ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.19(2013/09/14〜15) D
【雪渓下部 V、モーグルコース】
雪渓上部左側 − 上級者のみ |
こちらは雪渓上部左側。大雪渓の中でも急斜面のバーンが広がり、シーズン終盤まで積雪の残るエリアです。
大雪渓エリアの中でも最も遠方に位置することから、他のエリアが滑走可能なこの時期は訪れる方は少ない状況です。しかし、今後、他のエリアが滑走できなくなって、雪渓上部左側しか滑走できなくなる8月下旬頃になると、冷え込みの影響からバーンは硬くなってきて、スプーンカットのほか、大きな氷の柱が一面に現れ、初心者の滑走は困難な状況になって行きます。さらに、雪渓上部左側は他のエリアよりも急斜面であることに加え、バーン下部は全面岩場であるため、滑落すれば大怪我となる可能性もあります。
したがって、8月下旬以降になって雪渓上部左側しか滑走エリアがなくなるとノリクラデビューは出来ませんので、初めての方は雪渓下部や雪渓上部右側が滑走できる8月中旬までにお越しになったほうが良いでしょう。
⇒ | ||
先週の下端部分 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.18(2013/09/07〜08) C |
今週の下端部分 | |
⇒ | ||
先週の下端部分(落書きの岩) ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.18(2013/09/07〜08) C |
今週の下端部分(落書きの岩) |
こちらは雪渓下端部分。赤丸部分が落書きの岩。先週の画像と比較すると高さで50センチ程度の雪解けで、下端位置は10メートルほど上方に移動しています。
昨年同時期より3週間早いの下端部分(落書きの岩) 今週は昨年より3週間遅い雪解け= 2012ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.16(2012/08/24〜25) E |
こちらは昨年同時期より3週間早い落書きの岩の様子。この様子から、今週は昨年よりも3週間遅い雪解けで、先週の2週間以上遅い状況から、さらに雪解けが遅くなっています。
作り直したモーグルコースが完成 |
こちらはモーグルライン。先週は土曜日にライン作成を実施したものの、日曜日はシャトルバス運休で滑走することができず、先週のラインはほぼ消滅。そのため、午前中は新たにラインを作成して、今回はバーン表面が柔らかめだったということもあって、午後にはほぼ完成状態となりました。
スタート付近 − 先週よりも左上に |
先週のラインよりもさらに左側(南側)に移動したため、スタート位置が先週よりも高くなり、斜度も若干ですが、これまでよりも急斜面になっています。
、
25コブ×75メートル(ピッチ:3メートル) |
ラインの長さは25コブ×75メートル(ピッチ:3メートル)です。
ピッチはやや細かい |
ピッチがやや細かく、また、一部でアイスバーンに近い状態の箇所もあって、無理なく安全に完走できることが目標です。
「このバーンはムリ!!」 |
「このバーンはムリ!!」と、おっしゃるモーグラーの方もいらっしゃいました。もっとも、コブがまだ成長途上のため、もう少ししっかりとしたコブになれば、問題ないかと思います。
こちらは雪渓上端。
昨年の雪渓上端 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.19(2012/09/15〜16) C ↓ |
先週の雪渓上端 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.18(2013/09/07〜08) C ↓ |
今週の上端部分 昨年より1週間早い雪解け |
先週からの雪解けは高さで50センチほどで、先週と同様に昨年よりも1週間早い雪解けで、全エリアの中で、この箇所だけが昨年よりも早い雪解けを見せています。
|
雪渓上部左側下端までの距離は128メートルです。昨年は75メートル。2011年は79メートル、2010年も79メートル、2009年は91メートル、2008年は113メートル、2007年は85メートルでした。先週までと同様に過去最高の長さを記録しています。
最後になりますが、これまで見てきた大雪渓全エリアは、一部を除いて過去に例がないほど積雪量の多い状態を見せています。
【大黒岳 新登山道(大黒岳〜桔梗ヶ原)】
