ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
Vol.1(2014/03/22) B
【ツアーコースT − 入口急斜面】
ツアーコース入口急斜面 |
ツアーコースは標高2000メートルの入口から、標高2500メートルの位ヶ原までの約2kmの樹林帯を切りとおして作られたバックカントリーコースです。ツアーコースの全容については、ノリクラガイドマップ冬〜春スキー版 をご覧ください。
この先、ツアーコースの各所についてお伝えいたしますが、ツアーコースの全容が把握できていないと理解できないと思いますので、山麓のスキー場と上部の位ヶ原、大雪渓、山頂方面などの位置的関係をノリクラガイドマップで確認して下さい。
昨年のツアーコース入口急斜面 2013ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2013/03/23) A ↓ |
先週のツアーコース入口急斜面 (2014/03/15) ↓ |
今週のツアーコース入口急斜面 |
こちらは入口急斜面の全景です。左上は昨年の様子、右上は先週の様子です。下の今週の画像とそれぞれを比較しても大きな違いはありませんが、木の高さなどを細かく見ると、昨年よりも若干積雪量が少ない様子が見られます。
ツアーコースの下山滑走は、5月中旬〜下旬まで滑走可能ですが、ツアーコースの中で最も早く雪が消えるのはこちらの入口急斜面ですから、ツアーコースの滑走可否は、入口急斜面の残雪状況にかかっているといえます。また、ツアーコース上部では、厳冬期よりもこれからの時期に積雪量の増加が見られるようになりますが、下部の入口急斜面付近は今後は大幅な増加は見られませんので、現時点で積雪量が少ないというのは気がかりな点です。
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3年前のツアーコース入口急斜面−若干ブッシュがある 2011ノリクラ雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2011/03/26) A |
4年前のツアーコース入口急斜面−完全にブッシュがない 2010ノリクラ雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2010/03/27) A |
こちらはそれ以前の過去の同時期の入口急斜面の様子です。
前述のとおり、今週の様子は昨年よりも少ないのですが、それ以前の過去の様子と比べると、ほぼ同じような積雪状況であることがわかります。昨年は例年と比べて積雪量の多いシーズンでしたから、今年は「昨年よりも積雪量が少ない」という結論になりますが、実際にはほぼ例年並といってよいでしょう。
昨日の降雪は20センチ程度 |
昨日積雪がありましたので、入口急斜面には20センチ程度の新雪が降り積もっています。この時期としては珍しく、乾いた雪質です。
先ほど、「ツアーコース上部では、厳冬期よりもこれからの時期に積雪量の増加が見られるようになります。」と、申し上げました。ツアーコース上部や森林限界となる山頂方面はで、厳冬期には乾いたサラサラの雪質のため、強風で吹き飛ばされて積雪量が増加しません。しかし、これからは気温が上がって着雪性の高い湿った雪質となるため、上部エリアではこれから積雪量が増加します。そのため、大雪渓エリアでは、積雪量が最大となるのはゴールデンウィーク直前の4月下旬で、そのことを初めてお聞きされたスキーヤーは皆さん驚かれます。
急斜面になるとシールとスノーシューでは登行ラインが分かれる |
急斜面になると、シールは斜めにジグザクと登らざるを得ませんが、スノーシューは逆に斜めに登ることが不得手で、シールではとても直登ことができない急斜面でもスノーシューならばある程度直登できます。そのため、急斜面では、スノーシューとシールが同じトレースを登って行くことは不可能です。斜面状況に応じて登ることが可能なルートを見つけながら登ってください。シールの場合は、雪質によってシールのグリップが大きく変化しますので、斜面の勾配だけでなく、雪質を読むこともさらに大切です。
入口急斜面を登りきれば、しばらくはなだらかなコースとなりますので、周りの風景を楽しみながら登って行きましょう...
【ツアーコースU − 1〜6番標識付近】
入口急斜面を登りきった先のツアーコースは、比較的なだらかなルートが続きます。
先行するトレースに沿って登って行くのは普通で、通常ならば、多くて数本のトレースが見られるだけです。特に新雪の降った後は、ラッセルが大変ですから、わざわざトレースのないところを登ることはしないのが普通です。しかし、今日はご覧のようにかなり幅広のトレースとなっています。これを見るだけで、今日の入山者数が非常に多いことがわかります。
1番標識付近はビューポイント | 左:高天ヶ原 右:剣ヶ峰 |
ツアーコースには、下から順番に1番から6番まで標識があります。1番標識付近に到達すると、高天ヶ原と剣ヶ峰が目の前にそびえる光景がいきなり広がり、これを見るだけでも、ツアーコースにやって来た甲斐があります。
ツアーコース各所には、ご覧のようなビューポイントがいくつもありますから、辛くともしっかりと顔を前に上げて、風景を楽しみながら登ってください。綺麗な景色を眺めながら登れば、辛さも吹き飛ぶというものです...
