ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2014/08/09〜11) @
先週は台風12号の影響で、天候の安定しない週末でしたが、今週は台風11号の影響から生憎の天候の週末となりました。7月末までにすでに12個の台風が発生するという事態が例年にないことで、また、各地では局所的に甚大な被害を及ぼしている点も注意しなければなりません。いつどこで大きな被害になるのか予想が付かない状況です。
8月9日(土)は、終日濃霧で午後から雨の降り方が強くなる天候でした。台風11号の目立った影響は夕方になってからで、午後になってもヒルクライマーが登ってくる様子も見られたほどです。しかし、人出としては、7月からの夏山シーズン始まって以来の少ない週末で、今日当たりからお盆の長期休暇に突入した方も多いはずですが、そんな雰囲気は全く感じられなかった寂しい一日でした。
8月10日(日)は、夜明け前から再び降り出した雨の朝を迎えます。人出は昨日以上に少ない状況ですが、8時ごろになって雲間から青空が広がり、夏スキーヤーやヒルクライマーの方も少しずつ動きが見られるようになります。ただ、台風11号の影響は次第に近づいていて、10時過ぎの大雪渓は濃霧と強風がだんだん激しさを増す状況。朝一番からお越しになった大雪渓のスキーヤーも足元をさらわれるほどの激しい暴風のため、午前中で撤退。午後はさらに雨が強くなり、場所によっては道路が冠水するほどで、岐阜県側の乗鞍スカイラインは15時10分に、長野県側の県道乗鞍岳線は17時15分に雨量規制通行止めとなりました。
8月11日(月)は、台風が日本海に過ぎ去ったものの、雨と風が続く朝を迎えます。その後雨は収まって、青空が広がる状況ですが、時折、霧雨が降って安定しない天候が続きます。乗鞍スカイラインは、規制値を大幅に超える累積雨量が観測され、少なくとも午前中の開通は出来ない状況で、県道乗鞍岳線は道路パトロール実施後に開通が予定されています。また、三本滝ゲート周辺では、通行止めを知らずにやってきたヒルクライマーは驚きを隠せない様子が見られ、山頂登山から三本滝散策に予定を変更した方が続々とお越しになっています。ぬかるんだ三本滝散策路を歩いて向かった先では、昨日の大雨で増水した三本滝は豪快な勢いが見られ、何度もカメラに収める方々の様子が続きます。そして、道路パトロールは14時40分に開始され、県道乗鞍岳線の通行止めは15時10分に解除されました。また、乗鞍スカイラインは15時に雨量規制が解除されたものの、法面崩落により、引き続き通行止めが継続され、復旧には時間がかかる状況となってしまいました。
<乗鞍岳登山道(大雪渓・稜線付近)の積雪量>
先週まで大雪渓〜肩の小屋の登山道で積雪区間が残っていましたが、今週は雪解けが完了しました。このため、乗鞍岳登山道で積雪区間は全くありません。なお、畳平から肩の小屋への専用道の一部で道路工事が実施され、歩行者用迂回路が設けられていますので、現場の指示に従って足元に注意して通行ください。そのほか、登山に支障となる区間はありません。
【8月9日(土)、観光センター前駐車場】
観光センター前駐車場 |
早朝6時の観光センター前駐車場。昨日の雨は収まって曇り空の朝を迎えます。
台風接近で、閑散とした状況 |
台風11号が接近・上陸による暴風雨の恐れがあり、テレビやラジオでは、朝一番から台風情報が絶えず報じられています。そのため、観光センター前駐車場はご覧の通り...6時の時点で20台しかありません。7月中下旬からは平日でも満車になってしまうほどの人出があるものの、今日は平日以下の状況で、今シーズン一番寂しい週末となりました。
上部は濃霧や風もなく、乗鞍スカイラインは自転車での通行も可能な状況 |
どんよりとした雲に覆われているものの、雲間から山頂方面が垣間見られる状況。畳平では曇り空であるものの、濃霧や風はなく、乗鞍スカイラインは自転車での通行も可能な状況。山麓からみる低く垂れ込めた天気からは、上部で天候がさほど悪くない状況は想像できないところです。
シャトルバス始発便 |
岐阜県側のシャトルバスは雨天時のBダイヤ運行ですが、観光センターを出発する長野県側のシャトルバスはAダイヤでの運行です。過去の状況を見ると、長野県側ではBダイヤで運行されたことはなく、よほどのことがない限り、Aダイヤで運行されることが大半ではないかと考えられます。
観光センター売店 | 全部、売れてくれるかな〜 |
人出が少なくても、今日もいつものように観光センターの売店が始まります。おにぎりの陳列している女将さんは「(想像以上に人出が少なく)今日はちょっと作りすぎちゃったかしら...」と、少し苦笑い...
