ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.13(2013/08/03〜04) F
【畳平、お花畑】
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それでは、最後に畳平の様子です。
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観光バスで満車 | シャトルバスにも長蛇の列 |
今日も畳平駐車場は観光バスがほぼ満車となり、駐車スペースがなくなって、同じツアー同士のバスは縦列駐車してもらうほどの賑わい振りでした。また、帰りのシャトルバスもご覧のように長い列が夕方まで続きました。
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こちらは畳平のお花畑。
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入口の階段付近 | ハクサンイチゲがまだ咲いている |
入口からお花畑に降りる階段付近。6月下旬の ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.8(2013/06/29〜30) F でお伝えしたときのお花畑は、ほぼ完全に雪解けが完了したものの、この付近だけ積雪が残っていました。
そのため、すでに大半のハクサンイチゲが終了しているにもかかわらず、この一角だけは、きれいな見頃状態のハクサンイチゲが残っています。
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先週の入口付近 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.12(2013/07/27〜28) E |
今週の入口付近 先週と変化ないように見えますが... |
こちらは階段を降りた付近の様子。先週となんら変わらないように見えますが...
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先週の入口付近 − ハクサンイチゲ ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.12(2013/07/27〜28) E |
今週の入口付近 − モミジカラマツ 一週間で見事に変化 |
先週までこの付近で咲き誇っていたのはハクサンイチゲですが、今週はハクサンイチゲの姿はなくなり、それに変わってモミジカラマツが見頃を迎えています。
たった1週間でのこの様変わり振りは驚くばかりです。
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ミヤマクロユリ − そろそろ終りに |
そして、ミヤマクロユリもそろそろ終りになってきました。
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畳平のお花畑はバスツアーに人気 |
畳平のお花畑はバスツアーで訪れる観光客が多く、バスが到着すると一斉にお花畑にお越しになり、その賑わいは終日続きました。
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コバイケイソウ − 今年は当たり年 |
昨年はほとんど花を見せてくれなかったコバイケイソウ、今年はどのエリアを見てもきれいに咲いています。コバイケイソウは2年に1度、もしくは、数年に1度しか咲かないとされていますが、ノリクラでは、昨年のようにほとんど咲かない年はあまり見られませんが、年によってきれいに咲きそろっているときと、ちょっと咲き方がまばらといったばらつきはありますので、各個体を識別観察すれば、2年に1度、もしくは、数年に1度ということになるのかもしれませんね。
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それでは周遊コースを進んで行きます。
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ハクサンイチゲからハクサンボウフウに置き換わる |
先週の段階でハクサンイチゲは終了し、ハクサンボウフウに置き換わっています。
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ミヤマゼンゴも |
こちらはミヤマゼンコ。先ほどのハクサンボウフウとおなじくセリ科の植物で、大小さまざまですが、どれも同じような姿をしています。
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一番の見頃はヨツバシオガマ(左)とミヤマキンポウゲ(右) |
そして、今一番の見頃はヨツバシオガマとミヤマキンポウゲです。色の付いた花が少ない中、頑張っています。
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チングルマはもう綿毛状態 |
そして、先週見られたチングルマはもう綿毛状態です。
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残っているハクサンイチゲも... | よく見ると種子が大きくなっている |
一部でハクサンイチゲが残っていますがよく見ると、花の中心部分には種子が大きくなってきています。
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周回コース奥を回る−北側から南側へ |
周回コースを一番奥まで進んで、左から右へと進んで行きます。(北から南へ)
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イワギキョウ(左)やミヤマアキノキリンソウ(右)が咲き始める − 季節は次へと移り行く |
数多くあったミヤマクロユリもほぼ終り、まだ、数は少ないもののイワギキョウやミヤマアキノキリンソウが咲き始めて、季節の移り変わりを感じさせてくれます。