新雪20センチ |
この付近でも20センチ程度の新雪が見られます。この時点ではまだ雪質の変化は見られませんが、春の強い日差しが強烈に差し込んでいますので、気温が低くとも、雪質が変化して滑走しにくい重たい雪に変わってしまいます。厳冬期は終日晴天が続いても、雪質の変化は見られません。この点が春と厳冬期と大きな違いです。これから日が長くなって、上部エリアで午後までしっかり滑り込んでからツアーコースに戻ると、ひどくパックされてしまい、滑走がかなり困難な状況となります。
ですから、位ヶ原山荘に宿泊する場合をのぞけば、日が長くなった春先でも、できる限り早めに下山したほうが良いでしょう。
昨年の3番標識 2013ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2013/03/23) B ↓ |
先週の3番標識 (2014/03/15) ↓ |
今週の3番標識 先週より10センチ増加 昨年より30センチ少ない |
こちらはツアーコース中間付近にある3番標識。左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週よりも10センチ増加して、昨年よりも30センチ少ない状況です。これまでは昨年よりも40センチから1メートルほど積雪量が少ない状況が続いていましたが、その差が少しずつ縮小しつつあります。
振り返れば遠景の山並みが広がる |
ツアーコースを振り返ると、遠景の山並みもくっきりと浮かび上がっています。透明な空気感はまだ冬の名残を残しています。
日中になっても透明感あふれる空気に包まれる |
その透明な空気感は日が高くなっても続いています。足を止めてカメラを構えるスキーヤーの様子があちこちで見られます。
昨年の5番標識 2013ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2013/03/23) B ↓ |
先週の5番標識 (2014/03/15) ↓ |
今週の5番標識 先週より20センチ増加 昨年より20センチ少ない |
こちらはツアーコース上部付近の5番標識。3番標識の画像と同様に、左上は昨年同時期で右上が先週のものです。先週より20センチ増加して、昨年より20センチ少ない状況です。
昨年は、3月上旬に積雪量のピークを迎えましたが、今年はまだ積雪量の増加が続いています。そのため、3月上旬には昨年より1.8メートルも積雪量の少ない状況でしたが、この差が徐々に少なくなっています。
【4年間の積雪状況の推移】 |
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2011年の5番標識 2011ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版Vol.1(2011/03/26) B |
2012年の5番標識 2012ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2012/03/24) B |
2013年の5番標識 2013ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2013/03/23) B |
今週の5番標識 1年おきに多い少ないを繰り返す |
こちらは2011年〜2014年までの5番標識を並べたもの。程度の差はありますが、この4年間においては、1年おきに多い・少ないという状況を繰り返しています。
ノリクラの峰々がさらに間近に |
5番標識を過ぎたあたりに差し掛かると、ノリクラの峰々がさらに大きくなって間近に感じられます。山麓から眺めるノリクラとはまた別の風格を感じるものです。(左:高天ヶ原、右:剣ヶ峰)
ノリクラをゆっくり楽しむ | 5年前からずーっとWebSiteを − 冬のノリクラを初めて体験 |
そんなノリクラをゆっくり楽しんでいるこちらの方。5年前にノリクラにお越しになって以来、ずーっとWebSiteをご覧頂いているとのこと(いつも有難うございます!)。この時期にノリクラにやって来たのは初めてのこととのことで、厳冬期並みの白さに輝くノリクラは別格だと思います。黄砂が降った後と前では、その白さは全く異なるものです。WebSiteで見る光景を直接体験できれば、その感動はなおさらなことです。
この光景をしっかり脳裏に焼き付けて |
高天ヶ原と剣ヶ峰がドーンと構える様子はこの先の位ヶ原のほうがさらに大きく見えることは間違いありませんが、森林限界を超えた位ヶ原では、強風と極寒で厳しい環境であることが多いため、ここでしっかりとこの光景を脳裏に焼き付けておきたいものです。この光景を見ることができれば、「ツアーコースに行ってきました」と、胸をはって自慢してもいいでしょう(笑)。
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昨年の6番標識手前の谷 2013ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.1(2013/03/23) B |
今週の6番標識手前の谷 谷が埋まるの2月以降になってから |
5番標識を過ぎて6番標識付近に差し掛かると、ウェーブ状になった箇所があります。この画像を見る限り、ウェーブになっていることは全くわかりませんが、積雪がまだ少ない1月までは、往来するのに苦労するほどの谷になっています。この谷が埋まるのは2月以降で、春スキーにしかお越しになったこののない方が初めて厳冬期のツアーコースにやってくると、必ず閉口する場所で、特に年末年始ごろはここを通過するだけでかなりの時間を必要とするほどです。
そして、6番標識を過ぎれば、ツアーコース最後の位ヶ原急斜面へと向かいます。
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■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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