冬季閉鎖中でも特別に通行が許可されていて、通行時にバス係員がゲートの操作を行います。
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雪解けが進む |
三本滝ゲートの先もかなり雪解けが進んで、ほとんど積雪がなくなってきました。
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冷泉小屋付近 | ウラジロナナカマドの新緑 |
こちらは標高2230メートルの冷泉小屋。三本滝ゲートを通過してから、ほとんど積雪のない状態となってしまいましたが、この付近からようやく沿道の積雪が見られるようになってきます。山麓の乗鞍高原は新緑の季節を迎えていますが、芽吹きの少なく、部分的にちらほら新芽が輝く様子が見られる程度です。
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位ヶ原山荘 − 春山バスは今日からこの先へ |
さらに進んで、標高2350メートルの位ヶ原山荘。昨日まではここが春山バスの終点でしたが、今日からはここから3km先の大雪渓・肩の小屋口バス停(大雪渓駐車場)まで延長運行されます。
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屋根板 −位ヶ原山荘までの下山滑走は6月中下旬まで | 本格的な雪景色 |
位ヶ原山荘周辺はこれまでの風景とは一変します。残雪というよりも本格的な雪景色が続いています。これだけの積雪がありますので、山頂方面から位ヶ原山荘まで下山滑走することができます。
実際、昨日までは位ヶ原山荘までしか春山バスが運行されませんでしたので、ここから歩いて山頂方面に向かい、下山も位ヶ原山荘まで滑走しなければなりませんでした。左の画像には下山滑走する屋根板付近の様子が映っています。例年6月中旬〜下旬まで滑走可能で、春山バスが大雪渓まで延長運行されたあとでも、帰りは位ヶ原山荘まで下山滑走し、下り便のバスの発車時間を待ちながら、山荘で一休みされるスキーヤー・ボーダーの方々がたくさんいらっしゃいます。
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位ヶ原一帯は雪の壁に閉ざされる |
位ヶ原山荘からさらに進むと、周辺はご覧のように雪の壁に閉ざされてはじめます。
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広がる雪景色 | 路面凍結 − 状況次第で位ヶ原山荘止まりの場合もあり |
雪景色を実際に体験できるのは、バックカントリースキーヤーか登山者だけの世界でしたが、春山バスが大雪渓まで延長運行されると、車窓にはいやというほどご覧のような景色が流れて行きます。
そして、右の画像のように路面は一部凍結箇所があります。今回は凍結箇所が広範囲でなかったため、問題なく通行できましたが、凍結がひどい場合は、位ヶ原山荘までの運行となります。画像ではそれほどひどい凍結ではないように見られますが、スタッドレスタイヤでも空転してしまう状態でした。
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最も深い雪の壁は高さ6〜8m(大雪渓下、4号カーブ) |
位ヶ原〜大雪渓の区間は大半が雪の壁に閉ざされていて、雪の回廊の中からは周囲の景色が見られないほどの状態が続きます。そして、こちらは最も雪の壁が高い4号カーブ。現在、6〜8メートルの高さを誇っています。
4号カーブや大雪渓駐車場の位置など、県道乗鞍岳線カーブ番号は、ノリクラガイドマップ 県道乗鞍岳線カーブ番号版 をご覧ください。なお、肩の小屋より稜線方面の状況については、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 大雪渓・山頂版 をご覧下さい。
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除雪作業中の4号カーブ(2013/05/24) ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2013/05/24〜26) A |
こちらはちょうど1週間前の4号カーブ。まだ、除雪の真っ最中で、雪の回廊の底に隠れてしまったロータリー車からは激しく雪を巻き上げる様子が見られます。雪の壁が高すぎて、ロータリーから噴出する雪が壁の上まで届かないこともあるほどです。
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この先、大雪渓へ |
急ピッチで進められた除雪作業のおかげで、春山バスは本日より大雪渓まで延長運行が可能となりました。そして、4号カーブを過ぎると大雪渓・肩の小屋口バス停(大雪渓駐車場)まで間もなくです。(→ Next)
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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