ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2014/08/09〜11) E
【8月10日(日)、台風11号の影響が強く受けた一日】
まだ台風の影響はなく、両県とも通行可能 | 一時、青空も(シャトルバス8時便) |
取材2日目の8月10日(日)は、台風11号の影響でかなりひどい一日でした。実際には1日目の夕方から風雨が強くなってきたものの、夜になるとほとんど雨は収まり、夜明け前の4時ごろから降り始めて、上空の雲が足早に南から北へと流れて行きます。そんな状況ですが、夜間の雨量が少なかったことから、乗鞍スカイラインは通常通り通行可能な状況で、乗鞍高原を出発するシャトルバスも通常通りの運行が始まりました。
そして、8時ごろになると、雲間に青空がのぞく状況で、「もしかすると台風の進路がずれたのでは?」と、都合よく考えてしまうのは人間の性...ボーダーの方々が急いでシャトルバスに乗り込みます。
その後は、土砂降りに(9時30分) |
しかし、そんな淡い期待も、1時間もしないうちに打ち砕かれてしまいます。9時30分には土砂降り状態に...ヒルクライムに出発した方も何人かいらっしゃいましたが、土砂降りになって大半の方が引き返されたようです。
大雪渓は濃霧と強風 − 急いで下山! |
10時の大雪渓は雨はほとんどないといっても良い程度の降り方ですが、濃霧と強風は台風が迫ってきていることを十分に感じさせる状況。大雪渓のスキーヤーも天候の更なる悪化を懸念して早急に下山準備です。
お昼近くになると猛烈な暴風 |
11時の大雪渓は下から吹き上げる強烈な暴風にさらされています。ジュニアを指導するコーチもメンバーのモチベーションを切らさないように声をかけ続けます。
突然の突風で足元をさらわれる | 大粒の雨と風が否応なく顔面を直撃 |
突風で足元からさらわれ状況に耐え凌ぎますが、下から吹き上げ猛烈な風に、ビニール合羽ではなす術がありません。そして、滑りだす瞬間は否応なく大粒の雨が顔面を否応なく攻撃し続け、耐えるしか方法がありません。
もうこれ以上は無理 − お昼前に撤退 |
何とか頑張ってやってきましたが、もうこれ以上は無理...この環境の中を練習し続けられたことが今日の大きな成果と言えるかもしれません。
激しく流れ落ちる | もう誰もいません |
午後になると、さらに天候は悪化...台風が近づいていますので、天候が良くなる方向に状況がぶれることはありません。普段は小さなせせらぎの大雪渓エリアの沢も激しい流れが続きます。
大雨で道路は冠水状態へ |
14時過ぎになるとそれまでの暴風に加えて雨量も多くなり、道路は所々で冠水状態。これは上部エリアよりも摩利支天付近など山麓のほうがひどい状態となります。
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午前中は綺麗な滝 | 午後からは激しい濁流に |
こちらはかもしかゲレンデ上の滝。普段は枯れていますが、この大雨で勢いの良い流れが復活しています。左の画像は午前中の様子。濁りのない綺麗な流れですが、右の夕方の流れを見ると雨量も激しく、にごった濁流となっています。
道路は川と化す 夕方から両県とも通行止めへ |
そして、法面からあふれた流れが道路を川と化しています。このため、県道乗鞍岳線は雨量事前規制のため、17時15分から休暇村ゲート〜県境間の通行止めが決まり、岐阜県側の乗鞍スカイラインも15時10分から通行止めとなりました。
お盆前の週末は、例年ならかなりの混雑が見られるものの、今回は台風11号のため、ハイシーズンとは思えないほど閑散とした状況です。お盆後半も天候が心配される状況で、照る照る坊主に願いを託したいところです。
【8月11日(月)、台風一過は生憎の通行止】
三本滝ゲート − 通行止めが継続中 |
さて、取材三日目の8月11日(月)は、昨日夕方から続く通行止めが継続されています。岐阜県側の乗鞍スカイラインは、累積雨量が規制値をはるかに超えて、午前中の開通は見込めない状態。長野県側の県道乗鞍岳線は、道路パトロール実施後に開通となる予定です。
晴れたり曇ったり、霧雨が降り、めまぐるしく変化 |
日本海に抜けた台風11号が温帯低気圧に変わり、昨晩からの雨は今朝9時ごろには収まってきました。台風一過の気持ちの良い青空を期待したいところですが、雨が止んでも雲の動きが早く、晴れたり曇ったりを繰り返し、時折霧雨の降る状況が続きます。空気感もひんやりした雰囲気があって、不安定な天候状況が見られます。
ヒルクライマーがやってくる |
お盆休みの長期休暇が始まったという方も多く、ヒルクライマーの姿が目立ちます。
「えぇ〜〜通行止め!」 | あきらめて引き返す |
三本滝ゲートに到着して、初めて通行止めを知ったこちらのヒルクライマー、驚きが隠せないようですが、あきらめて観光センターに戻ります。
続々とヒルクライマーがやってくる | 「ノリクラ以外に走るところありますか?」 |
続々とやってくるヒルクライマー。「ノリクラ以外に走るところありますか?」白骨温泉方面に向かう方も結構いらっしゃいますが、観光センターと三本滝を何度も往復してトレーニングする方もいらっしゃいます。
三本滝レストハウス − こんな日は一日のんびりと... |
さて、こちらは三本滝レストハウス。1階部分の軽食コーナーは営業されていています。今日のような なす術のない一日はこんなところでのんびり過ごすのもいいかもしれませんね。
山頂登山を断念し、三本滝散策へ |
この時期、ノリクラにお越しの方の大半は、乗鞍岳(剣ヶ峰)への登山が目的ですが、通行止めのためシャトルバスも運休していますので、山頂登山は出来ません。そのため、三本滝への散策に予定を変更された方もたくさんいらっしゃいました。
鬱蒼とした森の中を行く | 「うぁ〜滝だ!」 |
三本滝レストハウスから三本滝までは約1km、往復で1時間もあればよいかと思います。鬱蒼とした森の中を歩き進めると、滝の轟音が次第に近くなってきます。
三本の滝が流れ込むから「三本滝」 − 大雨で見事な勢いに |
三本滝レストハウスを出発してから約30分。三本滝に到着します。「三本」というとおり、3つの滝が流れ込む珍しい場所で、日本の滝百選にも選ばれています。左の小さな滝は普段はかなり細い流れしか見られませんが、昨日の大雨で3本とも豪快な流れが見られ、引率のガイドさんも「これほど立派な三本滝は、なかなか見られませんよ!」と、おっしゃっていました。
今日は皆さん頑張りました! |
山頂登山には行けませんでしたが、皆さん、滝の迫力に大満足!