こちらは岐阜県側の乗鞍スカイライン。畳平から約1kmほどのところにある桔梗ヶ原の駐車場付近です。9月10日より桔梗ヶ原から大黒岳山頂への登山道が新たに一般開放されました。
大黒岳新登山道概要(大黒岳〜桔梗ヶ原) |
こちらが新登山道の概要図です。巡回方法としては、@ 従来の登山道(青線)で大黒岳山頂に登り、A 新しい登山道(赤線)で桔梗ヶ原まで下った後、 B 桔梗ヶ原から乗鞍スカイラインを歩いて畳平に戻る(走行車両に注意!) というルートがよいかと思います。
乗鞍スカイラインには歩道はありませんので、車道脇を通行することになります。そのため、バス・タクシーの往来に十分注意して下さい。また、濃霧の場合、バス・タクシーから歩行者の存在が全く見えないため、乗鞍スカイラインを歩くことは非常に危険ですから、登山道を引き返すようにしてください。
古い登山道を整備して運用 | 全長700メートル、標高差115メートル 片道:30分 |
桔梗ヶ原から大黒岳山頂への登山道は、かつてより存在していて、これまで立ち入り禁止の措置がとられていました。このたび、山小屋関係者などによって、誘導ロープの設置などが行われて、一般開放されることになりましたが、旧来の登山道はほとんど残っていて、新たに整備する必要がないほどだったとのことですから、今後の維持管理は比較的容易かもしれません。
桔梗ヶ原から大黒岳山頂までの距離は約700メートル、標高差115メートルと短い登山道ですが、ここには数々の魅力が潜んでいます。
桔梗ヶ原や乗鞍の峰々が広がる眺望 =登りよりも下りがオススメ= |
この登山道は登りよりも下りのほうが遥かにロケーションが優れています。ご覧のとおり、桔梗ヶ原のハイマツの絨毯が広がり、晴れていればかなりの眺望を楽しめます。
大丹生池 | 烏帽子岳 |
左の画像は大丹生池。鶴ヶ池雪渓の沢筋をさらに下って行くとたどり着くことができますが、現在は立ち入り禁止となっています。大丹生池を見ることができるのは、魔王岳とこちらの登山道ぐらいしかなく、乗鞍スカイライン上でもシャトルバスから確認することはできるものの、難しいかもしれません。また、大丹生池には、円空が作った仏像を沈めて大蛇を慰め、丹生川の村は災いから逃れたという民話が残されていて、今でも語り継がれています。
そして、登山道周辺には乗鞍の峰々が数多く並んでいます。一際目立つのが三角形の形の烏帽子岳。このほか、大丹生岳や硫黄岳、十石山などが間近に見られ、もちろんすぐ隣には大黒岳と魔王岳・恵比寿岳など畳平周辺の山並みもあって、乗鞍の奥深さを実感できるかと思います。
晴れてたら槍も穂高もバッチリ | 桔梗ヶ原と大丹生岳 |
「晴れていたら槍(槍ヶ岳)も見えるんでしょうか?」
今日は台風18号の影響から、周期的に濃霧に見舞われる天候で、穂高方面は全く確認できませんでしたが、晴れていればバッチリと見られるはずです。
中間地点の鞍部 |
そして、さらに進むと、大黒岳山頂に向かう手前の鞍部に差し掛かります。
コマクサなどの高山植物 |
このあたりにはコマクサもあって、おそらく来年の夏には数多くの花をご覧いただけるはずです。また、条件がよければライチョウの姿を見ることもできます。
ハイマツ帯を分け入って大黒岳へ |
さらに山頂方面に進むとハイマツ帯を分け入って進めば、大黒岳山頂まであと少しです。
大黒岳山頂 | 天気がよい日はオススメの登山道(10月末まで) 所要時間:1時間〜1時間30分(巡回ルート) |
こちらが大黒岳山頂。見慣れた避難小屋が確認できます。一般的には、今回のように桔梗ヶ原から登るよりも大黒岳山頂から下山するケースが多いかと思います。今回は撮影しながら道程で片道約30分ほどでしたが、乗鞍環境パトロールの方の話では、@大黒岳入口(県境付近) → A大黒岳山頂 → B今回の新登山道下山 →C桔梗ヶ原 → D乗鞍スカイライン → @大黒岳入口 の巡回ルートで約1時間とのことです。
実際には、ゆっくり風景を楽しむ時間を加味すると1時間30分程度の行程になるかと思います。
この登山道は歩くことが目的というよりも、周辺の風景を楽しむことに大きな意味があると思います。剣ヶ峰登山とは趣が異なり、「ノリクラの峰々がこんなにたくさんあるんだ!
こんなにノリクラは奥行きが深いんだ!」ということを実感していただきたいと思います。
こちらの登山道は乗鞍スカイラインが冬季閉鎖となる10月末まで楽しむことが可能です。また、来シーズンのオープンは乗鞍スカイラインが開通する5月15日からとなります。(→ Next)
Copyright (C) 乗鞍大雪渓WebSite |
|