ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2014/05/15・17・18) D
【稜線へ】
それでは肩の小屋から稜線に向けて出発します。
肩の小屋より稜線方面の概要は、ノリクラガイドマップ 春〜夏スキー 山頂版 をご覧ください。なお、ツアーコースの状況については、ノリクラガイドマップ 冬〜春スキー版 をご覧下さい。
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昨年の肩の小屋〜山頂の登山道方面 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) C |
今週の肩の小屋〜山頂の登山道方面 ハイマツ帯がほとんど現れていない |
先週も申し上げましたが、ツアーコースなどの山麓中間部は昨年よりも積雪量が少ない傾向ですが、肩の小屋より上部は昨年よりも多い状態となっています。左の画像のように昨年は登山道の位置がわかる状況まで雪解けが進んでいるものの、右の今週の画像では、ハイマツ帯もほとんど現れていない状況です。
また、例年と比べても、今年の積雪量はやや多い状況です。
昨日の新雪が硬く締まったバーン | 午後になって緩んできてシールでも登行が可能に |
バーン状況は、先週と良く似た状況を見せていて、前日に降雪があって、その新雪が硬く締まった状態となっています。ただ、先週と異なり、午後になってバーンが緩み始めて、シールでもほぼ問題なく登ることができる状況となっています。
例年、5月に入れば、登りに関してはアイゼンの出番が少なくなり、もっぱら下りのためのアイテムとなってきますが、今年は冷え込んだ日が多いこともあって、登りも下りもアイゼンが必要な状況です。そのため、スキーヤー・ボーダーの方々も登りで必要ですから、必ずアイゼンを携行してください。
遠景の山並みも厳冬期並みの白さに雪化粧 |
「槍(槍ヶ岳)が見えてるよ!」と、指差す先は、純白に輝く穂高方面。ノリクラだけでなく、3000メートル級の高山は、すべて昨日の降雪で厳冬意並みの白さに戻っています。
剣ヶ峰山頂、行ってきました!! | シリセードで直滑降 |
剣ヶ峰の山頂まで到達して、下山途中のお二人。「山頂の鳥居や岩は蝦の尻尾ができてました。御岳はばっちり見えたものの、笠ヶ岳が雲に隠れていて、ちょっと残念...」と、おっしゃっています。遠景の山並みには雲が横たわっていて、その雲間から山々を見る状況です。それでも、今日は真冬並みにくっきりとした遠景の様子が確認できて、空気が霞んでしまうこの時期としては、貴重な一日と言えるでしょう。
「それでは...」と、再び歩いて下山すると思いきや、この急斜面をシリセードで...スキーよりも早いんじゃないかと思うほどですが、雪が緩んで来たからこんなこともできるんでしょう。
場所によって緩んでいたりアイスバーンだったり |
同じように見えるバーンでも、場所によってさまざまで、緩んで滑りやすいところがあれば、少し離れるとアイスバーンに近いほど硬いところもあります。ゲレンデのように一様でないところがバックカントリーにはつきものです。
柔らかそうな部分を選んで登る |
どこが硬くてどこが柔らかいかを良く見て、柔らかそうな部分を選びながら登って行きます。
【稜線】
こちらは蚕玉岳(こだまだけ)〜朝日岳の稜線。画像の左側が蚕玉岳山頂(標高2979メートル)に続き、画像右側が朝日岳山頂(標高2975メートル)に続いています。
気温2℃、西からの冷たい風が吹き抜ける |
稜線の気温はマイナス2℃、西からの冷たい強風が吹き抜けています。耐えられないほどではないものの、長くは滞在できない状況です。
ピッケル&アイゼンとしっかりした装備 | 「早く下りて、お尻滑りで遊ぼうよ!」 |
稜線からの眺めを楽しむ親子のお二人。子供さんもピッケルにアイゼンと本格的な装備です。
「朝は天気が悪かったでしょ〜。だから、バスの中ではちょっとご機嫌斜めだったんですよ。でも、稜線くらいまで登ってきたら、濃霧が消えて視界が広がってきれいな青空になったら、元気になっちゃって...」と、子供さんの様子を語るお母さんもうれしそうです。
そして、子供さんは「早く肩の小屋まで降りようよ!そこでお尻滑りで遊ぼうよ!!」 穏やかとはいえない気象状況の中ですが、ほほえましいヒトコマでした...