道路パトロール |
さて、県道乗鞍岳線は道路パトロールを実施して、安全上の問題がなければ開通するとのことでしたが、長野県の道路パトロールが到着したのは14時30分でした。
15時10分に通行止めが解除 − 三本滝ゲートを開ける |
安全確認が取れて、15時10分に通行止めが解除され、三本滝ゲートが開門されました。ただ、岐阜県側の乗鞍スカイラインは通行止めが継続されているため、大雪渓までの通行となります。これから、お盆の最盛期を迎えますので、出来る限り早い段階で道路パトロールを実施していただき、問題なければ、早期に開通する方向で進めていただきたいものです。
なお、乗鞍スカイラインは15時に雨量規制が解除されたものの、平湯峠から1.7km先で法面土砂崩れが発生し、引き続き通以降止めが継続されました。復旧にはやや時間がかかるようで、記事を書く8月12日(火)現在、復旧工事に着手されましたが、開通まで2〜3日はかかる見込みのようです。
【昨年の今ごろは?】
今週からお盆休みという方いらっしゃるようですが、この週末はそれほど目立った混雑はありませんでした。
取材一日目の8月10日(土)は、雲が足早に流れるものの、少しモノトーンな感じの穏やかな青空に包まれました。そのため、太陽の日差しはさほど強くありません。しかし、正午の大雪渓の気温は18℃と普段より高めで、空気もいつもより温度感を感じる状況で、久しぶりに「暑いノリクラ」となりました。いつもはお昼の休憩中は肌寒さを感じさせるものの、今日はのんびりと休憩するのに適した気温で、お昼寝しても寝冷えすることはない様子でした。その分、動いているとムシムシと空気がまとわりつくような感覚がありました。そして、天候は一日ほとんど変わらず、夕立もなく安心して過ごせた一日でした。
取材二日目の8月11日(日)は、朝から雲ひとつない快晴が広がります。観光センター前駐車場は5時の時点で140台ものマイカーがお越しになり、6時30分には満車となるほどの賑わい。ヒルクライマーも大勢お越しになり、午前中だけで367台もの自転車が三本滝ゲートを通過して今シーズン一番の台数となりました。さわやかな風が流れ、暑さはさほど感じないものの、喉の渇きを常に感じ、乾いた空気に包まれる状況でした。午後になると雲がやや多くなって日差しが遮られるときがありますがそれも一時的で、ほぼ終日にわたって、綺麗な青空とさわやかな風に包まれた一日でした。
<編集後記>
「夏休み期間中の動向...」
夏休みも佳境に入ってきました。JTBが毎年7月にリリースしている夏休み(7月15日〜8月31日)の旅行動向を見ると、海外旅行は頭打ち感があるものの、国内旅行は前年より0.2%増加が見込まれて過去最高と予測され、国内旅行平均費用は前年の7.1%も増加し、旅行中の諸経費を含めた国内旅行消費額は、7.3%にも達します。人数ベースの伸びは昨年より鈍化していますが、費用面では昨年よりも大きな伸びが見られます。これはベースアップや夏のボーナス増加に起因するとが大きいと分析しています。
また、年齢層では、20〜30代で昨年より収入が増えたたため旅行したいと回答した割合が多く、これまでにはなかった傾向が見られます。
旅行の目的で昨年より増加した項目は「温泉でゆっくりする(14.5%、前年比+1.2%)」「自然や風景を楽しむ(11.5%、+1.2%)」といったものがやや多くなる一方、「海辺で保養・海水浴(6.1%、−3.7%)」「ハイキング・登山・キャンプなど(2.8%、−3.1%)」のアウトドア系が減少し、特に「ハイキング...」は昨年の4.9%から2.8%へと半分近くも少なく、減少幅は他の項目の中で一番になっている点は気がかりです。
一昨年は「海から山」へという変化があり、昨年は「山から海へ」と逆戻り。従って、今年は再び「海から山へ」に帰ってくるかと思いきや、海も山も減少するという生憎な状況です。ただ、前述の「温泉でゆっくりする」「自然や風景を楽しむ」の項目は、昨年は前年比で10%から20%も減少した項目ですから、それが増加に転じた点は安心材料かもしれません。
国内の旅行先では、四国八十八ヶ所霊場開創1200年記念となる四国が人気で、中国・四国が前年増加比が一番(+3.7%で、全体の11.0%)、それに対して、甲信越は−2.8%で全体の10.1%、東海は−1.6%で全体の8.0%です。
これらを見ると、乗鞍地域にとってあまり芳しくない予測結果が多いのですが、果たしてお盆を含めた夏休み期間中の人出がどのような結果になるのか、ちょっと気がかりな状況です。
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