ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.10(2013/07/13〜14) B
【大雪渓に到着】
気温12℃、濃霧小雨 |
10時前の大雪渓の気温は12℃、風は差ほどではありませんが、濃霧と小雨が続いています。
手が悴む寒さ − レインウェアを着る | 次の下り便まで避難小屋で |
シャトルバスを降りて、レインウェアを着る間も、じーっとしていると手が悴むほどの冷たさ。松本の市街地は連日30℃を越える真夏日や猛暑日が続く中、同じ松本市内とは思えない状況です。
観光センターを9時に発車したシャトルバスは2台され、大雪渓・肩の小屋口には10時前に到着しました。そして、通常ならば10時09分に大雪渓・肩の小屋口を下り便がすぐ出発しますが、当面の間は特別ダイヤになっていて、10時09分発便がありません。そのため、観光客の方は11時09分便まで1時間以上も待たなくてはなりません。
避難小屋はすし詰め状態 |
そのため、雨宿りをする登山客・スキーヤーに加えて、次の下り便を待つ一般の観光客の方も一緒になって、大雪渓の避難小屋でシャトルバス下り便を待つことになります。そのため、避難小屋はすし詰め状態となってしまいました。
登山道入口 − 肩の小屋、山頂方面へ |
さて、話はかわって、シャトルバスを降りたら、車道を約50メートルほど進んだところに肩の小屋への登山道入口があります。剣ヶ峰登山はここからスタートしますが、登山道は途中までまだ雪に閉ざされています。登山道の積雪状況は、このあとの【雪渓下部 T】にてお伝えします。
先ほどのタクシーの方々も到着 | 高山植物 − 花の時期以外でもわかるようになりたい |
こちらは先ほどタクシーの運転手さんに高山植物の案内をお聞きになっていた方々です。「今日のタクシーは本当に盛りだくさんでした。覚えきれないほどの高山植物を案内してもらいました。これからもっと勉強して、高山植物も花の時期だけじゃなく、新芽や実ができた頃の状態からでも、どの種類かわかるようになりたいですね。」
再びタクシーで下山 | 運転手さんも日々勉強−わからない高山植物はすぐに図鑑で |
そして、「今度は秋の紅葉の時期にもう一度訪れたいと思います。」と、おっしゃって再びタクシーに乗り込んで下山されて行きました。また、乗客の方が散策に出かけている間も、タクシーの運転手さんは、「さっき、知らない高山植物を見つけたもので...」と、図鑑をめくっていらっしゃいました。(日々勉強ですね...)
ヒルクライムもここがゴール(この先通行止め) |
先ほどのタクシーもこちらの自転車の方々も、通行できるのは大雪渓の駐車場まで。ここでメンバーが揃うのを待ちます。
止まるとすぐに寒くなる... | 急いで下山します! |
走っている間は雨に濡れても体温を保つことができますが、自転車から降りると一気に冷え込んできます。急いでウインドブレーカーなどを着込みます。
9月(※)の全日本マウンテンサイクリングin乗鞍に参加する方に誘われて、今日のヒルクライムにお越しになったとのこと。「天気予報では曇になっていたのに...」と、予想外の状況に寒さで体が震えます。「この天気なら、畳平までいけなくても、もう十分です!」と、足早に下山されて行きました。
山麓の乗鞍高原では青空が広がって燦々と日差しが差し込む状況でも、大雪渓付近だけは濃霧と雨に見舞われることはよくあることで、乗鞍高原から見て山頂付近がすっぽりと雲に包まれているときは、概ねこんな状況であると推測して下さい。
※ 全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の開催日は、これまで8月最終日曜日でしたが、今年から9月第一日曜日に変更となりました。
ここから通行止め(大雪渓駐車場先) |
大雪渓から先はご覧のように物理的に通行ができない状況になっています。
畳平に向かう予定の観光バス −
通行止めとは知らずに... =大型車両は中央の駐車場で転回= |
バス乗務員 −
こんなに寒いとは... =大雪渓・畳平にお越しのときは真夏でも防寒着を= |
畳平まで向かう予定だったこちらの観光バス。ここにきて初めて通行止めであることを知ったようです。全長12メートルもある大型バスですから、乗用車のように路上で方向転換することはできず、シャトルバスが転回する中央の駐車場で方向転換します。ご覧の場所よりさらに上にも駐車場がありますが、他のバスや許可車両がすでに駐車していて方向転換できません。一旦バックして、こちらで方向転換です。
バスから降りてきた乗務員の方は半袖。車外の気温12℃、かなり寒そうな様子ですね。確かに市街地は30℃を越える状況ですから、半袖姿はムリもありませんが...
