ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版
Vol.3(2019/04/20) C
【ツアーコースV−位ヶ原急斜面】
位ヶ原急斜面 |
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こちらはツアーコース最後の位ヶ原急斜面。これまで樹林帯を切りとおしてコースが作られていましたが、この付近からはオープンバーンになります。オープンバーンとは視界が開けているというですが、逆に目印になるものがないという意味でもあり、視界不良時(濃霧)は方向を見失って遭難することを示しています。位ヶ原山荘の看板の位置から急斜面の上端が見えないほどの濃霧の場合は、今日の山行を中止して引き返すことをオススメします。
位ヶ原山荘の看板の隣には、長野県警察・遭対協の滑落注意の看板が設置されています。今年は雪が少なかったため、アイスバーンとなる日が多く、2月に4件、3月に2件も救助事案が発生しました。乗鞍岳においては過去に例のないほどの発生状況です。アイゼン・ピッケルの携行を勧めていますが、救助事案の中には下山時にアイゼンの歯をひっかけて転倒したものや、アイゼンを外さずにシリセードでアイゼンをひっかけるケースもあり、アイゼンの使用方法の注意も合わせて必要です。
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2018年の位ヶ原急斜面 2018ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.4(2018/04/21) C |
先週の位ヶ原急斜面 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2019/04/13) C |
今回の位ヶ原急斜面 ほぼ昨年並みの積雪 |
位ヶ原急斜面の積雪は、先週とほぼ同じで昨年並み。
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先週の位ヶ原急斜面 ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2019/04/13) C |
ほぼおなじ |
全体的に見回しても、各々の木の高さから、先週とほぼ同じでしょう。
【位ヶ原急斜面と伊奈川の谷について】
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【本物】左の谷−位ヶ原急斜面(正規下山ルート) | 【偽物】右の谷−伊奈川の谷(間違えて何度も遭難あり) |
さて、こちらは位ヶ原急斜面を上から眺めたもの。左が「本物」で右が「偽物」です...
この2枚の画像は左右連続写真(※)で、左が本物の位ヶ原急斜面で。右は伊奈川の谷で位ヶ原急斜面ではありません。特に濃霧の時は同じような地形に見えてしまい、ツアーコースへ下山する際に間違えて伊奈川の谷へ進んで、これまで何度も遭難が発生しています。乗鞍岳春山バスが運行される4月下旬には、伊奈川に立ち入らないようにロープが設置されますが、この時期はありません。
(※ 実際には左右の画像の間に尾根部分があります。)
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位ヶ原急斜面と伊奈川の谷は隣り合っているので間違いやすい ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 |
ツアーコースの位ヶ原急斜面は青い部分、伊奈川の谷は赤い楕円の箇所です。ご覧のとおり隣接していて、大雪渓・位ヶ原や山頂方面から下山する際に間違いやすい位置にあります。位ヶ原急斜面や伊奈川の谷の周辺の位置関係は、ノリクラ雪渓カレンダー冬〜春スキー版 で確認できますので、ぜひ一度ご覧ください。
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伊奈川の谷−大きな岩場があるのが特徴(中央) |
伊奈川の谷には雪着きの悪い大きな岩場があり、これが位ヶ原急斜面との大きな違いです。濃霧の中でも、斜面の中に大きな岩場があるかどうか確認できるはずです。
【位ヶ原】
位ヶ原 |
位ヶ原急斜面を登り切った先の位ヶ原。これより森林限界となります。森林限界を超えると、天候・気候が急激に変化します。もし、急激に雲が流れ込んで視界が阻まれるようになったら、急いで引き返す必要があります。
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2018年の位ヶ原(積雪124センチ) 2018ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.4(2018/04/21) C |
先週の位ヶ原(積雪量200センチ) ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.2(2019/04/13) C |