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昨年の蚕玉岳〜朝日岳稜線 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) C |
今週の蚕玉岳〜朝日岳稜線 過去5年間で最も多い |
こちらが稜線部分。手前が朝日岳方面で、画像に写るなだらかなピークが蚕玉岳、それに続く奥のピークが主峰の剣ヶ峰です。昨年よりも明らかに積雪量が多いことがわかります。過去に遡って見ても、今年は2009年までの5年間の中で最も多い状態です。
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昨年の権現ヶ池 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) C |
今週の権現ヶ池 過去5年間で最も多い |
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昨年の朝日岳(同時期の1週間後) 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) C |
今週の朝日岳 過去5年間で最も多い |
上段は御岳の二ノ池に次いで国内二番目の標高に位置する権現ヶ池(ごんげんがいけ、標高2845m)で下段は朝日岳です。権現ヶ池は先週とほとんど変化が見られず、2009年までの5年間で最も多い状態が続いています。また、朝日岳は例年とそれほど大きな違いは見られませんが、やはり過去5年間でもっとも多い状態です。
【剣ヶ峰〜蚕玉岳】
こちらは剣ヶ峰〜蚕玉岳(こだまだけ)稜線。
昨年の蚕玉岳山頂付近 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) D ↓ |
先週の蚕玉岳山頂付近 ノリクラ 雪渓カレンダーVol.1(2014/05/10) B ↓ |
今週の蚕玉岳山頂付近 過去5年間でもっとも多い積雪量 |
蚕玉岳山頂は、先週とほとんど変化が見られず、先週と同様、積雪量は過去5年間でもっとも多い状態が続いています。
激しく雲が流れる |
蚕玉岳山頂を乗り越えて、岐阜県側から長野県側へと激しく雲が流れて行きます。
雲が抜けるとすっきりとクリアな視界 |
雲に飲み込まれてしまうと足元すら見えない状況ですが、雲が抜けるとすっきりとクリアな視界が開けます。
稜線直下はエッジが食い込みにくい硬い状態 |
稜線直下は午後になっても硬いバーンです。画像では柔らかそうに見えますが、昨日の新雪が硬く凍っていて、エッジが食い込みにくい状態です。
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昨年の位ヶ原 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) D |
今週の位ヶ原 近年まれに見る積雪量の多さ |
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昨年の剣ヶ峰直下の岩 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) D |
今週の剣ヶ峰直下の岩 2010年に次ぐ積雪量の多さ |
上段は稜線から滑り降りたところから見る位ヶ原。例年なら、左の画像のようにハイマツ帯が唐草模様のように見られるものの、今年はほぼ完全に冠雪しています。2008年や2009年も積雪量の多いシーズンでしたがそれを上回る状況で、近年まれに見る積雪量の多さです。
下段の剣ヶ峰直下の岩付近は、2010年に次いで多く、2009年とほぼ同じか若干少ない状況で、例年よりも多い状態が見られます。
滑りはじめから3分の1地点 − ようやくバーンが緩み始める |
稜線から県道乗鞍岳線までの区間の約3分の1程度まで滑り降りると、ようやくバーンが緩み始めて、滑走しやすい状況となってきました。
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昨年の3分の1地点 2013ノリクラ 雪渓カレンダーVol.2(2013/05/15・18・19) D |
今週の3分の1地点 ハイマツがようやく見られるようになってきた |