人出は天候に大きく左右され、作りすぎてもダメで、品切れをおこしたらお客様にご迷惑をおかけすることになり、なかなか難しいところです。
台風の影響はまだ感じられない |
周囲の山にも雲がかかり始める状況ですが、雨がパラパラと少し降る程度で、ほぼ無風...台風が近づいているという雰囲気は全く感じられません。
ご来光バス |
しばらくすると、ご来光バスが戻ってきました。
今日は予想外に綺麗な日の出でした |
ご来光の状況をお聞きすると、「良かったですよ!雲海が朝焼けで綺麗に染まって...今日行ったお客さんはラッキーですよ!」とのこと。山麓はどんよりとした雲の下、つまり雲海の下だったわけで、山頂付近の様子など想像にも及ばない状況です。
こんな番狂わせがあるからこそ、とりあえず、現地まで行ってみないとわからないのが、ノリクラの天候といえるかもしれません。
【観光センターから大雪渓へ、ヒルクライムと沿道の風景 T】
<それでは大雪渓までの県道乗鞍岳線の沿道の様子をご覧ください。
すずらん橋バス停の向かい側にはゲレンデ |
観光センターから約2km進んだところのすずらん橋バス停。ウインターシーズンはスキー場のメインの駐車場となり、Mt乗鞍の玄関口といっても良い場所です。右の画像はチケットセンター横のキッズゲレンデ。
アラゲハンゴンソウ |
こちらには綺麗な黄色の花が咲いています。アラゲハンゴンソウです。
筒状花が暗褐色−オオハンゴンソウと共に駆除対象の外来種 | 茎にびっしりと毛−「アラゲ...」の由来 |
中心の筒状花が褐色で、茎に毛が見られるのが特徴です。良く似たオオハンゴンソウは中心の筒状花が緑色ですから、黄色の舌状花は良く似ていても見分けがつくはずです。アラゲハンゴンソウとオオハンゴンソウは繁殖力が旺盛で、在来種の生育に影響が見られ、駆除の対象とされています。特にオオハンゴンソウは、生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害の恐れがある「特定外来種」に指定されています。
アカツメグサ、葉の白斑が特徴 −こちらも外来種 |
そして、こちらはアカツメクサ。明治時代、欧州からの荷物の梱包材に使用されたものです。白いものはシロツメグサと呼ばれ、クローバーといったらピンとくるのではないでしょうか?葉の白斑が特徴的ですからすぐにわかるはずです。欧州からの荷物と一緒に入ってきた植物ということは、先ほどのオオハンゴンソウと同様にこちらも外来種。しかし、生態系への影響が高くないため、駆除の対象にはなっていないようです。
実際、このような外来種は数多くあって、ノリクラのような山奥でも普通に見られるわけです。
コオニユリ |
そして、ひときわ目立つのはコオニユリ。まだまだつぼみがたくさんあって、しばらくは楽しめるようです。
さて、3週間前にも同じような花を紹介しました。こちらはクルマユリ。
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コオニユリの葉は普通のユリと同じつき方 | クルマユリは葉が輪生 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.11(2014/07/19〜20) A |
どこがちがうのかというと、葉のつき方を見れは一目瞭然です。コオニユリは多くのユリと同じように交互につくのに対して、クルマユリは輪生です。また、オニユリとコオニユリの違いに至っては茎に紫色の斑点がなく、また、ムカゴがないためコオニユリとしました。
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