ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.1(2014/05/10) B

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(Update:2014/05/15)

  

【稜線へ】

それでは肩の小屋から稜線に向けて出発します。

 

ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版(別ウインドウ)

肩の小屋より稜線方面の概要は、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版 をご覧ください。なお、ツアーコースの状況については、ノリクラガイドマップ 冬〜春スキー版 をご覧下さい。

 

昨年の肩の小屋〜山頂の登山道入口(同時期の1週間後)
2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) C
今週の肩の小屋から山頂方面
=登山道どころかハイマツも完全に雪の中=

昨年同時期は悪天候のため、山頂方面の撮影はできませんでした。そのため、1週間後の画像と比較しますが、明らかに今年のほうが積雪量が多いことがわかります。ツアーコースなどの山麓中間部は昨年よりも積雪量が少ない傾向ですが、肩の小屋より上部は昨年よりも多い状態となっています。

 

全面積雪のため、稜線へ直登できる

全面積雪に覆われていますので、ハイマツや夏道(登山道)などを意識することなく、稜線に向かってほぼ直線に登って行くことが可能です。

 

昨日の降雪は10センチ 新雪が硬く締まってアイゼン必須

昨日の降雪が10センチほど降り積もり、さらにそれが硬く締まっています。そのため、アイゼンが必要なバーン状況となっています。

 

入山者が多ければトレースができるものの、必ずトレースができると過信してはいけません

今回もたくさんの方が稜線を目指して登りましたので、つぼ足のトレース(踏み跡)ができていて、アイゼンがなくても踏み跡を利用して登ることは可能でしたが、先行者のトレースをアテにした行動計画は危険ですから、山麓でどんなに暑い日でも、稜線・山頂を目指す場合はアイゼン携行をお願いいたします。

今回は表面から数センチ程度の硬い部分をキックすると下地の柔らかい部分が現れて、ツボ足のトレースができましたが、本当にガチガチのバーンになると、アイゼンの歯の跡しか残らない状態となり、どんなにたくさんの方が登っても、トレースがほとんど残らない状態となり、先行者の踏み跡を利用して登ることはできません。

 

【稜線】

こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)に続き、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています。

 

遠方に穂高連峰を望む 稜線からの滑走は例年6月中旬〜下旬まで可能
(登山道の雪解けが完全に終わるのは7月上旬)

稜線の気温は2℃。午前中はかなり強い風が吹いていたものの午後になって弱まって来ました。遠方で白く雪を被るのは穂高の山並み。さらには浅間山や八ヶ岳などが一望できるロケーションが広がります。

稜線からの滑走可能時期は、例年6月中旬から下旬までです。右の画像では大雪渓エリアに向かって滑り降りていますが、その頃になると大雪渓に流入する箇所が途切れてしまい、滑り降りることができなくなります。

また、右の画像の斜面には登山道の九十九折れが埋まっていて、こちらの雪解けが終わるのは例年7月上旬ごろです。また、肩の小屋から山頂までの登山道区間で、この箇所が最も雪解けが遅いところです。したがって、山頂登山にお越しの方は、7月上旬まではアイゼンの携行が必要です。

 

昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線(同時期の1週間後)
2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) C
今週の蚕玉岳〜朝日岳稜線
過去5年間で最も多く、2008年並み

こちらが稜線部分。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。昨年よりも明らかに積雪量が多いことがわかります。過去に遡って見ても、今年は2009年までの5年間の中で最も多く、2008年並みの状況です。

 

昨年の権現ヶ池(同時期の1週間後)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2013/05/15・18・19) C
今週の権現ヶ池
過去5年間で最も多く、2008年並み
昨年の朝日岳(同時期の1週間後)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2013/05/15・18・19) C
今週の朝日岳
過去5年間で最も多く、2008年並み

上段は御岳の二ノ池に次いで国内二番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)で、下段は朝日岳ですが、こちらも2009年までの5年間で最も多く、2008年並みの積雪状態です。

最も、昨日の降雪で一時的に冠雪している箇所もあるかと思いますので、今後の推移を注視しなければなりません。

 