しかし、どんなに暑いときでも、大雪渓や畳平にお越しの場合は防寒着をお持ち下さい。
【雪渓下部 T】
それではここから雪渓下部の様子をお伝えします。
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昨年の大雪渓入口 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2012/07/14〜15) A |
今週の大雪渓入口 昨年より1週間遅い雪解け |
例年なら、左の画像のように途中に岩場が現れてきますが、今年はまだその様子はありません。昨年よりも1週間ほど雪解けが遅い状況です。
昨年の大雪渓入口 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2012/07/14〜15) A ↓ |
先週の大雪渓入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2013/07/05〜06) A ↓ |
今週の大雪渓入口 昨年より1週間遅い雪解け |
雪渓下端から車道までの距離は7メートルで先週よりも4メートル長くなっています。昨年は13メートルになっていて、昨年と比べて、1週間遅い雪解けを見せています。
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先週の大雪渓入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2013/07/05〜06) A |
今週の大雪渓入口 この1週間の雪解けはあまり進んでいない |
梅雨明けから1週間が経過します。梅雨明けと同時に乗鞍高原ではよい天気が続いたものの、大雪渓付近は天候は芳しくなかった模様で、この1週間の雪解けも目立って多い状態ではありませんでした。
スキーヤー専用道 | ウラジロナナカマド芽吹き − 昨年よりもやや遅め |
雪渓上部に向かうスキーヤー専用道沿いのウラジロナナカマド。新芽が青々としています。中心部分にはつぼみも見られます。昨年よりもやや早い状況ですが、例年よりも遅めの推移です。
昨年の登山道入口 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2012/07/14〜15) A ↓ |
先週の登山道入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2013/07/05〜06) A ↓ |
今週の登山道入口 昨年並み雪解け |
大雪渓入口から北へ50メートルほどの所に肩の小屋への登山道入口があります。先週は昨年よりもやや早い雪解けを示しましたが、今週は再び昨年とほぼ同じ状況に落ち着いています。
【大雪渓→肩の小屋→山頂登山道のルート地図、各ルートのおおむねの残雪期間】
大雪渓→肩の小屋→山頂登山道(ピンク色) ★大雪渓〜肩の小屋間は一部積雪★ ★大雪渓→畳平へは通行不可★ |
こちらは大雪渓から肩の小屋を経由して山頂方面に向かうルートです。大雪渓から肩の小屋までの区間では入口から中間部分までの下半分で積雪がありますが、先週まで残っていた稜線付近の積雪はなくなりました。
【大雪渓から肩の小屋への登山道の積雪状況(7月14日現在)】
2013/06/29 |
2013/07/14 大雪渓→肩の小屋 登山道入口(積雪) <7月中〜下旬まで積雪あり、アイゼン携行> |
2013/07/14 大雪渓→肩の小屋 登山道(登りより下りが危険) <7月中〜下旬まで積雪あり、アイゼン携行> |
今回は悪天候のため、上部からの撮影することができませんでしたので、上段の画像は2週間前の6月月29日のものですが、基本的にほとんど変わりありません。ちょうど上段の画像からもう少し右側へ進んだところまで積雪があります。その先の肩の小屋方面は、ほぼ、積雪がなくなりました。
画像に映っている積雪部分は誘導ロープに沿ってステップができていますので、登りは問題が少なくても、下りはかなり危ない状態です。必ずアイゼンを携行してください。
下記ではもう少し詳細に登山道の積雪状況をお伝えします。
昨年の登山道入口 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2012/07/14〜15) A ↓ |
先週の登山道入口 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2013/07/05〜06) A ↓ |
今週の登山道入口 昨年並み雪解け |
車道との間の隙間は5メートルほど。昨年は3.9メートルでしたので、ほぼ昨年並みです。
昨年の登山道入口付近 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2012/07/14〜15) A ↓ |
先週の登山道入口付近 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2013/07/05〜06) A ↓ |
