ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.17(2013/08/30〜31) @
今回は台風15号の到来で悪天候に見舞われた週末となってしまいました。先週に引き続き、週末に悪天候となる周期に陥ってしまっています。通常、週末の取材ですが、今回は9月1日(日)に第28回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍開催のため、1日前倒しして取材を実施しております。
取材一日目の8月30日(金)は、夜明け前から降り始めた雨が断続的に降り続きます。雲は足早に流れていて、上空には強い風が吹き続けている様子がわかります。そのため、岐阜県側の乗鞍スカイラインは強風のため通行止めとなり、シャトルバスは長野県側・岐阜県側共に運休。しかし、長野県側の県道乗鞍岳線(エコーライン)は通行可能なため、タクシーで大雪渓方面に向かう方がみられました。大雪渓付近は視界が50メートルに満たないほどの濃霧。風の強さは傘がなんとか使用できる程度でそれほど強いものではありません。そして、乗鞍スカイラインは13時15分に開通したものの、岐阜県側は依然として風速15メートルの強風で自転車は通行止め。県道乗鞍岳線から登ってきたヒルクライマーも県境に到達した瞬間に吹き飛ばされるほどの強風に見舞われ、午後になって、雨の時間帯が長くなり、手が悴んでブレーキが握れないヒルクライマーの姿もありました。
取材二日目の8月31日(土)は、台風15号は温帯低気圧に変わりましたが、その後も前線の活動を刺激して相変わらずの天候が続きます。昨日通行止めだった乗鞍スカイラインは今日は朝一番から通行可能ですが、強風が続いているため、自転車での通行はできない状態です。大雪渓付近の雨は周期的に強弱を繰り返し、昨日以上の強風が吹き続き、とても外に出られる状況ではありません。そのため、週末にもかかわらず、大雪渓にやってくるスキーヤー・ボーダーの姿はまばらでした。
午後からは第28回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の大会会場となっている観光センターに向かいます。13時から受付が開始され、出店ブースなどを見物する選手の方々でにぎわっていました。時折、まとまった雨降りとなる時間帯もあり、天候は相変わらずの状況の中、明日のレース開催が心配なところです。
そして、9月1日(日)は、第28回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍のレース当日。昨日と同様に大雪渓・県境付近は濃霧強風が続いていることから、ゴールを県境から位ヶ原山荘に引き下げての実施となり、ゴール地点変更は大会始まって以来のことと思います。レース中はほとんど雨もなく、また、自転車走行に支障となる風もありませんでした。また、ゴール変更に伴って大会運営に大きな問題が生じることもなく、無事に大会を終えることができました。
大雪渓の積雪量は、先週と同様に昨年よりも多い状態が続いています。入口付近の雪渓下部では昨年よりも雪解けが3週間ほど遅い状態です。この雪渓下部は例年なら滑走不能となる時期ですが、今年の雪渓下部はまだ滑走できる状況です。また、雪渓上部も全体的には昨年より3週間程度遅く、例年滑走不能となる雪渓上部右側も、まだ十分な広さが残されています。
【8月31日(土)、観光センター前駐車場は大会開催のため駐車禁止】
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観光センター前駐車場 |
こちらは8月31日(土)の観光センター前駐車場。
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全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の大会会場が設営 |
観光センター前駐車場は、今日と明日(8月31日〜9月1日)に開催される第28回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍の大会会場が設営され、テントや特設ステージなどの設置が進められています。
全日本マウンテンサイクリングin乗鞍は、自転車のヒルクライムレースとしては国内でもっとも歴史のある大会で、明日の9月1日(日)は、4000名以上の選手が、観光センターをスタートして県境に設置されたゴールを目指して駆け上がります。
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全面駐車禁止 |
大会会場となる都合から、観光センター前駐車場は前日(8月30日(金))の夕方より全面駐車禁止となっています。
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シャトルバス乗り場も使用不可 | 路線バスやシャトルバスは一部運休 |
観光センター前駐車場に進入できないのはマイカーだけでなく、シャトルバスも同様の措置がとられ、駐車場内のシャトルバス乗り場も利用できない状態となります。そのため、本日は車道沿いにある路線バスの停留所から発着します。路線バスのバス停も「観光センター前」と同じ名称です。
また、本日のシャトルバスは最終便まで通常運行されますが、レース当日の明日は、ご来光バス及び始発便から12時便まで運休となり、運行開始は13時便からとなります。午後から運行開始されても、本日と同様に明日もこちらのシャトルバス乗り場は利用できません。
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シャトルバス乗車券販売所 |
こちらはシャトルバス乗車券販売所。こちらは通常通り営業されていますので、いつものようにシャトルバスの乗車券を購入できます。
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今日のシャトルバスは路線バスの停留所で乗降 |
シャトルバスの乗車券を購入されたら、車道をはさんで観光センターの反対側の路線バスの停留所でシャトルバスがやってくるのを待ちます。
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シャトルバス始発便が到着 |
シャトルバス始発便が到着して登山の方々が乗り込みます。こちらのバス停は路線バスが停留する場所ですから、シャトルバス以外の路線バスも到着します。誤って他の路線のバスに乗車しないようご注意下さい。
【観光センターから大雪渓へ、沿道の風景 T】
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それでは、ここからはいつものように沿道の様子をお伝えします。
