ノリクラ 雪渓カレンダープレリリース版

番外編<真冬のノリクラサミット>
(2011/12/24〜25) @

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(Update:2011/12/29)

 

2011シーズン ノリクラ雪渓カレンダー の連載が終了して、二ヶ月ほど経過しました。ノリクラは完全に真冬の季節を迎えています。12月から翌年3月までの厳冬期は、厳しい環境下での取材活動となることから、トップページの速報のみお伝えすることとしています。しかし、速報の四コマの画像だけでは、詳細にお伝えすることが困難なことから、今回は真冬のノリクラの様子をお伝えするために、雪渓カレンダーを番外編として編集掲載いたしました。

昨年から実施している「ノリクラサミット」に集まるメンバーの様子をもとに、標高1500メートルの乗鞍高原から標高2350メートルの位ヶ原山荘までのアクセスの様子。さらに位ヶ原山荘周辺の真冬の光景をご覧いただきます。
グリーンシーズンとはまったくかけ離れた厳しい環境ですが、ここを自らの足で歩くことができる者だけが入山を許される世界は、大きな魅力が秘めているともいえるでしょう。

今シーズンはまだ始まったばかりですが、例年と比べて雪不足状態で、ツアーコースの積雪も少ないため、今回は車道でのアクセスとなりました。ある意味、真冬の車道はツアーコースよりも長距離となるため厳しい場面があります。また、春先のツアーコースの様子をお伝えするノリクラ雪渓カレンダープレリリース版ですら、万人向けではないことを強調していますが、今回の厳冬期はさらに条件の厳しく、安易に未経験者を入山させることは、遭難などの事故の危険性を増大させる懸念があると考えられます。

そのような環境であることを念頭に置いた上で、今回の記事をご覧いただければ幸いです。


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

◎ 今回の目次

Page-1 : 【12月24日(土)、出発の朝】       【ゲレンデを楽しむ − ハイクアップとパウダー】
Page-2 : 【車道を延々と歩く】
Page-3 : 【位ヶ原山荘の夜 − ノリクラサミット】       【12月25日、位ヶ原山荘はホワイトクリスマス】
Page-4 : 【今日も終日ラッセル】       <編集後記>

●参考資料●
(今回の登行経路参照) − ノリクラガイドマップ(紅葉 上部エリア版)
 

 

【12月24日(土)、出発の朝】

観光センター前駐車場

こちらは朝7時30分の観光センター前駐車場。ご覧のようにきれいな青空に包まれた朝を迎えています。

 

気温マイナス18℃ − 厳しい冷え込みの朝

この冬は、強い寒気の流れ込みがなく、雪不足が全国的に見られ、ノリクラにおいてもゲレンデをはじめ、ツアーコースなど上部エリアでも雪が少ない状況です。

そんな中、前日の12月23日(金)から、今シーズン一番の寒気に日本列島が覆われるようになってきて、乗鞍高原の今朝の気温はマイナス18℃とかなりの冷え込みとなりました。かつてと比べれば、寒さの厳しさは少なくなりましたが、それでも冬のノリクラの寒さは折り紙つき...この時期ともなれば、気温がプラスになることのほうが珍しく、単に「18℃」といったら、マイナス18℃と認識するほどです。

 

寒気の流れ込みでも青空
ノリクラは太平洋側気候と日本海側気候の境目

この寒気の流れ込みにより、今回は荒れた天候に見舞われることが危惧されました。しかし、ご覧のようにきれいな青空が広がり、太平洋側の天候の様相を見せています。乗鞍エリアは、太平洋側の気候と日本海側の気候の境目に位置していて、どちらに転んでもおかしくない状況です。

今日の観光センター前駐車場の積雪は数センチ程度。例年なら、除雪でできた雪山が駐車場の四隅に高くできていてもおかしくない時期です。今年はその様子は皆無で、そんなところからも、雪不足の様相をうかがい知ることができます。

今日の出発地点 − 休暇村ゲレンデ

そして、こちらは観光センターから県道乗鞍岳線を2kmほど車で先にある休暇村。県道乗鞍岳線はこの先、位ヶ原や大雪渓を経て畳平まで通じていますが、休暇村より先は冬季閉鎖なっていて、この時期は車でやってくることができるのは休暇村までです。

今日も何人かのスキーヤー・ボーダーの方々が出発の準備をされていますよ...

 

シールの装着 ビーコンのチェック

冬季に位ヶ原・大雪渓など上部エリアに向かうには、スキー場最上部から始まる標高2000メートルのツアーコース入口までリフトを乗り継いで向かい、そこからツアーコースを歩いて登るのが一般的です。

しかし、今年は雪不足のため、上部ゲレンデのリフト営業を行うことができず、標高1600メートルの休暇村ゲレンデから歩いて登る必要があります。また、春先になって、スキー場の営業が終了した4月上旬から、県道乗鞍岳線の休暇村ゲートから三本滝ゲートまでの区間がマイカー通行できる4月下旬までの数週間は、今回と同じように休暇村ゲレンデから全山登って行くことを強いられます。

 

全山登行 − 訪れる人の少ない静かなノリクラを堪能

スキー場のリフトを利用することができず、全山歩いて行くことを求められる時期は、逆に言えば、訪れる人の少ない静かなノリクラを堪能することができるメリットもあります。

特に今年のように雪不足であれば、なおさらのこと...

