ノリクラ 雪渓カレンダー
 
Vol.3(2012/05/26〜27) F

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(Update:2012/05/31)

 

【ツアーコース】

ツアーコース − 位ヶ原急斜面

ここからはツアーコースの残雪状況をお伝えします。

尚、ツアーコースは一部滑走可能ではありますが、ツアーコース終盤にあたる入口急斜面では、雪解けに伴いブッシュが多数林立している状態で、立ち入り困難なため下山できません。必ず、乗鞍岳春山バス下り便を利用して下山してください。

春山バス下り最終便は、大雪渓・肩の小屋口発 14時50分(位ヶ原山荘発 14時56分)です。乗り遅れないようご注意ください。

 

先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2012/05/19〜20) C
今週の位ヶ原急斜面
60センチの雪解け
先週の位ヶ原急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2012/05/19〜20) C
今週の位ヶ原急斜面
60センチの雪解け

通常、下部から上部への順番でツアーコースの状況をお伝えしていますが、今回は逆の順番でお伝えします。こちらはツアーコース最上部の位ヶ原急斜面。先週と比べて60センチ程度の雪解けです。

 

位ヶ原急斜面 − ダケカンバの分布が多くなってきた

位ヶ原急斜面一帯は、先週と比べてダケカンバの幹や枝の分布が少し多くなってきました。それでもこの付近の積雪量は十分あります。

 

先週の6番標識付近
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2012/05/19〜20) B
今週の6番標識付近
先週からの雪解けは40センチ
先週の6番標識手前の谷
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2012/05/19〜20) B
今週の6番標識手前の谷
大きな変化はない

そして、位ヶ原急斜面を下り、6番標識付近。先週からの雪解けは40センチほどで、大きな変化はありません。

 

バーンが波打つ

ただ、滑走する方がほとんどなくなった影響もあって、バーンはかなり波打っています。

 

先週の5番標識
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2012/05/19〜20) B
今週の5番標識
昨年より二週間遅い雪解け
2008年以降最も多い積雪量

5番標識では今週の雪解けは40センチほど。昨年よりも二週間も遅い雪解けで、積雪の多かった2008年よりも多い状態です。

 

5番標識付近 − 所々にブッシュが点在しはめる

5番標識付近を通過すると、所々にブッシュが点在するようになって来ました。

 

先週の3番標識付近
ノリクラ 雪渓カレンダー
Vol.2(2012/05/19〜20) B
今週の3番標識付近
昨年より二週間遅い雪解け
2008年以降最も多い積雪量

ツアーコース中間付近の3番標識。先週から50センチの雪解けです。昨年より二週間遅い雪解けで、5番標識と同様に、積雪量の多かった2008年よりもさらに多い状態です。

 

3番標識付近 − ブッシュのコロニー

3番標識付近からは、ブッシュのコロニー(個体群)が目立つようになります。

 

2番標識付近 − ブッシュや切り株で滑走ラインが制限

さらに下って2番標識付近。ブッシュや切り株で滑走ラインが制限される箇所が出てきます。

 

慎重に滑走する

2番標識から下部はブッシュや切り株のコロニーを迂回しながら慎重に滑走します。

 

しかし転倒! 飛び出た枝に足を取られる

滑走には油断は大敵です。雪面から飛び出た枝に足を取られて転倒してしまいます。スキー場などとは異なり、ここはバックカントリーエリアのため、負傷した際の救助は、山岳遭難と同じ扱いとなります。

 

1番標識付近 − 予想以上に積雪量が多い

今週は雪解けが少なく1番標識付近でも思った以上に積雪量の多い状態です。

 

入口急斜面上

こちらは1番標識を通過して、入口急斜面上です。

 

入口急斜面 − 一面ブッシュ ここから歩いて下山 − 藪漕ぎ必至

この先の入口急斜面は左の画像のとおり、積雪がなくなって一面ブッシュが広がっています。ここからはザックに板を背負い歩いて下山となります。しかし、かなりの藪漕ぎとなりお勧めしません。

 

入口急斜面ブッシュは進入困難 − 隣の森林内の残雪も川が流れて踏み抜く危険

入口急斜面の横の森林の中には残雪が残っていて、そこを歩いて下山することが可能ですが、取材時点(5月27日時点)では、すでに雪の下を川が流れている音がしていて、雪の中が空洞になっている状態が見られました。

雪を踏み抜く危険性があり、森林部分の残雪を歩くことはできず、また、入口急斜面のブッシュを歩くこともできず、下山困難な状況です。

 

先週のツアーコース入口急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2012/05/19〜20) A
今週のツアーコース入口急斜面
先週のツアーコース入口急斜面
ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.2(2012/05/19〜20) A
今週のツアーコース入口急斜面

