ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.17(2013/08/30〜31) D
【雪渓上部 T】
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雪渓上部全景 − 完全に濃霧の中 |
雪渓上部の様子をお伝えしますが、ご覧のようにかなりの濃霧がひどく全く状況が把握できない状況です。
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昨年の雪渓上部全景 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2012/09/01〜02) C |
先週の雪渓上部全景 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2013/08/24〜25) D |
左側は昨年同時期の雪渓上部の様子。右側は先週の雪渓上部の様子。濃霧の抜けた瞬間の様子を確認する限りでは、今週の雪渓上部はほぼ先週と変わらない状態でした。
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昨年の雪渓上部右側 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2012/09/01〜02) C ↓ |
先週の雪渓上部右側 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2013/08/24〜25) D ↓ |
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今週の雪渓上部右側 |
こちらの画像は雪渓上部右側で、中斜面が続き、ポールレッスンが盛んに行われるエリアです。
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昨年同時期より3週間早い雪渓上部右側 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.14(2012/08/11〜12) D =今週の雪渓上部右側は昨年より3週間遅い雪解け= |
こちらは昨年同時期よりも3週間早い雪渓上部右側の様子。雪渓の右端部分の雪解け状況を見るとほぼ今週と同じで、この様子から昨年よりも3週間遅い雪解け状況が続いていることがわかります。そのため、2008年以降ではもっとも多い積雪量が続いています。
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昨年の鉄塔土台 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2012/09/01〜02) C ↓ |
先週の鉄塔土台 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2013/08/24〜25) D ↓ |
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先週の鉄塔土台 昨年より3週間遅い雪解け |
雪渓上部右側エリアの下部、ちょうど雪渓中段につながる位置にある鉄塔土台です。土台と雪渓との距離は約27メートルで、左上の昨年同時期より3週間早いものとほぼ同じ状態ですから、昨年より3週間遅い雪解けとなっています。
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雪渓上部右側上端−昨年より1週間遅い雪解け |
こちらは雪渓上部右側上端。上端の位置は先週より15メートルほど下がっていて、昨年より1週間程度遅い雪解け状況となっています。
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上端から−雪渓下端まで推定230メートル 過去5年間で最長 |
ご覧の濃霧のため、上端から下端までの雪渓の長さは測定不能ですが、上端部分が15メートルほど下がり、下端部分が5メートルほど上昇していますので、230メートルほどであると推定されます。昨年は110メートル、2011年は測定不能、2010年は118メートル、2009年は81メートル、2008年は160メートルで、これまでと同様、過去5年で最も長い状態が続いていると考えられます。
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雪渓上部右側 − 練習前のバーン整備 |
この天候の中、だれも訪れる方はいらっしゃらないと思いましたが、こちらでは練習前のバーン整備が始まっています。
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雪渓上部右側 − 十分な積雪量 =3〜4レーン程度のポール設置が可能= |
ひどいアイスバーン − ブーツの先端でも歯が立たない |
雪渓上部右側はまだまだ十分な積雪量があり、3〜4レーン程度のポール設置ができるほどの広さがあります。今日のバーンかなり硬く、場所によってはブーツのつま先すら立たないほどのアイスバーンです。
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コース整備は農耕用の鍬が必須 |
スプーンカットを削り取るにもスコップでは歯が立たず、農耕用の鍬でないと無理は状況。これからの時期は日中も夜間も気温が低下するため、バーンが急激に硬くなってきます。また、スプーンカットもこれまで以上に大きなものが目立つようになってきます。
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まだまだ十分トレーニング可能なバーンコンディション |
例年だと、雪渓上部右側はほとんど積雪がない時期にさしかかってきます。バーン整備を進めるコーチの方も「こんなに積雪があるんですから、多少の天候悪化は気にせず、もう少し雪上でトレーニングを続けたい」とおっしゃっていました。
【雪渓上部 U】
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雪渓上部左側 − 上級者のみ |
さて、今回から雪渓上部左側の情報もお伝えします。
こちらは雪渓上部左側。大雪渓の中でも急斜面のバーンが広がり、シーズン終盤まで積雪の残るエリアです。