 

位ヶ原山荘に向けて出発!

こちらの5名の方々は、昨年から位ヶ原山荘で定期的に実施している「ノリクラサミット」に参加するため集まりました。サミットとはいっても、楽しく登って、楽しく時間を一緒にすごす。そして、ノリクラという共通のフィールドで楽しみ方を共感しあうことができる方々の集まりといってよいでしょう。

今回は、出発地点が標高2000メートルのスキー場最上部から標高1600メートルの休暇村ゲレンデに変更せざるを得ない状況に加え、ツアーコースの雪不足のため、県道乗鞍岳線(車道)と登山道にルート変更も必要です。そのため、ツアーコースを利用した場合よりも10km近くも余分に登行する事となります。

それでも、このように集まって位ヶ原山荘に行こうという意思に変わりのないメンバーには、その程度の変更は「想定内」というところでしょうか?もっとも、天候ひとつをとってみても、吹雪だからといってあきらめることはしない方々ですから、アクセスルートの変更など微々たるものです。

時刻は9時を回ったところ。日差しの暖かさを少しずつ感じるものの、気温はマイナス10℃と、冷蔵庫の中よりも低い温度環境の下、休暇村ゲレンデを出発します。

 

【ゲレンデを楽しむ − ハイクアップとパウダー】

綺麗な青空 − 次第に体が温かくなる

気温が低くても、しっかりとした太陽の日差しを受けて進めば、次第に体の中からほこほこと暖かさが感じられるようになってきます。真冬といえども、四六時中が極寒というわけではないので、そんな環境下であれば、真っ青な空と白い雪で包まれた美しい光景を楽しむ余裕も生まれます。

 

上部エリアは雲の塊の中 − 厳冬期の厳しさが待つ

相変わらず、ノリクラの峰々には雲がかかり、時間とともにその形がしっかりとした塊になって来ました。これから向かう位ヶ原山荘は前方に見える雲の中...おそらく、この先は青空がなくなり、鉛色の低い雲が立ち込めるエリアへと差し掛かることでしょう。もしかすると、雪の舞う吹雪の世界かもしれません。

そうなると穏やかなのんびりとした環境から一変して、風雪に耐えながらの登行を強いられます。厳冬期の厳しさは、環境が激変するところにあるとも言えます。

 

急斜面のかもしかゲレンデ − 少しばかり辛い登行

休暇村ゲレンデを登り詰めると、その先は、スキー場最上部のかもしかゲレンデ。急斜面の一枚バーンが広がっています。今シーズンはまだリフト運行が始まってないため、ゲレンデ整備が行われていません。そのため、昨日までの新雪が30センチほど降り積もる状況。そのため、シールで甲程度の沈み込みがあり、ラッセルとまではいかないものの、若干苦労が強いられるところ...

少しばかり息を上げながら進む様子に、辛そうな表情が見え隠れして、笑顔が影を潜めましまいます。

「ここを登りきれば、後は平坦な車道ですから、もう少しがんばりましょう。」
「本当ですか〜?」と、半信半疑な様子...
それを受けてさらに、「ほんとうですよ!!」と、笑いながら語気を強めて励まします。

そんな会話を交わしているときに...

 

パウダーを撒き散らす

先行して登行したメンバーが、パウダーを撒き散らしながら、真横を通り抜けて行きます。

 

営業前のゲレンデは極上のパウダー

先週までは積雪量が少なく、パウダーを楽しみながらも、スキー板が地面に当たる箇所が所々にあって安心して滑走できませんでしたが、今週は十分な積雪量があり、申し分ないパウダーです。

また、今シーズンはゲレンデ整備がまだ一度も行われていないことから下地の硬さもなく、また、リフト営業前で「競争率」も高くないため、パウダーを楽しむには、好条件がそろっているともいえるでしょう。

 

パウダー狙いも今回の大きな目的の一つ...

今回のツアーの目的は位ヶ原山荘でのノリクラサミットですが、実はかもしかゲレンデのパウダー狙いも大きな目的...

 

位ヶ原山荘に向けて再び出発!

しかし、今日の最大の目的がこの先に待っています。再びパッキングを整え、スノーシューに履き替えて、位ヶ原山荘に向けて出発です。

 

名残惜しい気持ちを抑えて... 車道を進む

眼下に広がるかもしかゲレンデには、まだ未踏のバージンスノーが残っています。名残惜しい気持ちを抑えて、車道を進んで行きます Next


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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