こちらは入口急斜面の全景。先週と比べてもかなりの雪解けで、ほとんど残雪の無い状態です。

 

ツアーコース入口 − 5ヶ月に及んたシーズンは終了
次回、ツアーコースの様子をお届けするのは12月中旬頃から

今シーズンのツアーコースはシーズン初めの11月下旬から12月の降雪が少なく、ツアーコースにアクセスできるようになったのは12月下旬頃。それからしばらくは昨年よりも積雪量の少ない状況が続きました。しかし、3月下旬から4月上旬に季節はずれの大雪に見舞われて、一気に積雪量が増加し、昨年よりも少ない状況から例年以上の積雪となりました。

12月下旬から毎週通ったツアーコースも今週で終わりです。5ヶ月間という長いツアーコースのシーズンが終わると、ノリクラでのバックカントリースキーも終わりが近づきつつあります。そして、次回ツアーコースの状況をお届けするのは、季節が一巡して次のウインターシーズンが到来する12月中旬ごろかと思います。

今シーズンも色々な方々に出会えたツアーコースには、感謝しなければなりません。

 

【昨年の今ごろは?】

2011ノリクラ 雪渓カレンダー Vol.3(2011/05/28〜29) @

関東甲信越地方では史上2番目、東海地方では史上3番目に早い梅雨入りが5月27日(金)に発表され、最初の週末を迎えました。そのため、今回は生憎の天候となりました。

5月28日(土)は、曇り空の朝から始まりました。梅雨入り発表に加えて、台風2号が接近しているという状況もあって、乗鞍スカイラインシャトルバスの乗り換え駐車場のほおのき平駐車場には車の姿はなく、そのため、シャトルバス始発便は乗客ゼロで出発します。畳平など上部エリアは濃霧に見舞われ、夕方近くまで濃霧が続きます。一時的に雨に見舞われるものの、寒くも暑くもなく、また、稜線付近でもそれほど強い風に見舞われず、濃霧さえなければ天候的に問題となるような状況ではありませんでした。

5月29日(日)は、昨日の夕方からまとまった降り方になってきた雨がさらにひどくなり、梅雨入りにふさわしい天候の朝を迎えます。この天候でも乗鞍スカイラインシャトルバス、春山バスはともに運行されました。しかし、この状況ですから春山バスは乗車する方はゼロ。梅雨末期を思わせるような降り方の一日が続きました。

 

<編集後記>

「スキーヤーはお金を落とさない...」

観光業界に携わる人からよく聞かれるこぼれる話の一句です。「お金を落とす」というのは「お金を使う」という意味で、現地に来たスキーヤーは現地でお金を使ってくれないということだそうです。

高価なスキー道具一式にから交通費など、現地に到着するまでに多額の費用を掛けてやってくるスキーヤーにとっては、スキー以外の出費はできるだけ抑えたいと思うところでしょう。しかし、財布の口がいくら堅くても、必要なもの、あるいは、これはお金を払ってもメリットがあると思うものには出費をしているはずです。
一般の観光客の方にたくさんお越しいただくことが、ダイレクトに増収につながるかもしれません。しかし、「お金を落とさない人々」がなぜお金を落とさないのか所を検証することも、今後の発展に必要な要点が隠されているはずです。

ノリクラにお越しになる方は、一般の観光客のほかに、マイカー規制で自動車の往来に気遣うことなくヒルクライムやマラソンを楽しもうとする方、そして、春スキー・夏スキーにお越しにある方、登山の方など、多様なスタイルの観光客が訪れています。

「お金を落とさない客は客ではない」という発想ではなく、そういう人々がどのような行動をしているのかを考えることも必要でしょう。その中には何度もノリクラに通いたいから出費を抑えている人もいます。そこにポイントが見つかれば、一単価が少なくても回数を重ねれば収益につながるかもしれません。

かつてのスキーバブルのような時代は、もう訪れることはありません。ウインターシーズンの過ごし方として「国民皆スキー・ボード」は完全に崩壊し、各個人が多様なスタイルで楽しむ時代だと思います。その中で、色々なスタイルの人々を受け入れることができなければ、この地に魅力を感じてもらえないように思うのです。

反面、ここを訪れる人々には、地元の人々のこれまでの活動があってこそ、今のノリクラを楽しむことができるという認識をぜひとも持ってもらいたいとも思っています。


■ご注意■

今回の取材記事は、バックカントリースキー・ボードの経験のある方を対象としたもので、初めての方へのイントロダクションという位置づけの内容ではありません。
初めてツアーコースなどにトライしてみたい方は、経験者と同行するか、ガイドツアーに参加されることをお勧めします。(乗鞍高原などにはガイドが同行するツアーを企画する会社がありますのでお問い合わせください。)

 

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