ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.10(2013/07/13〜14) @
今回は海の日を含めた三連休という方も多かったのではないでしょうか?
三連休にあわせるように1週間ほど前に梅雨が明けてくれたものの、この週末はまるで梅雨に逆戻りしたような悪天候に見舞われてしまいました。
取材一日目の7月13日(土)は、梅雨明け後から続いていた晴天が嘘のように消え去って、小雨の降りだす朝を迎えます。そして、大雪渓付近は強風濃霧に見舞われ、周期的に雨の降る状況で、梅雨明け前の先週の状況とほとんど変わりありません。そのため、避難小屋は絶えず満員電車のような混雑振り。また、長野県道乗鞍岳線の大雪渓〜畳平の通行止めが相変わらず続いているため、乗鞍高原からのシャトルバスを利用した登山者は積雪のある大雪渓からの入山となり、登り早くても下りで四苦八苦される状況でした。
畳平の天候は大雪渓よりもさらに厳しく、立っていられないほどの強風です。午後になっても天候は一向に変化を見せず、天候に恵まれない一日でした。
取材二日目の7月14日(日)も、昨日と同様の状況。大雪渓付近はほぼ終日濃霧で、周期的に雨に見舞われました。三連休中日とあって、人出は昨日よりも多く、シャトルバスの到着する大雪渓・肩の小屋口バス停は登山客や観光客でかなりの賑わいとなりました。ただ、畳平のような施設はないため、昨日と同じく避難小屋は常に満室状態で、大雪渓からの登山道は雪に覆われていて、登りも下りもかなり苦労される様子がありました。お昼近くになるとほとんど雨も止んで、路面も乾き始めましたので、このまま天候が回復すると思ったものの、午後から再び雨で、夕方には土砂降りとなって、生憎の天候で一日が終わりました。
大雪渓の積雪量は、入口付近では昨年よりもやや多く、雪解けは1週間ほど遅い状態、上部は昨年並みかやや少ない状況です。また、剣ヶ峰(乗鞍岳山頂)へ向かう登山道については、稜線付近に残っていた残雪もなくなり、畳平から山頂へのルートではアイゼンは必要ありません。しかし、長野県側のシャトルバスは当面の間、大雪渓・肩の小屋口までの運行で、バスを降りてから肩の小屋までの登山道はルートの半分程度は積雪があるため、やはりアイゼンが必要です。
【7月13日(土)、観光センター前駐車場】
観光センター前駐車場 |
こちらは早朝5時の観光センター前駐車場。
天候は曇 | 三連休初日、人出はやや少なめ |
この週末は海の日を含めて三連休という方も多いのではないでしょうか?また、梅雨明けして最初の週末でもありますが、ご覧の通りの曇り空。気温は16℃で、この時期のこの時間帯の気温としては平均的で、寒くもなく暑くもない状態です。
観光センター前駐車場にお越しのマイカーは40台ほど。気温と同様、駐車台数も夏の週末の朝のとしては平年並みか、やや少ない状況です。三連休の人出は、初日はいつもやや少なめで、二日目の中日にピークを迎える傾向を見せています。
小雨が降り始める − 今日は梅雨に逆戻りの天候 |
梅雨明け後は連日青空が見られましたが、今日は梅雨に逆戻りのような天候の一日となります。6時過ぎから雨が降り始めてしまいました。
シャトルバスは大雪渓・肩の小屋口までの運行が続く |
すでにご案内している通り、長野県道乗鞍岳線の大雪渓〜県境(畳平)が道路上部の積雪が多いため、落石が防護フェンスを乗り越えて道路に落下する危険性があり、冬季閉鎖が継続されています(通行止め)。そのため、乗鞍高原から出発するシャトルバスは、大雪渓・肩の小屋口バス停までの折り返し運行となっていて、特別ダイヤで対応されています。
【7月2日から当面の間の観光センター〜大雪渓・肩の小屋口までのシャトルバス運行ダイヤ】
<上り> 観光センター前 → 大雪渓・肩の小屋口 (7月2日から当面の間) |
|
6:10 7:00
8:00 9:00 |
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<下り> 大雪渓・肩の小屋口 → 観光センター前 (7月2日から当面の間) |
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7:14 8:09
9:09 |
全面開通されるまでの間の、大雪渓・肩の小屋口までの折返し運転は、上記の特別ダイヤで実施されます。通常ダイヤとの相違を明確にするため、運行されない便を取り消し線で示しています。
始発便を待つ − 突然の雨にレインウェアを着る |
