ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.15(2014/08/13〜16) F
【お盆後半は大雨の日々】
8月14日(木)以降は雨の毎日(8月15日(金)) |
さて、これまでお伝えしてきたように、13日(水)は久々によい天気の一日でした。しかし、それ以外のお盆期間は悪天候の毎日で、これほどまで天候に恵まれなかったお盆は珍しいことです。例年、お盆期間中、2〜3日程度は雨に見舞われることはあっても、夏らしい日もちゃんとあり、昨年に至っては1週間完全に夏空が続くほど良い天気でした。今年はまるで昨年の反動かと思うほどです。
早朝の雨が収まって一時的に青空(8月16日(土)) | 急いで出発!(8月15日(金)) |
先週末、お盆前半は台風11号による影響でしたが、今回のお盆後半は秋雨前線による影響のため、前線の停滞により同じような天候が連日続く状況でした。特に15日(金)と16日(土)は、朝から夕方まで全く同じといっても良いほどの天候の推移を見せ、朝一番から小雨が降り始めた後、一旦収まって、8時ごろには時折青空がのぞきます。そして、その後、お昼前あたりから暴風雨となり、午後には小康状態のサイクルを繰り返します。梅雨明けからまだ1ヶ月も経過していないのに、秋雨前線の影響を受けるなんて、全く信じられませんね...
こちらは雲間に青空がのぞき始めた8時ごろの様子。雨が収まったタイミングを狙って、ヒルクライマーの方々が急いで出発して行きます。
三本滝ゲート(左:8月15日(金)、右:8月16日(土)) |
雨の降り方としては、14日(木)はそれほどではなかったものの、15日(金)は10時ごろから暴風雨となり、岐阜県側の乗鞍スカイラインでは14時から雨量規制通行止めとなり、通行止めは17日(日)まで継続されました。長野県側の県道乗鞍岳線は通行止めの措置は取られなかったものの、乗鞍スカイライン通行止めに伴って畳平も閉鎖されたため、バスなどの大型車両の転回が出来ないことから、畳平より1.5km手前にある大雪渓駐車場(大雪渓・肩の小屋口バス停)までの通行となりました。
三本滝ゲートでは、やってくるヒルクライマーに、大雪渓までの通行であることを説明します。
先ほどの晴れ間が一変してはげいい雨 − 軒先で雨宿りのヒルクライマー(8月15日(金)) |
そして、先ほどの晴れ間は1時間もしないうちに、音を立てて降り始めるほどの状況へ一変します。三本滝レストハウスの軒先では、雨が降り止むのを待つヒルクライマーが雲の成り行きを見つめます。
現在の気温は20℃。お盆の1週間の中で最高気温が20℃を超えた日は、天気の良かった13日(水)だけでした。こんなことも珍しいことです。
雨の中を走り続ける(8月15日(金)) |
雨が少し収まって出発してみるものの、やはり雨に降られてしまいます。
全身びしょ濡れ − 天然のシャワーだ!(8月15日(金)) | 森林限界以降は濃霧・暴風雨(8月16日(土)) |
時間と共に降り方はひどくなり、レインウェアを着ていても、全身びしょ濡れ...「天然のシャワーだ!」と、ジョークを飛ばしながらも、それと同時に「早く温泉入りたい!」と...この苦行から一刻も抜け出したい状況。
そして、標高2350メートルにある位ヶ原山荘を過ぎると、今度は雨に加えて、霧と風が強くなり、暴風雨に見舞われます。風に関しては15日(金)の方がひどい時間帯があって、最も暴風がひどいときは、途中の位ヶ原から先は自転車走行が困難な状態となり、大雪渓までたどり着けなかった模様です。
さすがにこの状況だと、夏スキーは無理だろうと思いますが、どんな天候の日であろうとも、常連の夏スキーヤーは通い続けます。
この日の気温は12℃で、この時期としては極端に寒いわけではありませんが、バーンはかなり硬く、モーグルコースの作成・整備ではスコップでは歯が立たない状態。ツルハシでコース整備を行わざるを得ないほどでした。
場所によってはスキーブーツでもつま先が引っかからないほど硬い状況ですので、ボードのソフトブーツでは登ることが困難です。また、ご覧の雪渓上部左側はバーンが固い上に、急斜面のため、雪渓での滑走に慣れていない方や初心者は滑走できません。
毎年、秋口になってから、ウインターシーズンに向けていち早く滑りたいという方が、何人かいらっしゃいます。
これからの時期の雪渓は、夏の雪渓と比べて、色々な面で一段とハードな環境で、雪渓での滑走に慣れていない場合は、即座に転倒滑落してしまいます。スキー場であれば、転倒しても大きな問題になりませんが、硬く締まった雪渓で転倒すると、滑落を停めることは困難で、そのまま岩場に激突します。ウインターシーズンに向けての練習のつもりが、ウインターシーズンを棒に振ってしまう結果となります。
大雨の末は、激しい濁流に飲み込まれる(8月16日(土)) |
