ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.6(2015/06/13〜14) B
【6月14日(日)、ほおのき平駐車場】
ほおのき平駐車場 |
こちらは取材2日目の6月14日(日)、早朝6時のほおのき平駐車場。
岐阜県側のシャトルバス乗り換え駐車場は、かつては平湯温泉から車で約5分、徒歩で約8分のところにあるあかんだな駐車場(有料)も利用可能でした。しかし、最近はシャトルバスの始発が、あかんだな駐車場ではなく、平湯温泉からの運行となってしまいましたので、乗り換え駐車場としては、実質的にはこちらのほおのき平駐車場(無料)のみとなっています。
鰯雲 | 猫岳方面は輪郭がなんとか確認−天気はあまり良くなさそう |
ご覧のとおり、鰯雲の広がる天候。時折日差しがあってまずまずの状況。ただ、鰯雲は天候悪化の予兆ですから、今後の推移は注意が必要です。そして、猫岳方面は輪郭がうっすらと確認できる程度の視界にとどまり、やはり、今日はあまり天気は良くなさそうな雰囲気です。
始発便を待つバスターミナル |
始発便を待つバスターミナル。思った以上に人出があって、始発便到着直前まで列が伸びて行きます。
畳平の天候 −今日はAダイヤで運行 |
6時の畳平の天候は曇りで気温マイナス4℃。風速4メートルと穏やかなため、乗鞍スカイラインはバス・タクシーのほか自転車も本日は通行可能です。また、シャトルバスは通常時のAダイヤで、今日は休日のため、1時間に2本の運行です。シャトルバスのダイヤは天候に応じて、正常時のAダイヤと悪天候時のBダイヤがあります。前日の午後2時の時点の翌日6〜12時の降水確率が40%を超える場合はBダイヤが適用されます。
ゲレンデはまるで畑のように | コスモス園 − 見頃は8月下旬から9月上旬 |
ほおのき平駐車場の隣には、ほおのきスキー場があります。駐車場とスキー場の間にはスキーセンターやペンションなどが立ち並んでいて、駐車場から直接ゲレンデが見えない構造になっていますので、スキー場の存在に気が付かない方もいらっしゃるかもしれません。
すでにスキーシーズンは終わっていますが、ゲレンデに入ると左の画像のように網目状の黒いシートがひと畝ごとにかぶせられていて、まるで畑のような光景が広がっています。
これはコスモスの種まきが終わった状態で、ほおのきスキー場では、毎年8月下旬から9月下旬にかけてコスモス園が開園されます。見頃は8月下旬から9月上旬で、シャトルバスで下山後も立ち寄ることが可能ですので、時期になりましたら、ご覧いただければ幸いです。
シャトルバス始発便到着 |
そして、シャトルバス始発便を待つ方々はターミナルのから徐々に遠方へおと延びて行くほどたくさんの方が続々ときます。そして、シャトルバス始発便が到着。
今日はほぼ満車 |
今日はほおのき平駐車場から39名の方が始発便に乗車して畳平を目指します。なお、1台で乗車できなかった場合、平湯温泉から空車のバスを手配するとのこと。ただ、定刻前に配車対応する必要があり、そのためには人数把握が必要で、できるだけ早めに乗車券を購入して列に並ぶようお願いいたします。
【乗鞍スカイラインを行く】
平湯峠−ここから乗鞍スカイライン、マイカー規制 |
それでは、ここからは乗鞍スカイラインの様子をお伝えします。こちらは乗鞍スカイライン基点の平湯峠。ほおのき平駐車場から約6kmほど進んだ所にあり、この先は2003年からマイカー規制の対象区間とされ、バス・タクシーや自転車など限られた車両のみの通行となります。
平湯峠まではマイカーの走行は可能ですが、ここにはシャトルバスのバス停はありません。畳平へ向かうにはほおのき平駐車場に戻る必要があります。
車窓に全面緑色に |
深い森の中から始まる乗鞍スカイラインは、車窓に全面緑に染め上がっている状況。
夫婦松駐車場 | 左奥の石碑に注目 |
平湯峠から約3km入ったところに夫婦松駐車場が確認できます。右の画像の左奥に石碑が立っているのがお分かりでしょうか?