先週の位ヶ原(積雪190センチ) |
今回の位ヶ原の積雪量は190センチ。先週より10センチ減少し、昨年より66センチ少ない状態です。
剣ヶ峰方面 | 摩利支天岳・すべり台 |
剣ヶ峰方面は雪着きの悪い所でやや雪解けが見られるようになってきましたが、それでも昨年より雪解けは少ないと思います。
【大雪渓下部、カラスに注意(食料のデポ)】
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先週の大雪渓入口 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.2(2019/04/13) C |
今回の大雪渓入口 先週より12センチ積雪減少 |
積雪量の定点観測を行っていた前川国有林の看板は、昨年10月末に撤去されてしまったため、昨年との比較ができません。先週と比べると12センチ積雪が減少しています。
トイレ小屋・避難小屋(冬季閉鎖中)−利用可能は5月下旬〜6月上旬以降 |
トイレ付近でも積雪が若干減少している様子が見られます。避難小屋・トイレは冬季閉鎖中で、乗鞍岳春山バスが大雪渓まで延長運行される5月下旬〜6月上旬に利用可能になります。
モーグルコースの岩(赤丸) |
肩の小屋への夏道がこの付近を斜め上に登っていますが、その途中にモーグルコースの岩があります。
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先週のモーグルコースの岩 ノリクラ 雪渓カレンダー プレリリース版 Vol.2(2019/04/13) C |
今回のモーグルコースの岩 先週とほぼ同じ |
先週とほぼ同じ状態です。今年はまだ埋まっていません。
こちらはトイレ付近にレジ袋でデポしてある食料。おそらく、山頂方面に向かう方が置いていったものと思われます。すでにレジ袋は穴が開いていて、中から菓子の袋が引きづり出されています。
袋を破いて中身を食べる | 犯人はカラス! |
★レジ袋のままでのデポはしないようお願いします★ |
散乱しているお菓子を見ると、ご覧のように袋を破いて中身を食べた形跡があります。仕業はカラス。街中にいる普通のカラスです。カラスは匂いには鈍感なため、匂いで食べ物を見つけることはできないようですが、ビニール袋には何か食べるものが入っていると学習しています。食料をデポする場合は、ザックなど容易に開けたり・破いたりすることができないものに入れるようお願いいたします。
カラスを寄せ付けないよう食料の放置はしないで! ★カラスは雷鳥生息に影響★ |
近年、カラスが雷鳥の巣を襲う様子が確認されています。カラスを寄せ付けないために、食料を放置することのないようお願いいたします。
【県道乗鞍岳線の除雪状況(位ヶ原山荘付近)】
すでにお伝えしているように位ヶ原山荘まで除雪がほぼ完了しております。今年はスキー場の終了が早かったため、除雪は例年よりも早いペースで進められています。今年は3月・4月にまとまった降雪があり、雪質がかなり柔らかく、除雪が早く進んだ要因の一つと思われます。
除雪はこの先も続けられる | 雪のアーチがダイナミック |
今日は位ヶ原山荘から先の直線部分の除雪を実施していました。4月27日(土)に乗鞍岳春山バスの観光センター〜位ヶ原山荘間の運行が始められますが、この先、5月下旬ごろを目処に大雪渓まで運行が延長されます。そのため、位ヶ原山荘〜大雪渓の除雪作業がこの先も続けられます。
<編集後記>
「滑落に注意」
3月にツイッターでもお伝えしましたが、今シーズンは滑落事故が多発いたしました。例年、ノリクラでの救助事案はそれほど多くないものの、今年は2月に4件、3月に2件発生しております。その大半は下山時の滑落によるものです。また、救助事案までには至らなくとも、自力で下山できたケースや、スキー場に救助依頼(※1)したもの多数あった模様です。
シリセード中にアイゼンをひっかけたり(※2)、下山中にアイゼンでつまずいて転倒したり、下山には急すぎる斜面をアイゼンで降りたりと、その多くはアイゼンを着用していた事例でした。
今年は、1〜2月の降雪が少なく、2月中旬ごろから全山アイスバーンとなる日が多く、それと連動して滑落事故も増えた模様です。
ノリクラは山麓から山頂方面までのアクセスが長いため、下山は時間に追われて焦りが出ることもあるでしょう。早歩きになったり、急斜面をショートカットするなどが事故の原因につながると思われますので、余裕のある計画のもとでの山行をお願いいたします。
※1
バックカントリーエリアでの救助はスキー場ではなく、必ず警察(110番)に連絡するようお願い致します。
※2
シリセード時は必ずアイゼンを外すようお願いいたします。
■ご注意■
今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)
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