ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
Vol.5(2014/04/19) C
【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】
ツアーコース − 位ヶ原急斜面 |
こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンとなってきます。
昨年の位ヶ原急斜面 2013ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.5(2013/04/20〜21) C ↓ |
先週の位ヶ原急斜面 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) C ↓ |
今週の位ヶ原急斜面 先週より20センチ減少、昨年より1.5メートル程度少ない |
位ヶ原急斜面の積雪は、先週より20センチ少なくで、昨年より1.5メートル程度少ない状況です。昨年との差はかなり大きなものですが、2011年や2010年と比べると、大きな違いはありません。
完全に春雪 − シリセードもなかなか滑らない |
12時の気温は6℃、こちらもバーンは完全に春雪です。シリセードで降りてくる登山者も、なかなか思うようにスピードが乗らず滑りにくそうでした。
位ヶ原山荘に向かう地図 |
位ヶ原急斜面の入口には、位ヶ原山荘に向かう地図が掲示されています。
ここで位置方向を確認 |
もちろん、位ヶ原周辺の地図も載っていますので、ここで位置方向を確認されると良いでしょう。
ここを登りきればツアーコースも終り |
適度に緩んだ春雪はシールのグリップに最適。ここまで登れば、森林限界となる位ヶ原も目と鼻の先です。
【位ヶ原】
位ヶ原 |
ツアーコースを登りきった先の位ヶ原。標高約2500メートルの台地は森林限界を超えます。目印となる木々が極端に乏しくなります。先ほどの位ヶ原急斜面を出発する前に、天候の変化を確認して、悪化傾向であれば、これ先の入山はされないようお願いいたします。
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山頂方面(剣ヶ峰、蚕玉岳、朝日岳) | 無数のシュプールが (剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線付近) |
位ヶ原から剣ヶ峰(乗鞍岳山頂)方面を望みます。左から剣ヶ峰、蚕玉岳、朝日岳と続き、それぞれ2つのピークの間の沢を滑り降りることができます。右の画像は剣ヶ峰と蚕玉岳の間の沢。ご覧のように無数のシュプールが綺麗に描かれています。
これまではハードなアイスバーンでとても楽しく滑走できる状況ではありませんでした。気温が高くなってバーンが緩み、稜線からの大滑降が楽しめる時期にさしかかってきました。
山頂付近から滑り降りてきた常連の方 − 緩んだ部分あるがアイゼンは必要 |
そこに滑り降りてきたのが、ノリクラの常連の方。「肩の小屋から朝日岳へ進み、その後、稜線上を剣ヶ峰まで向かいました。稜線付近は南向き斜面はバーンが緩んできたものの、北向き部分はアイゼンが必要ですね。剣ヶ峰〜蚕玉岳稜線からの滑り込みは、上部は綺麗なターンが描けますが、途中にパックされた部分があって、やや難しい状態でした。」とのこと...
山頂からのお土産 − 昨日の降雪は1センチ |
そして、ザックから取り出してくださったのは厚さ1センチほどの雪の塊。「昨日の雨は山頂付近では雪になったんですね〜。ちょっと固まってますが、山頂で取ってきた新雪ですよ。」と、見せてくださいました。
気温が高めだったので、山頂も雨かと思いましたが、さすがに標高3026メートルのノリクラでは雪だったようです。この時期に雪が降ることは珍しいことではなく、積雪にはならなくても降雪という現象だけを見れば、6月に入ってからでも結構見られます。
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摩利支天岳方面 | シリセード |
こちらは摩利支天岳方面。東斜面(通称:すべり台)では、登山の方々がシリセードで降りてきていますね...
