ノリクラ 雪渓カレンダー

Vol.12(2014/07/26〜27) F

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(Update:2014/07/31)

 

【畳平、お花畑】

畳平バスターミナル

それでは、畳平の様子をご覧ください。

 

シャトルバスを待つ列(平湯温泉・ほおのき平行き)

こちらは取材一日目の7月26日(土)、夕方15時ごろのバスターミナルの様子で下山の乗客がピークを迎える時間帯です。畳平からは長野県側の乗鞍高原行きのシャトルバスと、岐阜県側の平湯温泉・ほおのき平行きのシャトルバスの2路線が発車します。

列ができているのは平湯温泉・ほおのき平行きのシャトルバス乗り場。乗鞍高原行きよりも便数が多いこともあって、いつもなら長い列ができないものの、今日はご覧のような状況に...

 

「乗れるかどうかわからんガヤ〜」 「先日初めて雷鳥の親子を見ました!」

とても1台では乗り切れない人数でしたが、定刻間際に2台目のバスが到着して、こちらのスキーヤーの方々も何とか乗車できたようです。「先日、初めて雷鳥の親子を見ました!」と、おっしゃる右の方。もう何年もノリクラに通ってようやく見つけることができたようです。

5〜6月のツガイ形成の時期は頻繁に見ることができるものの、それ以降はなかなか人の目に触れる機会は少なくなります。

 

さて、本題のお花畑の様子をご覧ください。

 

入口付近

入口付近もようやく見頃を迎えました。

 

ハクサンイチゲ(入口付近) ミヤマキンバイ(入口付近)

入口付近に数多く咲いているのはハクサンイチゲとミヤマキンバイです。例年より若干遅い状況。

 

周回コース分岐点

畳平のお花畑は、雪解けの関係から奥のほうから順次開花の時期を迎えます。そのため、この先のほうが見頃を迎えた高山植物が増えてゆきます。

 

ミヤマキンポウゲ(周回コース中間付近)

周回コースの中間付近。先週から今週にかけて、ミヤマキンポウゲが見頃を迎えて来ました。

 

ハクサンイチゲがお花畑全面で見頃に

一面を白く埋め尽くすハクサンイチゲ。畳平のお花畑を象徴するような高山植物で、ハクサンイチゲのためのお花畑といっても良いほどの群落です。

 

そして、お花畑の一番奥、周回コースの折り返し地点です。

 

ミヤマダイコンソウ(周回コース折り返し地点)

ここから先はハクサンイチゲ以外の高山植物も増えてきます。ただ、ハクサンイチゲのような大きな群落は、あまり見られないので、目を凝らしてよく観察してください。また、黄色い高山植物はたくさんありますが、こちらはミヤマダイコンソウ。葉の形も見分けのポイントです。

 

ハクサンイチゲがピークを過ぎ、ミヤマクロユリが見頃(周回コース折り返し地点)

この付近ではハクサンイチゲがすでに見頃のピークを過ぎています。それに置き換わるように群生しているのがミヤマクロユリ。

 

雄しべだけのミヤマクロユリ 雄しべ・雌しべ共にあるミヤマクロユリ

良く見ると、左の画像では、黄色の雄しべだけが、右の画像では黄色の雄しべの中心に緑の雌しべが見られます。ミヤマクロユリは何年もかけて成長し、ようやく開花する状況に達すると、最初は雄しべだけの花を咲かせ、さらに成長が進んでようやく両性花となります。

 

ヨツバシオガマ キバナノコマノツメ

そのほかにもヨツバシオガマやキバナノコマノツメ。カタカナで書くと舌を噛みそうなところですが、「四葉塩釜」、「黄花の駒の爪」と漢字で書くと読みやすいですよね。

 

キバナノコマノツメはミヤマキンバイよりも小さな花

それぞれ名前には由来がありますから、インターネットなどで検索してみてください。さてキバナノコマノツメですが、おそらく、図鑑やパンフレットなどでは花が良くわかるように拡大して登場することが多いものですが、実際にはかなり小さいです。ミヤマキンバイよりも小さいと考えてもらったほうが良いでしょう。

畳平のお花畑は、高山植物のハイシーズンを迎えています。8月中旬位までは色々な高山植物が楽しめ、それ以降も、まだ数多くの高山植物が見られます。

 

【昨年の今ごろは?】

2013ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.12(2013/07/27〜28)

取材一日目の7月27日(土)は、猫の目のようにめまぐるしく激変する天候の一日でした。夜明けごろにはきれいな青空が広がったものの、しばらくするといきなり雷鳴と共に土砂降りが1時間ほど続き、お昼ごろにはモクモクと湧き上がる入道雲の夏空が広がりました。このまま、天候は回復するかと思ったものの、夏空も1時間ほどしか持たず、午後からは山頂付近に雲が流れ込み、夕方には再び土砂降り。雨の中に霙が混じるほどの状況でした。それでも、今日の山頂方面はいつも以上の賑わいぶりで、畳平駐車場も観光バスで満車状態でした。

取材二日目の7月28日(日)は、雲間に青空がのぞく朝を迎えます。お越しのマイカーは昨日よりも多く、観光センター前駐車場は5時で70台、6時で90台となり、9時前には満車となりました。そして、ヒルクライマーの方もかなりたくさんお越しになり、10時30分時点の三本滝ゲート通過台数は200台にものぼり、今季最高で、おそらく一年を通してもこれだけヒルクライマーがたくさんお越しになる状況はあまり見られないと思います。一時的に日差しがさす状況もあったものの、13時にはにわか雨に見舞われ、気温が10℃まで低下して冷たい風が吹きぬけます。その後は雨が断続的に降る状況が続き、安定しない天候の一日でした。

 

<編集後記>

「ノリクラの多様性...」

7月最後の週末を送り、次週はもう8月に入ります。ノリクラ雪渓カレンダーの正式版は今回でVol.12までつづることができました。例年、10月末までのグリーンシーズン期間中にVol.24からVol.25まで連載いたしますので、ちょうど、折り返しの中間地点までやってきたこととなります。

これまでの前半は春山のバックカントリースキーの世界から初夏の様子をお伝えしてきましたが、後半は本格的な夏山シーズンを迎えて、サマースキー、ヒルクライム、登山など、ノリクラにお越しになる方々の様子も多様化し、また、グリーンシーズン終盤には秋の紅葉へと移り変わって行きます。

ノリクラにお越しになる方の大半は、サマースキーならサマースキーだけ。ヒルクライムならヒルクライムだけといった特定の目的をもってお越しになる方が大半です。それぞれ目的が異なると、どの要素が重要なのかという点は異なってきます。しかし、26日(土)のような晴天に恵まれれば、どのジャンルの方にも満足できる光景にめぐり合えたものと考えられます。

ノリクラは色々な方が楽しめる山であるところが特徴だと感じます。特にサマースキーとヒルクライムに関しては「ノリクラでなければならない」と、感じている方も多いことかと思いますし、一般観光客が本格的な登山への入口という点でも、ノリクラは大きな役割があり、色々なジャンルの方が楽しめるという多様性と、一つのジャンルにおいても奥深く楽しめるといった多様性があり、そんな複合的な多様性が大きな特徴と考えられます。

 

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