上嶋清一翁 顕彰碑 − 乗鞍スカイラインの前身の軍用道路の建設に貢献 |
石碑には「上嶋清一翁 顕彰碑」と書かれています。乗鞍スカイラインの前身は戦前の軍用道路だったことは有名なことですが、当時3メートル幅で工事を実施する軍に対して、濃飛自動車乗合株式会社の社長だった上嶋精一氏は、将来戦争が終わって軍用道路が払い下げられれば、登山バスの運行も可能になること見据え、道幅を3.6メートルで工事するよう提唱し、拡幅分の費用を全額負担されたとのこと。拡幅分は総工費42万円のうち8万円ですが、当時の濃飛自動車の全従業員の給料の2年分に相当する高額で、その後の返済には苦労されたとのことです。
軍用道路は昭和17年に完成し、終戦を迎えて県道に編入されるものの、戦後直後、誰もが登山バス運行など実現するとは思わなかった中、関係方面に強く働きかけ、昭和24年に実現できました。この顕彰碑は昭和48年の乗鞍スカイライン完成時に建てられたものですが、上嶋氏の功績がなければ、現在の乗鞍スカイラインの発展はなかったものと考えられます。(参考文献:雲上銀座への道 瀬口貞夫著)
昨年の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) 2014ノリクラ 雪渓カレンダーVol.6(2014/06/14〜15) B ↓ |
先週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) ノリクラ 雪渓カレンダーVol.5(2015/06/06〜07) B ↓ |
今週の乗鞍スカイライン(4kmポスト付近) 昨年と同等かやや多い積雪量 |
夫婦松駐車場を1kmほど進んだ4kmポスト付近の様子。積雪量が先週よりも少なくなっていますが、昨年より多い箇所もあり、昨年と同等かやや多い状態になっています。
5kmポスト − 唯一の下り坂 |
こちらは5kmポストの様子、何の変哲もないところです。しかし、乗鞍スカイラインでヒルクライムを経験された方ならお分かりになると思いますが、乗鞍スカイラインの中で、唯一の下り坂箇所です。これより前にもこれより先にも下り坂は一か所もなく、悲鳴を上げる脚を休める唯一のポイントです。
うっすらと山並みが確認 |
先ほどまでは雲に隠れて、遠景の山々は全く確認できませんでしたが、少しずつ雲が抜けて、ご覧のように槍ヶ岳や穂高の山並みがうっすらとみられるようになってきました。ちなみにその手前に焼岳、さらに手前はアカンダナ山で右側が安房山と続きます。
昨年の猫の小屋跡地 2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) B ↓ |
先週の猫の小屋跡地 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.5(2015/06/06〜07) B ↓ |
今週の猫の小屋跡地 昨年より1週間早い雪解け |
さらに進んで、こちらは標高2200m付近の猫の小屋跡地。積雪は完全になくなり、昨年よりも1週間程度早い雪解けです。雪解けスピードは先週と同じです。
8kmポスト − 見た目以上の劇坂 |
そして、8kmポスト付近から森林限界へと進んでいきますが、8〜9kmポスト間は見た目以上の劇坂が休みなく続き、ヒルクライマーの方にとっては、かなりつらい場面です。
さて、9kmポストを過ぎると完全に山岳風景となり、目の前に烏帽子岳が現れます。
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烏帽子岳の右脇に注目 | 噴煙を上げる御嶽山 |
その烏帽子岳の右脇を注目すると、噴煙を上げる御嶽山の姿を確認できます。もう少し視界が良ければはっきり確認でき、この先の桔梗ヶ原付近でも見られます。
ノリクラから御嶽山の眺望は、この箇所以外では剣ヶ峰山頂まで登らないと確認できません。
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昨年の烏帽子岳 2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) B |
今週の烏帽子岳 昨年より1週間早い雪解け |
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昨年の四ツ岳カーブ 2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) B |
今週の四ツ岳カーブ 昨年より1週間早い雪解け |
上段が森林限界を超えて最初に見られる山で、23ある乗鞍の峰の一つである烏帽子岳(えぼしだけ標高2550m)。昨年より1週間早い雪解けです。下段はその先にある乗鞍スカイラインの中でもっとも積雪量の多い箇所を通過する四ッ岳カーブ。こちらも1週間ほど早い状況です。
四ッ岳のふもとに土俵ヶ原 | 早くもハクサンイチゲが咲き始める |
四ッ岳カーブを抜けて四ッ岳のふもとには土俵ヶ原が現れます。例年よりも早くハクサンイチゲが咲き始めています。高山植物は雪解けのタイミングでその年の生育時期が大きく左右されるケースが多く、雪解けの早い今年はいたるところで、高山植物が早々に芽吹き・開花を始めています。
桔梗ヶ原 | 青空のキャンパスに綺麗な雲が |
さらに進んで桔梗ヶ原。青空のキャンパスに綺麗な雲が絵筆をふるいます。
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昨年の鶴ヶ池雪渓 2014ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.6(2014/06/14〜15) B |
今週の鶴ヶ池雪渓 昨年よりやや早い雪解 − 先週より雪解けがさらに遅くなる |
畳平に到着する手前に鶴ヶ池雪渓が広まります。岐阜県側で唯一滑走が認められているエリアです。畳平から歩いてすぐの場所にあることから、初めてお越しになったスキーヤー・ボーダーの方にも安心してお勧めできる場所です。例年6月下旬まで滑走可能です。
昨年と比べてやや早い雪解けで、先週よりもさらに雪解けスピードが遅くなっています。週を追うごとに雪解けが遅くなり、今後の判断にもよりますが、次週末あたりまでできる可能性が考えられます。
滑走エリアへのルート − 積雪が途切れると滑走禁止 |
現在は赤線のルートを通るようにロープ規制がされていますが、今後雪解けが進んでもロープ規制を点線のように下へ迂回させることで対応可能と考えられ、おそらく、次週末まで滑走可能と考えられます。ただ、今後の状況によって、関係者の判断が変わることも考えられます。鶴ヶ池雪渓の今後の滑走可否については、トップページ、および、ツイッターにてお知らせいたします。
畳平に到着 |
鶴ヶ池雪渓を過ぎると、乗鞍スカイライン終点の畳平に到着です。
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