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まだまだ高山植物の時期は続きます |
先週までは昨年よりも早い推移を見せていましたが、今週になって、ほぼ昨年並みの状況になってきました。高山植物は種類によって開花する時期が異なっていますので、まだまだ見頃の高山植物がこれから登場して行きます。
【昨年の今ごろは?】
8月に入って、太平洋高気圧が安定してきた様子が感じられます。真っ青な青空が広がり、雪のやわらかく緩んで滑走しやすくなり、サマーシーズンの中でも、今回は「ど真ん中の夏」を味わうことができました。
取材一日目の8月4日(土)は、雲ひとつない真っ青な快晴の朝から始まります。気温はこの時期としては低めの10℃、このひんやりとした空気が一日中続いたこともあって、今日は午後になっても、雷雨や夕立に見舞われることなく、また、そんな気配すら感じさせない安定した天候の一日が続きました。ひんやりとした空気は、透明感あふれる空気でもあって、遠景の山並みは秋のような水墨画の織り成す光景が、日が高くなっても続きました。それでもやはり日差しは強く、大粒の汗を額から噴出しながらヒルクライムする様子もありました。そして、正午前から雲が湧き上がるものの、山麓から湧き上がるものではなく、むしろ山麓からは心地よいそよ風が絶えず吹き抜けていて、その風に吹かれる心地よさは、至福の時といってもよいでしょう。
取材二日目の8月5日(日)も、昨日同様に雲ひとつない快晴の朝から始まります。少し昨日とは異なるところは、朝一番から灼熱の太陽に肌をも焦がす勢いがあり、ノリクラ特有のさわやかな空気も暑さに負けてしまうほど。ヒルクライムは大粒の汗がほとばしります。青い空と白い雲のまさに夏空が広がります。ただ、早朝からの灼熱の太陽がもたらす天候のサイクルが、夏山特有の天候を見せ、10時過ぎには空全体が雲に覆われて、強い日差しも遮られると、再びさわやかな空気が舞い戻り、火照った体をクールダウンさせてくれます。また、今日もたくさんのヒルクライマーが訪れ、県道乗鞍岳線や位ヶ原山荘などを埋め尽くします。ただ、天候はそれ以上の変化は見せず、午後は曇りの時間帯が多くなりますが、雷雨・夕立に見舞われることなく、夏のノリクラを満喫できた一日でした。
<編集後記>
「7月の天候のまとめ ノリクラは太平洋側?日本海側?」
7月は西日本を中心に月を通して猛暑・少雨となり、東北では梅雨前線の停滞で大雨・長雨、そして、7月下旬は北日本から西日本にかけて短時間に記録的な雨に見舞われたと、気象庁が発表しています。
乗鞍一帯は太平洋側の気象と日本海側の気象の両方の影響を受けるため、天気予報もなかなか当たらないところです。大雑把に7月の乗鞍周辺の状況を見ると、太平洋側では少雨で、日本海側では北陸地方から飛騨北部にかけて、下旬に局地的な豪雨に見舞われました。
アメダス(奈川) |
アメダス |
乗鞍スカイライン(畳平) |
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降水量 (mm) |
平均気温 (℃) |
最高気温(℃) | 最低気温(℃) | 日照時間 (h) |
降水量 (mm) |
平均気温 (℃) |
晴 (日数) |
曇 (日数) |
雨 (日数) |
通行止 (日数) |
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2013年 | 252.5 | 20 | 26.4 | 15.2 | 141.4 | 315.0 | 8.1 | 6 | 16 | 9 | 4 |
2012年 | 347.5 | 20.1 | 26.2 | 15.4 | 157.6 | 344.5 | 10.3 | 10 | 8 | 10 | 3 |
平年 | 269.9 | 19.7 | 25.9 | 14.9 | 145.3 | 263.1 |
こちらは7月のアメダス(奈川・丹生川)のデーターと、乗鞍スカイライン(畳平)の天候及び通行止め日数です。乗鞍スカイラインの天候は15時現在の畳平の天候としたため、かなり大雑把な捉え方ですが、ある程度の傾向は見られると思います。乗鞍岳山頂(剣ヶ峰)からみて、アメダス奈川は太平洋側に位置し、アメダス丹生川は日本海側に位置しています。
アメダス(奈川)のデーターでは、降水量は平年より少なく、昨年の7割にとどまっています。しかし、日照時間も平年より少なく、昨年の9割にです。また、アメダス(丹生川)では、奈川とは反対に降水量が平年よりも多い状態となっています。
また、乗鞍スカイライン(畳平)の天候でも、今年は晴れた日が少なく、曇の日が月の半分以上を占めて、通行止めとなった日は昨年よりもわずかですが多くなっていて、おそらく畳平でも昨年より雨量が多かったのではないかと考えられます。
推測の域を抜けることはできませんが、畳平や乗鞍スカイラインは日本海側の気候を受けやすく、大雪渓などの県道乗鞍岳線側は太平洋側の気候を受けやすいのではないかと考えられ、ノリクラはどちらの気候の影響を受けやすいかといった点では、白黒つけがたい状況であることがこんな一端からもわかります。
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乗鞍環境パトロール作成の畳平の月別天候状況 − 5月は気温が高く、7月は気温が低かった |
こちらは乗鞍環境パトロールが作成している畳平の平均気温と天候傾向を示したグラフ。例年と異なるのは、5月の気温が高く7月の気温が低い点です(左の折れ線グラフ)。作成した環境パトロールの方も、「この傾向がそのまま続くと畳平は冷夏となってしまうが、晴れの日が多いか少ないかによって左右されますね。」とおっしゃっていました。このグラフは畳平バスターミナル内の観光案内所に掲示されていますので、自由にご覧いただけます。
さて、8月は全国的に暑い日が続くとされています。安定した天候が続かないと旅行の計画が立てづらいところで、ノリクラにお越しになる方はやきもきするところですが、お客様を迎える宿泊・観光業界の方々もそれ以上に同様な思いのようですね。
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