ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.14(2015/08/08〜09) @
台風すら日本列島に近づけない強い高気圧に覆われ、各地で猛暑日連続記録が更新されています。ただ、この週末のノリクラは先週のような暑さはなく、朝晩は冷え込んで寒く感じるようになり、立秋を迎えましたので、ノリクラの真夏はもう終わりに近づいているのかもしれません。
8月8日(土)は、筋状の雲がたなびく青空の朝を迎えます。気温は13℃でひんやりとしたノリクラらしい気候。日が高くなっても日差しの暑さはそれほどでもなく、また、雲が多くなって日差しが隠れると日中でもひんやりとした空気感となります。正午の大雪渓は16℃、山麓の三本滝ゲートとは10℃も異なる気候で、雪渓を流れる空気はひんやりとして汗が引く感覚があります。今日もヒルクライマーは多く、一日で229台にものぼり、今季一番の入山台数を更新しました。
8月9日(日)は、朝5時の気温は昨日と同じ13℃ですが、長袖でないと寒さを覚えるほど。また、昨日よりも人出は多く、7時30分には観光センター前駐車場は満車となりました。そして、駐車場内はヒルクライムに出発する方々があちこちで準備を始め、総勢150名ものヒルクライマーが参加する走行会が開催されるなど、県道乗鞍岳線は自転車が数珠つなぎ状態。最終的には昨日の台数をさらに更新して356名ものヒルクライマーが訪れ、、過去最高の台数を記録しました。気温は大雪渓で16℃、稜線で14℃と、日差しは強いものの、ひんやりとした空気に包まれて快適そのもの...午後になると夏雲が沸き始めたものの、見事な天候が終日続きました。
大雪渓から肩の小屋への登山道で一部積雪が残っていたものの、今週は完全になくなりました。ほぼ例年並みの推移です。また、登山道の周囲にはチングルマを初め、ミヤマキンバイやイワギキョウ、さらにはトウヤクリンドウまで咲き始め、数多くの高山植物を楽しむことができます。逆に畳平のお花畑はそろそろ終盤に近づきつつあります。
また、大雪渓は、全体的にはほぼ昨年並みと言ってよい状態で、上部では昨年より1〜2週間早い雪解け、中段・下部は昨年並みかやや遅い状況です。強い日差しでバーン表面は柔らかく、最も滑りやすい状態となっています。また、雪解けが進んで、雪渓中段の上半分は岩場が多くなり、あと1週間程度で雪渓上部と雪渓下部が分断されると考えられ、歩いて下山することとなります。雪渓下部のモーグルバーンは、滑走距離が短くなってきたもののまだ滑走可能ですが、あと1週間程度が限界かと思われ、メインは雪渓上部左側のモーグルバーンとなりました。
それでは、2日間の様子をご覧ください。主に取材1日目の8月8日(土)の様子がメインですが、6ページ目に8月9日(日)の観光センターの賑わいと、過去最高の入山台数となったヒルクライマーの走行模様がありますので最後までご覧ください。
【8月8日(土)、観光センター前駐車場】
観光センター前駐車場 |
早朝6時前の観光センター前駐車場。
今日は立秋 − 秋のような高い雲がなびく |
ご覧のように少し高い雲がなびいていますが、ほぼ快晴といったところ。気温は13℃とやや冷え込んだ朝を迎えます。このところの猛暑がうそのような状況で、立秋を迎えた今日8月8日は、暦通りの秋のような気候の一日が始まります。
5時時点の観光センター前駐車場は83台で、6時には112台。満車になったのは9時30分ごろで、いつもの週末よりも来場者のペースが遅くなっているのかもしれません。なお、シャトルバスの乗換駐車場は観光センター以外にも用意されています。ノリクラガイドマップ シャトルバス乗換駐車場版 を掲載いたしましたのでご覧ください。
シャトルバス乗車券販売所 − 「何時ですかって、お客様によく聞かれるので...」 |
こちらは観光センター窓口にあるシャトルバス乗車券販売所。「いや〜お客様によく聞かれるもので...」と、時計の設置場所を検討しています。何事もお客様目線で対応することが大事...