この付近からは、左の昨年画像では岩場やハイマツ帯が見え隠れしていますが、今年は右の画像のようにハイマツがごく一部で見えているに過ぎない状況。それでも先週から比べると滑走エリアが判別できるレベルまでハイマツが見られるようになって来ました。
降雪・低温の日が多く、雪解けが抑えられている |
大型連休以降、気温の低い日や降雪に見舞われた日が多かったため、雪解けがかなり抑えられている状況です。
県道乗鞍岳線 |
稜線から約1kmほど滑り降りると県道乗鞍岳線と合流します。先週はこの地点まで除雪は実施されていませんでしたが、大雪渓駐車場の先、3号カーブ手前まで除雪が進んでいます。
昨日の降雪で吹き溜まりが | 吹き溜まりのため、高さが測定できません |
また、昨日の降雪で吹き溜まりができていて、深いところでは1メートル近い状態になっています。例年、積雪量(切り通しの高さ)を計測しますが、吹き溜まりのため、地表からの高さを計測することができません。
【高さ11メートルの雪壁− 春山バスの大雪渓延長運行に向けて道路除雪進行中】
位ヶ原山荘付近の雪景色 |
さて、ゴールデンウィーク大型連休初日の4月26日(土)から運行を開始した乗鞍岳春山バスは、現在、標高2350メートルの位ヶ原山荘までの運行となっています。
また、春山バスの運行開始後は、位ヶ原山荘から3.5km先の標高2600メートルの大雪渓駐車場に向けて除雪が進められ、除雪が完了されると、春山バスは大雪渓まで延長運行されます。(例年5月下旬から6月上旬)
11号カーブ付近の雪の壁(位ヶ原山荘から1.5km) =位ヶ原山荘より先は通行禁止(大雪渓方面は屋根板へ)= |
現在、除雪が進められている位ヶ原山荘から先は積雪量が多く、切り立った雪の壁となっています。こちらは位ヶ原山荘から1.5km先の位ヶ原11号カーブ付近。
11号カーブや後ほど登場する4号カーブ・大雪渓駐車場の位置など、県道乗鞍岳線カーブ番号は、ノリクラガイドマップ 県道乗鞍岳線カーブ番号版 をご覧ください。
なお、位ヶ原山荘から先の除雪区間は、作業の安全確保ため、立ち入り禁止となっています。付近を通行なさらないようお願いいたします。位ヶ原山荘から大雪渓方面へは、4ページ目のように屋根板から登るようお願いいたします。
11号カーブ付近の除雪
− ロータリー車が勢い良く ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版 Vol.5(2014/04/24〜27) D) |
この付近の除雪は4月下旬に行われていました(参考:11号カーブの除雪の様子 → ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版 Vol.5(2014/04/24〜27) D)。ご覧のとおり、ロータリー車で壁の外へ雪の噴き出しますが、そのロータリー車が隠れてしまうほどの高い雪の壁です。
雪の壁が低いところでは広大な位ヶ原の雪原が |
雪の壁があまりにも高く、壁に阻まれて周囲の光景が全く見えない状態ですが、全区間が高い雪壁ではなく、ご覧のようにロケーションが開けたところもあって、広大な雪原の広がる位ヶ原の様子をうかがうことができます。
大雪渓手前の4号カーブ − 最も雪壁の高い箇所 |
そして、県道乗鞍岳線の中で雪の壁がもっとも高いのは、大雪渓駐車場に到着する数百メートル手前の4号カーブ付近。
高さ最大11メートル − 5月下旬からは春山バスの大雪渓延長運行が予定 |
現在、最大11メートルの高さを誇っています。今後、春山バスが大雪渓駐車場まで延長運行されれば、このような光景が車窓に広がってきます。5月下旬の延長運行開始が待ち遠しいところです。
先ほども申し上げましたが、位ヶ原山荘から上部では、連日除雪作業が実施されています。
作業の安全確保のため、位ヶ原山荘から先の県道乗鞍岳線は、一般の方の立ち入りは禁止されています。春山バスが延長運行されるまでは、しばらくお待ち下さい。
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■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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