今週の登山道入口付近 昨年並みの雪解け |
登山道入口から少し入った所の様子を比較すると ほぼ昨年並み。おそらく、大雪渓から肩の小屋までの登山道全体は、ほぼ、昨年並みの多さを見せていると考えられます。
登山道は雪の中 − 誘導ロープがないとルートすらわからない |
シャトルバスが畳平まで運行されないため、ここから肩の小屋へ向かって、乗鞍岳山頂(剣ヶ峰)に向かう必要があります。先ほど申し上げたように稜線付近の積雪がなくなりましたので、畳平からのルートでは積雪を気にする必要がなくなりました。
ただ、大雪渓からのルートは、ご覧のようにどこに登山道があるのかすらわからないほどの積雪です。
「ネットで積雪があることは調べて来たんですが...」 |
子供さんと一緒に歩くこちらの方。「ネットで積雪があることは調べて来たんですが...」と、おっしゃるものの、やはり少し歩きにくそうです。
階段状のステップができている | でも、下りはかなり慎重に... =アイゼン携行を!= |
誘導ロープにそって同じルートを登って行きますので、階段状のステップができています。そのため、登りは何とか登ることができても、下りはかなり慎重に足を運ばなければなりません。この状態ならアイゼンを装着すべき所です。
必ずアイゼンの携行をお願いいたします。
このあたりから上部は雪がなくなります
− 積雪は例年より多い (大雪渓〜肩の小屋間の中間付近) |
この積雪は大雪渓〜肩の小屋間の中間付近まで続きます。この先は登山道の上を歩いて行きますが、肩の小屋に到着する手前で一部積雪が残っていますのでご注意下さい。大雪渓〜肩の小屋登山道全体の積雪量は、ほぼ昨年並みで、例年よりも多い状況です。
昨年のモーグルコースの岩 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2012/07/14〜15) B ↓ |
先週のモーグルコースの岩 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2013/07/05〜06) A ↓ |
今週のモーグルコースの岩 昨年よりやや早い雪解け |
7月になるとこの付近にモーグルコースが作成され、多くのスキーヤーが集まることから、モーグルコースの岩と呼称させていただいております。これまでは昨年より1週間ほど遅い雪解け状況で、先週は昨年並みとなっていました。そして、この1週間の雪解けは1.2メートルとかなり雪解けが進んで、昨年よりもやや早い雪解け状況となってしまいました。
雪渓下端まで123メートル =過去5年間で最高の長さ= |
現時点でのモーグルコースの岩の下端から雪渓下端までの距離は123メートル。昨年は118メートルで、最も長かった2010年の120メートルよりもさらに長く、積雪量の多さを物語っています。
昨年の石碑の岩 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2012/07/14〜15) B ↓ |
先週の石碑の岩 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.9(2013/07/05〜06) A ↓ |
今週の石碑の岩 昨年より1週間遅い雪解け(過去5年間で最高の積雪量) |
そして、モーグルコースの岩から南へ約100mほどのところに、大雪渓で二番目に姿をあらわす岩があります。先週からの雪解けは1メートル以上ありますが、昨年より1週間遅い雪解けを示しています。
昨年は「2007年以降の過去5年間で最も積雪量の多い状態」と、お伝えしており、今年はそれを上回る状況です。
チングルマ、ようやく新芽が − 昨年より1週間遅い |
こちらは毎年定点でお伝えしている石碑の岩にあるチングルマ。ようやく新芽が確認できるようになって来ました。昨年より1週間遅い状況です。
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昨年の石碑の岩の下部のバーン 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.10(2012/07/14〜15) B |
今週の石碑の岩の下部のバーン =昨年並み= |
石碑の岩の下部のバーンでは、ようやく岩場が確認できるようになって来ました。昨年とほぼ同じ状況で、例年と比べても1〜2週間遅い状況です。
クラック(赤枠部分) | 開口幅は2メートル − 先週よりも拡大する |
石碑の岩とモーグルコースの岩の間のバーンにはクラック(クレパス)が発生しています。先週は開口幅が1メートルにも満たない状況でしたが、ご覧の通り1.5〜2メートル近くにも及んでいて、雪渓上部から下部への滑り込みの時には転落に注意してください。特に今日のような濃霧で足元がよく見えないときは細心の注意が必要です。(→ Next)
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