降り止まぬ大雨は、沢の増水や河川の氾濫を呼び起こします。普段はせせらぎ程度にしか流れていない沢も左の画像のお通りの激流と化し、これだけ増水すると沢を渡ることが出来ません。実際、この日(8月16日)は、北アルプス槍ヶ岳から下山中の登山者が増水した沢に流されて行方不明となっています。
そして、沢からあふれた濁流は、道路を飲み込む状況に...そのため、岐阜県側の乗鞍スカイラインでは15日(金)14時から雨量規制通行止めとなりました。
急いで避難小屋に逃げ込む(8月15日(金)) |
激しい豪雨で、スキーヤーも登山者も一斉に大雪渓の避難小屋に駆け込みます。16日(土)のシャトルバスは、乗鞍スカイライン通行止めのため、大雪渓・肩の小屋口バス停での折り返し運行となりましたが、大雪渓付近には避難小屋とトイレしかありません。
通常運行されれば、畳平の売店や休憩施設までたどり着くことが出来ますが、大雪渓・肩の小屋口バス停での折り返し運行となった場合は、ご覧の状況ですから、観光を目的にされた方は、シャトルバスへの乗車を控えたほうがよさそうです。
しかし、スキーヤーや登山者にとっては、どのような天候であろうとも運行できる状態であれば、大雪渓・肩の小屋口バス停まで運行して欲しいとの声もあり、この場所に避難小屋があるだけでも本当にありがたいと感じているところです。
乗鞍スカイライン通行止めのため、大雪渓以降は通行止めに(8月16日(土)) |
乗鞍スカイライン通行止めに伴い、県道乗鞍岳線はシャトルバスだけでなく、自転車や徒歩も含めて、大雪渓より先はすべて通行止めでした。バス等の大型車両の転回場所(大雪渓駐車場)を考慮してのことです。
先ほども申し上げましたが、大雪渓・肩の小屋口バス停を下車しても、ここには避難小屋とトイレしかありません。そのため、観光客の方の中には、畳平まで歩いて向かおうとされる方がいらっしゃいます。しかし、歩いて行くのも禁止されているくらいですから、畳平の関係者も入場が出来ない状態です。つまり、何らかの手段で畳平にたどり着いたとしても、どの施設も休業中というわけです。
濁流と共に土砂が流れ込む(8月15日(金)) |
水が引いた後はご覧のように土砂が路上に広がることがしばしばあります。自転車走行には十分注意してください。
連日悪天候が続きましたが、時には良い天候にめぐり合える場合もあります。
16日(土)は夕方近くになって雨は収まり、青空が広がって来ました。
そして、ダイナミックにうねりを上げる雲海は躍動感あふれる見事な光景。「機内の窓から見る風景」と、おっしゃる方がいますが、まさに雲の上からの眺めです。ノリクラの自動車道開発は、航空機のエンジンテストに適した場所として抜擢されたことが発端ですから、雲を上から眺めるこの光景はノリクラを代表する風景の一つと言えるでしょう。
【昨年の今ごろは?】
ここ数年、お盆期間中は雨に見舞われる状況が続きましたが、今年は午前中だけを見るとほぼ晴で、午後になっても雲が沸くことがあっても雨に見舞われることがなく、連日天候に恵まれた1週間となりました。
今回はお盆期間からそれに続く週末に掛けての8月14日(水)から8月17日(土)までの期間についてお伝えします。今回のお盆期間の人出は、8月11日(日)あたりから本格的に始まり、それ以降は天候に恵まれたこともあって、連日まずまずの人出が続いたため、逆に大きなピークはありませんでした。もっとも人出の多かったのは8月14日(水)でしたが、その差も目立つものではありませんでした。
<編集後記>
今年のお盆期間は13日(水)のみ朝から晴天でしたが、それ以外はほとんど雨が降り続く状況でした(8月9・10・12・14・15・16・17日)。
過去のお盆期間の約1週間を振り返ってみると、昨年は全く雨の日はなく、2012年は終日雨が3日間(8月13日〜15日)、2011年は雨の降った日は3日間(8月14・15・18日)ですが、終日雨はありませんでした。
ノリクラは自然体験を主体とした観光地のため、屋内での観光施設が乏しい状況があります。かつてはそれでも来場者はいらっしゃったものの、最近はアウトレットやテーマパークなど、屋内でも楽しめる観光地が多くなっていて、そのようなスポットに客足が流れている状況がみられます。
「自然相手だからしょうがないね〜」と、あきらめてしまうのか、雨でも色々な楽しみ方が出来るような工夫をすべきなのか、考えさせられる1週間だったと思います。
雨でも楽しめるようにするという意味は、二つあると思います。
屋内施設を充実させるのも一つだと思いますし、お越しになった方々のそれぞれが、雨の中でも楽しさが見つけられるようにサポートするという点もあるかと思います。ノリクラという地域で、どちらがふさわしいのかわかりませんが、楽しさが自発的に見つけられるようなサポートは、雨だけでなく、色々な場面で必要なことかと思います。
Copyright (C) 乗鞍大雪渓WebSite |
|