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善五郎の滝入口 | ヤマハギ |
こちらはヤマハギ。この付近では8月ごろから咲き始めます。木の高さは2メートルほどにもなりますが、花そのものが少し小さいため、咲いていることに気付かないかもしれません。
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ススキ | 穂先はまだ開いていない |
そして、こちらはススキ...まだ穂先は開いていません。先ほどのヤマハギと同様に、季節は少しずつ秋へと進んでいます。
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木々の緑に色合い変化 − 紅葉シーズンに向けて一歩前進 |
木々の緑をよく見ると、若干緑色が薄くなり始めていることに気付きます。一部では黄色っぽく変化する様子もあり、そろそろ、紅葉に向けた準備が始まっていることがわかります。
毎年、8月下旬から9月上旬頃からこのような現象が見られ、今年が特に早いとか遅いとかいったことではありません。また、このような現象が見られたからといって、すぐに本格的な紅葉が始まるわけではなく、数週間はこのような状態で推移した後、9月下旬から10月上旬頃から色付き始めます。
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クサボタン − 葉が牡丹に似ているから |
夏の花が少しずつ終りを告げる中、まだまだ頑張っているのがクサボタン(草牡丹、キンポウゲ科センニンソウ属)。反転した花弁状のものは萼(ガク)で、反転が進むと中から雄しべや雌しべが確認できるようになってきます。
葉が牡丹に似ているが、あまり木質化しないため、「クサ」という文字がつけられています。
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三本滝ゲート | 今日の夜明け前パトロールは五里霧中 |
観光センターから7km先の三本滝ゲート。今朝の夜明け前のパトロールでは「一寸先が闇...」といった状態だったとのこと。もちろん、夜明け前のパトロールですから、闇夜であることには間違いないのですが、ヘッドライトをつけても「一寸先が闇」。
ひどい濃霧で目の前すらわからないほどの状態だったようです。台風15号が日本列島に近づき、日本海にある前線が台風に刺激されて、この先数日間は不安定な天候状態が続きます。
そのため、翌日の8月31日(土)の大雪渓付近はさらにひどい濃霧で、9月1日(日)の第28回全日本マウンテンサイクリングin乗鞍は、ゴールを位ヶ原山荘に引き下げて大会が実施されたほどです。
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かもしかゲレンデ | 手前にピンク、奥に白い花 |
三本滝ゲートを通過して、こちらはかもしかゲレンデ。右の画像でお分かりのとおり、奥のほうに白い花が、そして、手前にはピンクの花が咲いていることがわかります。
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手前のピンクはヨツバヒヨドリ | 奥の白はゴマナ |
手前のピンクに見えてたのはヨツバヒヨドリ(四葉鵯、キク科フジバカマ属)。花期はそろそろ終りに差し掛かってきて、花が少しずつ枯れ始めています。この枯れ始めた花や葉はよく燃えて火熾しの材料となることから、「火を取る」が転じて「ヒヨドリ」となったといわれ、鳥の「鵯(ひよどり)」が漢字名に使われています。
そして、奥に見られるのはゴマナ(胡麻菜、キク科キオン属)。遠目で見るとコマナもヨツバヒヨドリも同じような形状ですが、花を見ればすぐにわかります。ゴマナは野菊をさらに小さくしたような花がいっぱいできていて、ヨツバヒヨドリはフジバカマのような綿帽子のような花です。
ゴマナはこれからが季節の花で、ヨツバヒヨドリからバトンタッチする季節を迎えています。
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シャトルバス運休で往来はタクシーのみ |
取材1日目の8月30日(金)は、乗鞍スカイライン強風通行止めに伴い、長野県側のシャトルバスも運休でした。そのため、タクシー以外の往来はほとんどない状態でした。
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タクシーの運転手さん − 花の名前を力説! | ウツボグサ − 今年は遅くまで咲いている |
そんなタクシーから降りてきた方は、山野草の写真を熱心に撮影されています。そして、そこに花の解説を熱心に加えるのはタクシーの運転手さん...止まっては動き、動いては止まるを繰り返し、タクシーが動いている時間よりも、写真撮影のために止まっている時間帯のほうが長いほどです。タクシーの運転が主なのか、花のガイド役が主なのか、どちらが主でどちらが従なのかわからないほど...
さて、ここに咲いているのは、ウツボグサ(靫草、シソ科ウツボグサ属)、花穂が弓矢の矢を入れる靫(うつぼ)に似ていることから命名されています。例年、この付近のウツボグサの花期は8月上旬頃までですが、今年はかなり遅くまで花期が伸びています。ウツボグサだけでなく、他の山野草でも花期が長くなったり、開花時期が遅くなる傾向が今年は見られます。
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部分的に真っ赤に色付くナナカマド − 紅葉シーズンはまだ先... |
先ほど、葉の色合いが少しずつ変化し始めたことをお伝えしました。こちらはでは部分的にしっかりとした紅葉が始まっています。本格的な紅葉まで1ヶ月ほどあり、それまでの間は、ご覧のような部分的な紅葉があちらこちらで見られるようになって来ます。これは特に珍しい現象ではなく、紅葉の始まりを予見するバロメーターでもありません。それでも、こんな様子を見ると、本格的な紅葉シーズンの早期到来を期待してしまいます。
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オヤマリンドウ | ヤマトリカブト |
左の画像はオヤマリンドウ(御山竜胆、リンドウ科リンドウ属)。ご覧の状態でほぼ開花状態です。オヤマリンドウはほとんど咲かない花で、花の先端が開いているのか開いていないのかわからないほどの状態です。
そして、右の画像は先週もお伝えしたヤマトリカブト(山鳥兜、キンポウゲ科トリカブト属)です。今日はヤマハギから始まってクサボタン、そして、オヤマリンドウ、ヤマトリカブトに至るまで、すべて紫色の花でした。これから咲き始めるノコンギクなど、秋は紫色の花が多いんでしょうか...(→ Next)
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