春山バス下山の場合、稜線滑走開始は14時30分までに

今日は乗鞍岳春山バスが第2便からの運行となり、若干出発が遅れましたが、14時前には大半の方が稜線まで到達されていました。現時点ではツアーコースがかろうじて下山滑走可能なため、春山バス下り便を利用する必要がありませんが、今後、ツアーコースでの下山滑走ができなくなりますので、位ヶ原山荘から春山バス下り便を利用する事となります。そのため、運行時間を念頭に置いた行動が必要となります。

春山バスの下り最終便は、位ヶ原山荘を15時34分に出発しますので、少なくとも1時間前の14時30分ごろには下山滑走されることをオススメします。

 

そして、隣の蚕玉岳へもう少し足を伸ばします。

 

【剣ヶ峰〜蚕玉岳】

こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。

 

昨年の蚕玉岳山頂付近(同時期の1週間後)
2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) D
今週の蚕玉岳山頂付近
例年よりも積雪量が多い

昨年同時期は悪天候のため、撮影ができませんでしたので、1週間後の画像と比較します。そのため、若干の誤差があると思いますが、明らかに今年の方が積雪量が多いことがわかります。蚕玉岳山頂を示す標柱は、昨日の降雪で蝦の尻尾が着雪していて、周辺の岩場もほぼ完全に雪に覆われています。

例年なら、左の画像のように標柱周辺は雪解けが進んでいますが、2009年と2008年に関しては、今年と同じように ほぼ完全に雪に覆われていました。

 

天候に問題なくとも風向きなどにはいつも注意を払って...

いつもは岐阜側から長野側へと西風が流れているものの、今日は逆の東風が吹いています。それが天候にどのように影響しているか推測できませんが、いつもと異なっていることだけは事実です。

今日のように全く天候に問題のないときでも、風の流れ方などには常に感じ取ることが大切かと思います。

 

ほぼ全面で硬いバーン

稜線直下は柔らかい部分があるものの、ほぼ全面で硬いバーン状態です。

 

新雪が硬いのは強風の影響から

厳冬期は稜線に雪庇(せっぴ)が見られますが、この時期にはもうありません。昨日の新雪が硬く締まっているのは、おそらく強風の影響を受けたためと考えられます。

 

昨年の位ヶ原(同時期の1週間後)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2013/05/15・18・19) D
今週の位ヶ原
ほぼ完全に冠雪、例年よりも積雪量は多い
昨年の剣ヶ峰直下の岩(同時期の1週間後)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2013/05/15・18・19) D
今週の剣ヶ峰直下の岩
例年よりも積雪量は多い

上段は稜線から滑り降りたところから見る位ヶ原。例年なら、左の画像のようにハイマツ帯が唐草模様のように見られるものの、今年はほぼ完全に冠雪しています。2008年や2009年も積雪量の多いシーズンでしたがそれを上回る状況で、近年まれに見る積雪量の多さです。また、下段の剣ヶ峰直下の岩付近でも、同様の傾向を示しています。

なお、上段の位ヶ原では除雪が進められている様子が写っています。
昨年は5号カーブの先までしか進んでませんが、今年は大雪渓駐車場の数百メートル手前の4号カーブまで除雪の先端が進んでいます。昨年よりも早いペースとなっていますが、これでほぼ例年並の進捗度です。

 

この付近からバーンが緩んで滑りやすくなる

稜線から県道乗鞍岳線までの区間の約3分の1程度まで滑り降りると、ようやくバーンが緩み始めて、滑走しやすい状況となってきました。

 

昨年の3分の1地点(同時期の1週間後)
2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2013/05/15・18・19) D
今週の3分の1地点
ハイマツが一部で見えるに過ぎない

 そして、この付近からは、左の昨年画像では岩場やハイマツ帯が見え隠れしていますが、今年は右の画像のようにハイマツがごく一部で見えているに過ぎない状況。

 

稜線から県道乗鞍岳線まで − 約1kmのロングラン

稜線から県道乗鞍岳線と交差する地点まで約1kmのロングランですが、その車道はまだ雪に閉ざされていています。

 

4号カーブの除雪状況 − 5月末から春山バスが大雪渓まで延長運行予定

しかし、除雪は滑り降りた箇所のすぐ近くまで到達してます。こちらは大雪渓駐車場より数百メートル手前の4号カーブ地点。除雪の進捗状況としてはほぼ例年と同じと考えられます。5月末には乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行が予定されますが、その予定は除雪の進捗次第となっています。

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■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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