6時10分の始発便を待つ方々も、突然の雨降りにあわててレインウェアを着込む様子が見られました。今日のような雨が降ったり止んだりと微妙な天候の場合は、レインウェアのパンツ(ズボン)だけははじめから着用されることをオススメします。
レインウェアのパンツだけ着用していれば、突然の雨降りでも、上はすぐに着ることができます。パンツをあらかじめ着用しておく理由は、登山靴など大きめの靴を履いていて、さらに足場の悪いところでは、結構手間取るからです。
いつものようにシャトルバス始発便が到着。
今日の始発便は2台運行 |
今日の始発便は2台運行。これから本格的な夏山シーズンを迎えシャトルバス利用者が増加しますが、利用人数によって運行台数を調整します。ただし、お越しになった人数が多くなっても、運行ダイヤを増やすことはありません。
シャトルバスが通行する県道乗鞍岳線は、多くの場所で大型車両が対向できない狭小路線のため、運行ダイヤから大きくずれると、上り車両と下り車両の対向ができなくなってしまうからです。
タクシーも朝一番から待機 | タクシーも大雪渓まで − 畳平までいけないと困る! |
この天候にタクシーの運転手さんも困った様子。「この雨で人出は少ないし、道路は途中までしかいけないし、困ったものです...」
タクシーの運転手さんの多くは、道中の景色や高山植物などの案内も行います。そのため、長野県側の県道乗鞍岳線(エコーライン)だけでなく、岐阜県側の乗鞍スカイラインまで足を伸ばして案内することも、要望に応じて行っています。
そのため、途中までしか通行できないと説明できる場面も限られ、お客様を畳平に案内することもできません。現に畳平のお花畑は高山植物が見頃を迎えていて、県道乗鞍岳線の大雪渓〜県境(畳平)の通行止めがこれ以上長引けば、畳平のお花畑のピークを逃してしまいます。
県道乗鞍岳線は観光道路ですから、今回のような事態は少なくとも夏の三連休に間に合わせるように対策を取るべきだったでしょう。
不安定な雲の動き − 先の天候が読めません |
このあとも、天候回復の見込みがない状況が続きます。
【観光センターから大雪渓へ、沿道の風景 T】
ここからは大雪渓までの沿道の様子をお伝えします。
ヤマオダマキ |
膝ぐらいの高さに、ご覧のように変わった形の花が無数に咲いています。
こちらはヤマオダマキ(山苧環、キンポウゲ科
オダマキ属)。苧環(おだまき−紡いだ麻糸を管状の巻き上げたもの)に、形状が似ているところからこのように呼ばれています。
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つぼみの状態から特徴的な形 | 内側に花が咲く − 特徴的な形は花ではなく萼 |
特徴的な形状の部分は、花ではなく萼(がく)です。萼はつぼみの段階では花全体を包む外皮のような役割をしています。左の画像のつぼみの段階で特徴的な形状をあらわしていますから、萼であることがわかります。もし、これが花弁であれば、花が咲いてから出現するはずです。実際の花は右側の画像のようにその内側あることが確認できます。
器官の一部が管状になったものを「距(きょ)」と呼びますが、ヤマオダマキは、萼片にそれぞれ長い管状の距があり、特徴的な形状を見せてくれます。
マタタビ − 花期を迎えると白くなる |
葉が所々で白化している木を目にすることができます。こちらはマタタビ(木天寥、マタタビ科マタタビ属)。「猫にマタタビ」で有名な植物です。特有な臭気が猫を恍惚とさせることで知られています。
最初から白いわけではなく、花期を迎えるようになると葉が白くなるといわれています。
ノイバラ |
こちらはちょうど目線くらいの高さ。シャトルバスの車窓から少し見下ろした感じになるでしょうか?ノイバラ(野茨、バラ科バラ属)、高山植物でも山野草でもありませんので、県道乗鞍岳線では、乗鞍高原から休暇村付近までの比較的標高の低い場所で見られます。
一般的に、非常にポピュラーな植物ですので日本各地で見られ、身近な植物といえるでしょう。
ノイバラは2万種にも及ぶバラの原種 |
ノバラ(野薔薇)を代表するノイバラ(野茨)。「茨(イバラ)」は棘のある木の総称で、バラの古い読み方ともされています。
園芸店や街のお花屋さんで見られるバラは色々な種類があり、2万種にも及んでいるとのこと。そのほとんどが園芸用に改良された品種ですが、品種改良に用いられるための原種は、わずか8種類に限定され、その一つがノイバラで、バラの品種改良には欠かせない野生品種です。
さらに進んで三本滝ゲートへと向かいます。(→ Next)
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