大雪渓エリアの中でも最も遠方に位置することから、他のエリアが滑走可能なこの時期は訪れる方は少ない状況です。しかし、今後、他のエリアが滑走できなくなって、雪渓上部左側しか滑走できなくなる8月下旬頃になると、冷え込みの影響からバーンは硬くなってきて、スプーンカットのほか、大きな氷の柱が一面に現れ、初心者の滑走は困難な状況になって行きます。さらに、雪渓上部左側は他のエリアよりも急斜面であることに加え、バーン下部は全面岩場であるため、滑落すれば大怪我となる可能性もあります。
したがって、8月下旬以降になって雪渓上部左側しか滑走エリアがなくなるとノリクラデビューは出来ませんので、初めての方は雪渓下部や雪渓上部右側が滑走できる8月中旬までにお越しになったほうが良いでしょう。
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モーグルコース −大半が形を失う |
こちらはモーグルコース。一部で形状が保たれていますが、大半が形を失っています。最後の整備からおそらく2週間程度経過していると考えられます。新規に作成しなおすくらいの手間を掛けて修復する必要があるでしょう。
周辺に岩などは析出していないため、別の場所に作り直す必要はありません。
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こちらは上端部分。
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昨年の雪渓上端 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.17(2012/09/01〜02) D ↓ |
先週の雪渓上端 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2013/08/24〜25) D ↓ |
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今週の上端部分 昨年並みの雪解け状況 |
先週からの雪解けは高さで1メートルほどで、ほぼ昨年並みの雪解けです。これまで雪解けが早い傾向が見られましたが、雪解けのスピードが遅くなってきています。
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上端から − 下端部分まで推定130〜120メートル、過去最高の長さ |
雪渓上部左側下端までの距離は濃霧のため計測不能です。下端部分とほとんど変わっていませんので、130〜120メートル程度かと推定されます。昨年は108メートル。2011年は濃霧で測定不能、2010年は102メートル、2009年は105メートル、2008年は125メートル、2007年は120メートルでした。
【昨年の今ごろは?】
振り返って見ると、5月中旬から連載開始したノリクラ雪渓カレンダーも、残りのほうが少ない状況となってしまいました。しかし、残りの2ヶ月は「紅葉」というグリーンシーズンを締めくくるにふさわしいイベントが残されています。そんな紅葉に向けてのカウントダウンが、もう始まっているようにも感じられた二日間でした。
取材一日目の9月1日(土)は、夜明け前まで曇り空でしたが、日が高くなるにつれて青空が広がるようになって来ました。夏休みが終わりに近づき、これまでは平日でもたくさんのマイカーが訪れていた観光センター前駐車場は空きスペースが目立つ状況。さすがに肌を焦がすような日差しの強さはなくなり、汗ばむような雰囲気は一切見られず、暑さとか寒さといった温度感を感じさせない状況に、季節が次へと移ってきたことを実感させます。周囲の葉の色合いも徐々に薄くなってきて、紅葉への準備もカウントダウンを始めています。午後になって、山麓から湧き上がる雲が大雪渓周辺を覆い始めて、視界が妨げられる状況が見られますが、それ以上の天候の変化はなく、穏やかな初秋の一日を楽しむことができました。
取材二日目の9月2日(日)は、夜明け前まで小雨の降る状況でしたが、日の出を迎えると雨はやんで雲間に青空がのぞき始めます。いつもは西から東へと天候が移り変わって行くものの、今日は東から西へと逆の方向へ雲や風が流れて行きます。大雪渓など山頂方面は午前中は濃霧・小雨でしたが、午後になって回復傾向となります。ただ、冷え込んだ空気に包まれて、大雪渓を滑るスキーヤーも厚手のウェアを着込んでも寒さに震える状況でした。
<編集後記>
「今年で50周年の県道乗鞍岳線」
今年の全日本マウンテンサイクリングin乗鞍は、上部の濃霧強風という悪天候のため、ゴールを位ヶ原山荘に変更して実施致されました。台風で大会が中止になることは過去にありましたが(→ 参考 : 2003年大会)、ゴールエリアを変更して実施となったケースは今回が初めてのことだと思います。
自転車のことをよく知らなくても、ノリクラでは自転車の人がたくさんやってくるということだけはご存知かと思います。9月第一日曜日に開催される全日本マウンテンサイクリングin乗鞍という大きな自転車レースあって、それを目指す選手が毎週のようにトレーニングにお越しになるわけですが、全日本マウンテンサイクリングin乗鞍は、1986年から開催されて今回で28回目の大会です。他のヒルクライム大会を見ても、これ以上古くから開催されているヒルクライムレースはありません。
現在では、各地でヒルクライムレースが行われ、県道乗鞍岳線よりもさらに急峻なコースでのヒルクライムレースも行われています。でも、最初にヒルクライムレースがここで行われたのは、当時から山岳道路としての注目度が高かったことが大きいと考えられます。
県道乗鞍岳線は、1958年(昭和33年)7月1日、三本滝−乗鞍岳間で陸上自衛隊訓練の一貫として工事が始まり、1963年(昭和38年)9月27日に完成しました(※)。そして、2003年よりマイカー規制の実施に伴ってシャトルバスの運行が始まり、大型車両が常時対向できるように、道路の拡幅・退避場所の増設が行われたため、荒田沢橋〜冷泉小屋間にあった「通称:石畳」といった建設当時の面影が少なくなっています。それでも、随所に残されている石垣などを見ると、形や大きさの異なる石を一つ一つ積み上げた様子があり、手作業で道路が作られた様子が所々に残っています。(※ 当時は「林道乗鞍岳線」で、1964年(昭和39年)3月26日に県道に編入。)
話が少し変わりますが、岐阜県側の乗鞍スカイラインは今年で40周年を迎え、PR活動や記念企画が催されています。
それとは対照的に、建設から今年で50年の節目を迎える県道乗鞍岳線では、「50歳」を迎えることすら忘れられているのではないかと思うのです。地元ですらクローズアップされずにいる様子を見るとちょっと残念に思って、今回の編集後記で述べさせていただきました。
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