地元のガイドさんに連れられて − 三本滝レストハウスから5時間 |
今日は地元のガイドさんに連れられて摩利支天岳まで登られたとのこと。三本滝レストハウスを7時に出発して5時間かかったとのことでした。
どこでシリセードしょうかなぁ〜 |
途中でシリセードで時間を稼ぐため、下山は5時間もかからないと思いますが、それでも、登りの半分以上は必要かと思います。
ハイマツが出現し始める − ライチョウの住処、立ち入らないようお願いします |
また、所々でハイマツが出現し始めました。これからライチョウの住処となる場所ですので、休憩などでハイマツ帯に入り込むことのないようお願いいたします。5月から6月にかけては、縄張り争いの様子が見られ、その後、ツガイの形成や産卵・抱卵へと進む大切な時期です。
【大雪渓下部】
ここからは大雪渓下部の様子をお伝えします。
昨年の大雪渓入口 2013ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.5(2013/04/20〜21) D ↓ |
先週の大雪渓入口 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.4(2014/04/12) C ↓ |
今週の大雪渓入口 先週より10センチ減少、昨年より1.5メートル少ない |
こちらは大雪渓入口付近。積雪は先週より10センチ少なく、昨年よりも1.5メートル近く少ない状態です。この付近は4月下旬ごろまでさらに積雪量が増えますが、昨年と同等の積雪量に達することは考えにくい状況です。
大雪渓入口から北側へ50メートルのところにトイレ小屋と避難小屋があります。
トイレ小屋(冬季閉鎖中) −利用可能は5月下旬以降 |
この時期はどちらの小屋も閉鎖されていて使用できません。利用できるようになるのは、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬以降です。
気温6℃、風がピタリと収まり本当に穏やか |
稜線から滑り降りてくる仲間の方を待つスキーヤーがいらっしゃいました。14時の大雪渓の気温は6℃、先ほどまで吹いていた風がピタリと収まり、本当に穏やかな状況。
太陽の周りに日暈 − 天候悪化の兆し、早めに下山を |
それでも、青空は完全になくなり、太陽の周りには丸い日暈(ひがさ)がかかり始めました。天候が悪くなる傾向を示しています。こんなときはやっぱり早めの下山が必要でしょう。
<編集後記>
「ゴールデンウィークは冬の空気と春の空気が混在する時期」
次週末からゴールデンウィークが始まり、また、乗鞍岳春山バスの運行が始まることは本文の中でも申し上げておりますが、厳冬期とは比べものにならないほどたくさんのスキーヤー・ボーダーの方々でにぎわうようになります。毎年、春山バスの運行を心待ちにしてお越しになる方や、ゴールデンウィークは春スキー三昧で過ごす方など様々です。
色々な方々がお越しになれば行動も様々で、雪崩多発地帯を一斉に横切って登行する姿や、雪崩多発地帯でビデオ撮影しながら滑走を楽しむグループの姿があったりもします。毎年、雪崩多発地帯での雪崩発生を見ている立場からすると、そこを通るだけで ぞーっとするものですが、春になって雪が比較的安定していることもあるのでしょうけど、雪崩多発地帯であるという認識が少ないためか、危険性を感じていないように見受けられます。
春山といいながらも、ゴールデンウィークの大型連休中は、冬と春が混在していて、天候がめまぐるしく変化します。晴れれば初夏のような陽気になるものの、寒気の入り込みでひどく荒れて、毎年、遭難事故も起きています。昨年(2013年)は5月4日〜5日は各地で遭難が多発し、大型連休中の長野県内の遭難は、統計がある1954(昭和29)年以来2番目に多い状況でした。
「春スキーしかしないので冬山装備は持ってないよ〜」とか、「天候が荒れたら入山しないから大丈夫」と、おっしゃる方もいらっしゃいます。しかし、ゴールデンウィークの大型連休中は、一瞬のうちに天候が悪化するケースが毎年発生しています。
富山県の立山では、昨年11月にスキーヤー7名が死亡した雪崩事故の発生を受けて、今年の春シーズンから、登山届提出とビーコン装備が義務化されました。ノリクラでは大型連休中の山岳事故は発生していませんが、十分すぎる注意を持ちながら行動し続けたいと思います。
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