シャトルバス始発便 − 2台目への改札が始まる |
さて、今日のシャトルバス始発便は2台目にお客様の改札・誘導が始まっています。
2台目も満席 3台目が − 通常、補助席は使わない運用 |
しかし、2台目も満席になってしまったため、さらに1台追加して3台目が運行されます。長野県側のシャトルバスは途中のバス停が多く、乗り降りの問題から、できるだけ補助席を使用しない対応で行っていて、今回も補助席を利用すれば、2台で済んでしまう状況でしたが、あえて3台にされた模様。
マウンテン大会に向けて − フロントアウターがない!ディレーラーもない!ノリクラ仕様に |
さて、今日はカメラも何も持たずに出発。全日本マウンテンサイクリングin乗鞍に初めて参加されるため、今回は完全にトレーニングモードです。自転車のほうも軽量化の工夫が施され、フロントのスプロケットはインナー側だけ残してアウターを取り外し、さらにはフロントのディレーラーをも取り外してしまいました。完全にノリクラ仕様になっていますね〜。
観光センター売店 | 乗鞍特産の番所きゅうり −
今が旬! =この時期だけ、乗鞍だけ、唯一無二= |
観光センター売店では通常7時の営業開始ですが、ここ最近はいつもよりも早めに開店されているようです。店内をのぞくと、乗鞍特産の番所きゅうりが並んでいます。みずみずしさがこのきゅうりの特徴で、みそをつけてそのまま食べるのが一番おいしいでしょう。
この時期だけ、しかも、乗鞍だけの季節の野菜ですので、ぜひともご賞味ください。
右の運転手さん − 久しぶりのノリクラ |
いつもの常連運転手さん、「今日はね。ここ最近ご無沙汰している運転手が久しぶりに来ましたよ。」と、言いながら呼び寄せてくれたのは、マイカー規制以来、ノリクラのタクシーをやってこられた右の運転手さん。お元気そうで何よりです。
【乗鞍高原から大雪渓へ、沿道の風景 T(乗鞍高原〜三本滝ゲート)】
それでは、ここからは大雪渓に向かう沿道の様子をご覧ください。
ヤマハギが咲き始める − 1ヶ月近い開花、今年は全国的に早い模様 |
善五郎の滝 駐車場周辺をよく見てみると、ヤマハギが咲き始めています。例年なら、8月下旬から9月上旬に咲きますが、今年は1ヶ月近くも早い開花です。今年は全国的にヤマハギの開花が1ヶ月近く早い模様ですが、ノリクラにおいても同じような傾向が見られます。
すずらん橋駐車場隣(→) | やまぼうしゲレンデ − オニユリが見頃・群生 |
さて、こちらはすずらん橋駐車場(Mt乗鞍第3駐車場)の反対側、ゲレンデサイドに入ると、ご覧のようにやまぼうしゲレンデはオニユリが群生していて、ちょうど見頃をむかえています。夏のゲレンデを全面ゆり園にして、観光客を誘致するスキー場が各地にありますが、こちらのオニユリは自然に群生したもので、ゆり園のように密集して咲いてはいませんが、結構見応えがあります。
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オニユリ | 3週間前に紹介したクルマユリ ノリクラ 雪渓カレンダーVol.11(2015/07/18〜19) A |
今回のオニユリ(左)と、3週間前に紹介したクルマユリ(右)は、花の形がよく似ています。
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オニユリは葉が交互につく | クルマユリは放射状につく ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.11(2015/07/18〜19) A |
しかし、オニユリは葉が左右交互に付いて、ユリを代表する互生という葉のつき方ですが、クルマユリは放射状に葉が並んでいます。花では見分けがつかないときは葉を見れば一目瞭然。植物の見分けは花と同時に葉の状態を観測することが鉄則です。
ノリウツギ |
さて、咲き始めてから、そろそろ1ヶ月近く経過するノリウツギ。
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まだ咲いているノリウツギ | 花が終わって実ができたノリウツギ |
よく見ると、まだ咲いているもの(左)とすでに実ができているもの(右)が確認できます。
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【営業中】 − 装飾花が表向き まだ咲いているので虫をおびき寄せる必要がある |
【休業中】 − 装飾花が裏向き もう実ができたので虫をおびき寄せる必要がない |
さらによく観察すると、花が咲いているものは、装飾花が正常の表向きなのに対して、実ができてしまったものは、装飾花が裏返しになっていることが分かります。装飾花は中央にある両性花が受精するために虫をおびき寄せるための器官で、受精が終わってしまえばその役目が終わり、まるで、「営業中・休業中」の看板のごとく、裏返しになっているところは興味深いところです。
乗鞍高原から三本滝まで沿道の草刈りが行われ、ソバナがよく目立つ |
さて、今週は乗鞍高原から三本滝まで沿道の草刈りが行われました。こちらは先週紹介したソバナ。草刈りのおかげでよく目立つようになりました...
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